第3話 ガチャは、だいたい木の棒
ボスは岩みたいなトカゲだった。RTAが弱点部位に赤いマーカーを出す。
「大和、右前脚。詩織、鑑定で硬直タイミング。陽菜は俺に回復張っといて」
「え、なんで急に指揮!?」
「早く帰りたいから」
三十秒で終わった。トカゲが崩れ、光の粒になって、俺の視界に文字が出た。
――討伐報酬:ガチャ石×10 獲得。
「ガチャ石?」
もう一つのスキルだ。石を消費して何かが出るらしい。せっかくなので十連ぶん回した。
目の前に虹色の筒が現れ、光が弾け――ぼとぼとと落ちてきた。
「木の棒」「木の棒」「木の棒(N)」「かじりかけのパン」「木の棒」
「外れじゃん!」大和が笑い転げた。
「うるさい。あと一回で――」
最後の一枠が、金色に光った。
――SSR『疲労全回復のまくら』を獲得しました。
俺は無言でそれを抱きしめた。ダンジョンで昼寝できる枕。神引きだ。人生で一番いいものを引いた。
「なんでそんな嬉しそうなの……」陽菜が引いていた。
▽
部室に戻ると、顧問がしけた顔で紙を貼っていた。
『ダンジョン部・存続条件:今学期中に《第十階層主》討伐』
「十階層って、うちの学園ダンジョンの未踏破区域だぞ」大和が唸る。
「歴代の先輩、誰も届いてないやつ」と陽菜。
俺は枕を抱えたまま考えた。潰れると部室が消える。部室が消えると、この最高の昼寝スポットが消える。
「……やるか」
枕のためなら、俺は最速で世界を攻略する。




