第2話 初ダンジョン、最速で帰る
学園ダンジョンは校舎裏の穴だ。学生用の低階層で、部活の連中がのんびり潜っている。
部員は俺と陽菜のほか二人いた。
「よお新入り! 俺は大和! 将来の勇者だ!」
筋肉で会話する男が肩を組んできた。暑い。
「分析担当、鏡詩織。あなたのスキル、見せて」
眼鏡のクール女子が俺をじっと見た。鑑定スキル持ちらしい。
「見せるも何も、当たり外れの外れだけど」
「……嘘。あなたのステータス、鑑定が『表示不能』って出てる。こんなの初めて」
全員が俺を見た。やめてくれ。目立つと寝られない。
▽
一階に踏み込んだ瞬間、視界が切り替わった。
――『RTA』:本ダンジョン最短ルートを算出。目標タイム、更新可能。
通路が光の線で繋がって見えた。どこに敵が湧くか、どこを曲がれば最速か、全部分かる。分かってしまう。
「あー……こっち」
俺は歩き出した。角でゴブリンが飛び出す前に石を投げて潰し、罠の床を半歩ずらして踏み、宝箱を無視して直進した。
「ちょ、宝箱スルー!?」と大和。
「開けると遅くなる。三階の下り、そこ左」
気づけば階段。三階の主部屋の前だった。普通の部活が半日かける道のりを、俺は八分で終わらせていた。
「な……何が起きたの」陽菜が呆然としている。
「終わった。帰って寝る」
「まだ倒してないでしょボス!」
仕方ない。早く終わらせるのが最速だ。俺はため息をついてボス部屋の扉を押した。




