序ー13話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
「おっ、来たな! 今日は地下施設で必要になっている木材を伐採しに行くぞ!運び手が必要だから、男の子は荷車を引くのを手伝ってくれ! あんたは俺と最前列に立って彼らをケモノから守ってもらいたい。」と昨日のサブリーダーが待ち構えていた。
「わかったわ。じゃ、ヒデは彼らを手伝ってくれる?」
「わかった!エリカ、くれぐれも気をつけてね!」と言いジェットを伴って運び手の中に入っていった。
「それじゃ、みんな、行くぞ!! 俺たちが守るが一応周りを気にしながら進んでくれ!」と言って一行は出発した。
暫く深い森を進んでいくとお目当ての木が茂る一角に着いた。オークだろうか?
「この辺りの木を切ってくれ!施設内の床材になるからな。」と号令すると、男たちは持っているノコギリや斧で木を伐採し始めた。
ヒデは手伝いながら『この世界にはチェーンソーみたいな機械が存在しないのか?それとも燃料になるものがないのか?』と考えていた。
そろそろ朝から3時間に及ぶ作業が続いているが、ケモノと言われるケモノ系キメラの気配はしていない。
出番のないエリカは汗だくのヒデの側に来て。「慣れない仕事で大変ね!」と必死に他のメンバーに迷惑を掛けまいと頑張っている姿を見て労っている。
そして、ついに切り倒した木材を荷車に積み上げる最終作業となった。
「おい、みんな!もう少しで終わるぞ!!頑張れよ!!」とサブリーダーが鼓舞している。
「どうやら、奴らは出ないようだな!」作業中の人々も安心した表情に変わっていた。
「ヨシ!積み上げたから、ここから速やかに退散するぞ!!」との号令で、一行はもと来た道を引き返し始めた。
帰路もサブリーダーとエリカが先頭を歩きながら警戒体制で先導している。
「ここまでは奴らの気配はなかったな。出てこないといいんだがな・・・」
「奴らは日中も出てくるんですか?」
「ああ、熊や蛇なんかがベースになっているキメラは昼夜お構いなしで腹が減ったら出てくるんだ。」
「そういえば、今更だがお前さんは武器を持っているのかい?」と大型のサーベルと背中に刺しているサブリーダーがエリカに聞いてきた。
「ええ、ここに!」と言ってウェストベルトに付いた小さな物体を指差している。
「それがなんなのかはわからねえが、まだ襲われる危険があるから引き続き警戒よろしくな!」と言うと、列の後方に行ってしまった。
先頭を1人で先導しているエリカであったが、この先の山道は一本道のためためらわずに先導することができている。
すると、最後尾のサブリーダーから「ケモノが追ってきているぞ!!」と叫び声が聞こえたのだった。
エリカはすぐに走って最後尾に着いてみると森の奥から蠢く何かが見えてきた。
サブリーダーから先頭に向かって、「俺たちが食い止めるからお前らはそのまま進んで先に戻ってくれ!!」と号令が掛かった。
先頭の男が「わかりました!!」と返事をすると隊列はそのまま速度を上げて進行していったのだった。
一行からは「エリカ、気をつけてね!!」とヒデの声も聞こえてきた。
サブリーダーが、「ついにお出ましだな! エリカだっけ? よろしく頼むぞ!!」と言いながら、背中の大きなサーベルを出して構えた。
ケモノ達の輪郭が見えるようになったのだが、なんと、コモドオオトカゲをさらに巨大にしてクロコダイルと混合したようなアゴが大きな猛獣の姿であった。
「あいつは、水陸両用の凶暴なオオトカゲで毒を持っているぞ! 5匹はいるな! やっかいな奴らなんだ。」
隊列は速度を上げて進んでいったため、この付近はサブリーダーとエリカだけとなっていたのだ。
「ヨシ、エリカ、ここでこいつらを仕留めるぞ!!」と言いながら、5体揃って近づいてくるケモノに対して踏み出して行った。
「わかったわ!」とエリカは反応すると、左腰のソケットからソードの柄の部分のようなものを引き出したのだった。そして、彼女がそれを握りしめると、刀剣に当たる部分がまるでレーザービームのように伸びたのである。
それは80cmはある長さで青白く光っていた。
そして、エリカはサブリーダーの隣に並ぶと、「私が左半分をヤるわ。あなたは右をヤって!」
「おー わかった! 心臓を狙えよ! やっとショータイムだな!!」と
2人はまるで恐竜のような体格の8mはある巨大なオオトカゲに向かって突進していったのだった。
まずは、動きが早いエリカが左端のオオトカゲの首をブレードで切り落とした。
レーザービームのような剣は軽く鋭い切れ味のようである。
すると、その隣にいた2匹が後ろ向きになりエリカに向かって大きな棍棒のような太い尻尾を武器に攻撃してきたのだった。
それは、まるでステゴザウルスのように尻尾に鋭いスパイクがあるため一撃を喰らうと致命傷となるものであった。
『当たると骨が折れちゃう!』と彼女は判断し、ひとまず飛んで後退した。
ふと、サブリーダーを見ると、彼は2匹を相手に奮闘中であった。そして、背中に背負っていたシールド(盾)を使いながら攻撃を交わしているが強力なあまり押され気味である。
『うーん、このままだとまずいわ。バレないようにジャンプするか!?』
エリカは身を低くして屈伸した後に上方向にジャンプをした。
まるで人類の許容範囲を超えたような高さに飛び上がると、次の瞬間1匹のオオトカゲの背中に股がっていたのだった。
そして、着地と同時にレーザーソードを背中に深く突き刺していた。
「グウォウォーン!」叫び声がこだました。




