序ー11話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
2人の姿を確認した衛兵達は、武器を構え警戒体制になり、
「なんだ、お前らは!??」と叫んだ。
「皆さーん!! 私たちはヒューマンでーす!! 怪しい者ではありません! 先ほどキメラのエンジェルに聞いて訪問しましたー!あなた方のリーダーに面会を希望しまーす!」とエリカは大声で叫んだ。
すると「なんだ、そうか! 君たちはヒューマンなのか? では、確認するからゆっくりと手を挙げながらこっちにきてくれ!」と衛兵が指示した。
2人は言われた通りに手を挙げてゆっくりと衛兵に近づいていった。
すると2人が後ろに回り、武器を持っていないか?のボディチェックを始めている。
エリカの右側のホルスターを見つけて、中から武器を取り出した。
「これはなんだ?」
「あっ、これ?おもちゃよ! 撃ってみて。」
その衛兵は小さなオモチャのようなガンを手に持ち壁面に向けて撃ってみた。
「カチ、カチ、カチ」何も変化がない。
「まあ、危険なものではなさそうだな!」
「ヘラルド、この2人をサブリーダーのところまで案内してくれ!」と衛兵長らしき人物が命令した。
「それじゃ、俺についてきてくれ!」と衛兵のヘラルドが言うと、頑丈な入り口の門を開けたのだった。
そして門をくぐると、その先にも中門があるのが見えた。
3人は中門まで歩いて衛兵に伝えるとそれも開門された。
地底ではあるがなかなか厳重な造りである。
「やっぱり、結構厳重な守りなのね!」
「まあな。今のところアンドロイドやケモノの襲撃はないがな。」とヘラルドが答えた。
「この先が俺たちの街になっているんだ。俺についてきてくれ!」と言うと、最後のドアには暗証番号を入れて3人は地下施設に入っていった。
その先には地下施設には思えないほど、ヒデ達には馴染みがある普通の地下街が見えてきたのだった。
驚くことによくある駅の地下街のような雰囲気なのだ。
ヒューマンは数十人残ったとエンジェルは言っていたのだが、ここには数えきれないほどのヒューマンが見える。きっと何世代もかけてこの街を造ってきたのだろう。
通路を楽しく歩くファミリーや、カフェでお茶をしているカップルなど我々の世界でも普通に見る風景なのだ。
色々なショップも並び地下農園も見えた。ある意味まるで地下の楽園ともいえる光景なのだ。
「へえー 意外と立派な街なのね〜」とエリカが感心している。
「だろ? 俺たちはサードジェネレーションなんだ。ファーストジェネレーションのヒューマンの勇者達がこの街の礎を造ったんだよ。ヒューマンが地下に潜ってすでに100年近くたっているからな。どんどん地下街が伸びて便利になっていったんだよ。」と自慢げに説明してくれた。
ヒデも、地下にこんな街が存在するのか?とポカっと口を開けて眺めている。
そして、ヘラルドは重厚な門構えの前に立ちガードマンに事情を説明しているようだ。
「じゃ、俺はここまでだ!また会えるといいな!」と言いガードマンに引き継いだ。
すると、彼は「では、こちらにいらしてください。」とドアを開けて室内に入っていった。
そして、商談室のような部屋に入ると座って待つように指示して出ていったのだった。
しばらくすると、40代ぐらいの屈強な男性が現れた。
「私はこのヒューマンアンダーワールドのサブリーダーのエンリケだ。君たちはヒューマンのようだがどこからきたんだ?」 身長は180cm以上あり髭面で四角い顔の筋骨隆々な男である。
「私達は時空をリープして来ました。違う時代からきてしまったのです。彼がアンドロイドに狙われているからなのです。」
「異世界から来た?? 俄かに信じがたいな! まあ、それで、なぜ、ここに来たんだ?」
エリカはこれまで起こった出来事を説明し始めた。
「シティ内にいるのはアンドロイドだけだとわかったので、森に入っていったら人キメラ達に会ってここを紹介されたのです。今晩はここに泊めてもらえないでしょうか? 明日には戻りますので。」
「なるほど、まあ、ヒューマンはここでは希少だから同胞のよしみで一晩ぐらいの部屋を用意するのはやぶさかではないが・・・」
「少し伺ってもいいでしょうか? ここのアンドロイド達はあなた方ヒューマンと敵対しているのでしょうか? 例えば駆逐対象になっているとか?」
「うーん。今現在は相手にされていないと言うのが君の答えになるかな。あいつらはウォールの中のシティで規律的な生活ができていれば、今のところ我々には危害を及ばさないと言うのが現状だな。 それよりも、我々が地上に上がり活動するときのケモノ達の対処が問題になっているんだ。」
「なるほど・・・ちなみにあなた方が使う武器はどんなものなのでしょうか?」
「我々の武器か・・・実はアンドロイドに向けて蜂起できないように銃火器は禁止されているんだ。だから、槍や剣、弓などの原始的な武器しか武装できない状態だ。」
「もし、銃を使った場合は?」とエリカは突っ込んで聞いてみた。
「この森を監視する機能があって、仮に銃火器を使用して戦った場合はアイツらに感知されることになるな。そうなるとすぐに手入れが入りそれを理由に我々が駆逐されることになりかねないんだ。」
「なるほど、では、火煙や爆音が出る兵器はNGってことですね!?」
「まあ、そうなるな。」
「では、相談なのですが、私達はあと2日間はここにいられる時間があります。明日明後日で私があなた方をガードして襲撃があった場合はケモノを駆逐してみせましょう。それを見て頂いて、お役に立てるようであれば、また元世界での有事の際には、この世界に避難できればありがたいのですが・・・」
「駆逐するって?君がか?? その細い体で??」と、『この子供は何を言ってるんだ?』という驚いた表情である。
「信じてもらえないのはわかります。では、提案なのですが、私と模擬戦をやってもらえればわかっていただけると思います。」とエリカは提案したのだった。
「君とか?・・・わかった、そこまで真剣に言うのなら… ここにも闘技場があるから、では、そこで試してみるか・・・」
とエリカの提案に乗った形で3人は闘技場へと移動した。
「ねえ、エリカ、そんなことできるの?? 確かに剣の訓練をしているとは聞いているけど、あんなゴリラみたいな大男と戦うのとはまた違うでしょ?」とヒデは彼なりに小声で心配しているようだ。
「大丈夫よ!まあ、ヒデは見ていて。」と言って自信満々の表情である。
「じゃー 本当にいいんだな? お嬢さん? 木剣にしておこうか。」とエンリケが木剣をエリカに渡した。
「寸止めで決着をつけよう! では、始めるぞ!」と言うと彼は剣を構えた。
エリカも右手で剣を構えファイティングポーズを取った。




