序ー14話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
背中を突き刺されたオオトカゲは激痛のあまり大暴れとなり断絶魔の叫びとなっていた。
その背をヒラリと降りたエリカは再度高くジャンプし、隣のオオトカゲに飛び移り同じように背中を刺し今度は剣が心臓を突き抜けていた。
ふと、隣を見るとサブリーダーは1匹は倒したがもう1匹に尻尾で襲われているのである。エリカは剣を左に持ち替えると右手で右腰のホルスターの中に収納されている白いレーザーガンを手に取った。
このレーザーガンは個体認識機能が付いているためエリカとエリカが認めた者しか使用できないのである。
そして、右手のオオトカゲに照準を合わせてトリガーを押すとサイレントショットでレーザーが発射されトカゲの頭がすっ飛んだのだった。
エンリケはすぐさまそのオオトカゲの心臓を目掛けて剣でトドメを刺すと尻尾はバタリと止まった。
「オー、エリカ! ありがとよー!!助かったぜ!」と感謝している。
そして断末魔の叫びを上げながら再生しようとしていた最初の1匹のところへ行きトドメの一撃を心臓目掛けて差し込んだ。
これで5匹とも撃退できたのである。
「大丈夫ですか?」
「あー しかし、あんた、強いな! 細腕だとおもっていたんだが感心したよ!」
サブリーダーがそれしか言わなかったのにエリカは安心した。何故ならレーザー武器がどこから来たのか?などと聞かれるとややこしいからだ。
そのため彼女はすでにレーザーソードとレーザーガンは収納していたのであった。
「ヨシ!戻るぞ!」というと施設に向かって歩き出した。
その間部屋で待っていたヒデは気が気ではなかった。
エリカの戦いを見ていない彼はもちろん彼女の強さを知る由もない。
『あの怪物相手にサブリーダーと2人だけで大丈夫なのだろうか??』とそんな不安の中ジェットをじっと抱いていたのだった。
そこにドアを開けてエリカが入ってきた。
「あっ、エリカ!大丈夫だった??」と思わず駆け寄った。
「ヒデ! 大丈夫よ! サブリーダーがいたから。」とエリカはジェットを抱いているヒデを抱いた。
ヒデは、その抱擁に驚いたのだが、彼女が着用しているスーツの硬さに驚くと同時に、愛情表現のようにも感じられ嬉しい気持ちでいっぱいになった。
「これで、私たちの世界で襲われそうになったら、この異世界に避難することができるわよ!」
「いや、エリカ、ありがとう!」とこんなに自分のことを思ってくれる彼女に感謝しかないのであった。
「ランチをこの街のカフェで食べたら、昼過ぎにリーダーとの謁見があるらしいの。それが終わったら帰りましょう!」
「えっ、リーダーと会えるの? なんでだろう?」
「そうね・・・まあ、会っておいて損はないでしょ!?」
「まあ、そうだね。」
そして、2人は地下街の繁華街に繰り出しランチをどこで食べようか物色中である。
地下街の住民はなぜかヨーロッパ中世風のファッションとヒデの世界のカジュアルファッションが混ざったようなスタイルでそれはそれで意外にカッコよく見えるのだ。
「へえー色々な古風なカフェ・レストランとか 屋台も沢山あるんだね!? 見たこともないような料理が多いね?」
「そうね、パンのようなものもあるから、それだったらハズレがないのかな?」
「そうだね!エリカはどこがいい? 選んでくれていいよ。」
「わかったわ。じゃー 私、あの串焼きがいいな!」とパンとは全く違ったものを選んだのだった。
「いいね!意外に肉食なんだね!?」と言ってヒデは笑っている。
そして2人は串に刺されて焦げ目がついた肉にかぶりついた。
「これ、なんの肉かはわからないけど美味しいね!」
「これはあのケモノの肉らしいわよ。」
「えっ!!」とヒデは言って吐き出しそうになった。
「大丈夫よ。害はないから」と言ってエリカは美味しそうに食べている。
「せっかくだから、食べながら色々見てまわりましょう!」
地下ではあるが、ここの住民には楽しそうな笑顔が溢れていた。
それを見ながら、ヒデは何か思うところがあるようだ。
一巡して最初に訪れてサブリーダーと会った部屋に戻ると、すでにサブリーダーはその部屋で2人を待っていた。
「どうだい?ここの食べ物は?」
「ええ、串焼きを食べたのですが美味しかったですよ!」とエリカが笑顔で答えた。
「ヒデ君は、どうかね?」と初めてヒデに対して口を開いた。
「ええ、美味しかったですよ、それにここの住民の方々がみんな幸せそうで驚きました。」
「そうだろ!ここは地下にはあるんだがみんな幸せに暮らしてるんだよ。」
「何度か伺えば、きっとその幸せの理由がわかるんでしょうね!?」とエリカが言った。
「じゃ、そろそろ我々のリーダーが来る時間だな。今回は君たちの紹介だけだから緊張しなくていいぞ!」
そして、この部屋の奥から1人の女性が姿を現した。
なんと、30歳前後の品がある綺麗な女性で、亜麻色のナチュラルなソバージュがかったロングヘアーが印象的である。
「初めまして!私はここのリーダーのアルカディアと申します。今回はケモノ退治にご奮闘頂きまして有難うございました。エンリケからは有能な方々だと聞いております。今日お帰りになると聞いていますので、また次回いらっしゃった時に色々と詳しいお話を伺いたいと思います。そして、お二方が使えるようにこの施設に1部屋をご用意致しましたので、今後ご自分たちの家だと思って頂きご自由にお使いください。では、エンリケ、ご案内を!」というと、静かに会釈をするとまた奥に消えていったのだった。
「じゃ、案内するぜ!」とエンリケが嬉しそうに2人を誘導した。
「あのリーダーの方、お綺麗ですね!」とエリカが言うと、
「そうだろ!!ここの住民はアルカディア様と呼んで、まあ言わば生き神のような存在なんだ。」
「しかし、でも、なんで生き神なんですか?」と思わず不思議なあまりヒデが聞いてしまった。
「そう思うよな。あのお方はいわゆる預言者なんだよ。まあ、そのうちわかるさ!」と謎な表現を残して笑っていた。




