序ー16話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
シャワーを浴びた後、ヒデは、ダブルベッドの奥側に寝てエリカは階段側に寝ることにした。
いざ、眠りに就こうとすると、今週末の出来事で体は疲れているのに隣に寝ているエリカを感じてしまって緊張している自分がいた。
『しかし、こんな可愛い子が隣に寝ている・・・しかも、これからずっと一緒に暮らすのか・・・まるで夢でもみているみたいだな。』
そんなことを想像しただけで、ヒデは興奮して寝るどころではなくなってしまったのだった。
『こんな思いをできるなんてダブルベッドにしておいてよかったな! それはそうと、この僕らの関係は他の学生たちにバレてはならない! エリカは少し開放的なところがあるから明日起きたらそのことは念を押しておかないとな!』
『よくよく考えると、あのケモノとか言う化け物に対してエリカはどうやって戦ったんだろうか?あの細い体で。なんか不思議なところが多いな・・・』と諸々と考えを巡らせていたのだが、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。
「おはよう!! 遅れるわよ!」というエリカの声で目を覚ました。
彼女はすでに起きて、買っておいた食パンでトーストを焼いていた。
「あっ おはよう! 早いね! 眠れたの??」
「ええ、お陰様で爆睡したわよ!私、このトースト頂いたら、荷物をとりに帰るから先に行くわね。」
「わかった。そうそう、寝る前に考えてたんだけど、僕たち2人で住んでいることや今の関係は学校の仲間には内緒にしておこうね。」
「ええ、わかっているわ。帰りも別々に帰ることにしましょう!」
『なんだ、わかってるじゃん!よかった!』とひとまず安心した。
そして、別々に登校した2人は何事もなかったように机で挨拶を交わし席に着いた。
横目でエリカをそれとなく見ていたが、わざと意識していないのか?普段よりもよそよそしい感じがしている。
その日はいつも通り放課後に漫研の部室へ行き、いつも通り仲間とアニメについて語り、いつものように須藤と浅井と3人で帰路についた。
『はあ、よかった・・・今日はとりあえず何事もなく無事に終わったな!』
そして、部屋の前に着くとドア前にジェットが座っていた。
「ああ、ジェットか!? 待ってたんだな? 中に入ろうか?」と言いジェットを中に入れた。
ヒデは荷物をおいて、果たしてエリカは本当に一緒に住みに来るのだろうか?と考えながら机に座って待つことにした。
30分ぐらい経ったであろうか? ドアベルが鳴った。
ヒデはドアの覗き窓から確認すると、その姿はエリカであった。
「ああエリカ、どうぞ!もうジェットは来てるよ!」
「ジェットは見張りをしていたのよ。荷物はどこに置いていいのかしら?」とかなりの量の荷物をリュックと左右3つのバッグに入れて持ってきていた。
玄関に荷物を置くと、「じゃ、これからよろしくお願いしますね!!」と言いニッコリと笑って握手をした。
「こちらこそ!せっかくだから楽しくやろうね!」と言いヒデも笑顔で迎え入れた。
エリカは空いているワードローブや押入れに荷物を入れ込んだが、学校の道具類と少しの衣類や日用品だけであった。
「荷物はこれだけなの??」
「そうよ!」
「それはそうと、ちょっと不思議に思っていたんだけど、キミは未来から来たのにどうやって住民票の登録ができたの?」
「そんなのは、私のコントロールパッドがあれがハッキングして自由自在に書き換えることができるのよ。便利でしょ?」
「へえー そうなんだね? なんか未来の技術ってすごいんだね・・・」
「そうよ、でも、生活のための必需品はその世界で揃えないとならないから足りないものはこれから徐々に揃えていきましょう!」
「まあ、そうだね。僕もお手伝いするよ。ところで今日の夕食はどうする?? 正式には折角の共同生活初日だしどこかで外食でもする?」
「いいわね!じゃ、この前のファミレスにしましょう!」
「そうだね、それじゃ着替えようか。」
ヒデはいつものデニムに杢グレーのパーカー姿にエリカも唯一持っているスリムなデニムにブラックパーカーを着たため、まるでお揃いのようになってしまった。
「じゃ行こう!」と駅付近にあるファミレスに向かったのだが、
なぜか生まれて初めてのワクワクを感じている自分に気がついた。
もちろんジェットは留守番である。
2人はセットメニューをオーダーすると、
「ねえ、エリカ、色々聞いてもいいかな?」とやっとここでは普通の男女の会話になっていた。
「ええ、どうぞ。」
「縁があってこうして知り合ったんだから君がいた世界のことを教えて欲しいんだ。」
「そうね、どこから話したらいいかしらね…
昨日行った世界があるでしょ? そのまた先の世界といえばわかるかしら?」
「さらに未来ってことだね!それはわかるよ。」
「私たちが接したヒューマンは、今は虐げられているけどそのうちアンドロイド達を凌駕するようになるのよ。」
「えっ、そうなんだね!? でもそれは今のところ全く想像できないな!」
「まあね、今のところはそう思うわよね。あのシャーマンみたいな女性がいたわね!?」
「うん、リーダーと言われてる女性だよね?」
「そう、彼女が切り札になるの。それで彼らはあの地下街にラボを作りアンドロイドに対抗できるものを作るのよ。」
「えー そうなんだ!? 驚きだね!!」
「だから、今の私たちはそれをサポートする役割なの。」
「でも、君はできるだろうけど、僕は何の役にも立たないと思うよ。」
「今のところはね。でもあなたが必要なのよ。そのうちにわかると思うわ。」
「うーん、まだ全然謎だが・・・わかった。じゃ、とりあえず君についていけばいいんだね?」
「そうよ!私があなたのご主人様よ!言うことを聞きなさい!!」と言ってムチを振るような仕草をしてふざけている。
『なんか、エリカって、僕が勝手に女の子として意識しているだけで気のいい気さくな子なんだな。今のところ一緒にいても緊張しないしストレスも感じない。人慣れしてない僕でも全然違和感を感じないし。なんか、毎日が楽しくなってきてよかった。』
と、今までの人生と全く違う局面を迎えていることが彼としては何かしらの希望が見えて嬉しくてたまらないのである。
部屋に戻ると、ジェットが迎えてくれた。
『エリカの世界に関して聞いたわけだが、またはぐらかされたような・・・そういえばジェットは機械なのだろうか?』
「ねえ、エリカ、ジェットはいわゆる機械なの?」
「彼は、機械のような生物のような・・・わかりやすく言うと機械生命体かしらね!?」
「機械生命体??」
「よくわからないでしょ?」
「うん、ちょっと科学が進んでいるから、今の知識としては理解が難しいと思うわ。だから、これもおいおいね。」
と言う感じで、これもまたはぐらかされてしまったのだった。
「それじゃ、寝る時間になるまでアニメでも観る?」
「いいねー エリカは異世界ものが好きなんだよね?」
「そうよ! 私 冒険者ものが大好きなの!でも、ラブコメも好きよ! ハッハッハ!」




