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ガチャとRTA持ちだけど、早く帰って昼寝したい  作者: parade
第3章/『全国大会と、深すぎる場所』

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25/36

第25話 決勝前夜、作戦会議という名のお泊まり会

 決勝進出、二校。うちと、聖鐘学園。

 宿舎の俺たちの部屋に、四人が集まった。名目は作戦会議。実態は、陽菜が持ち込んだ菓子の袋が開いた時点でお察しだ。


「――で、状況を整理する」

 俺は菓子の袋からせんべいを確保しつつ言った。

「決勝の舞台は竜骨大空洞。その真下で、管理者の姉が眠ってる。最近、眠りが浅くなってて、地震が増えてる。協会はそれを知ってて、大会にかこつけて調査中。多分うちの招待も、俺の鍵目当て」

「うわぁ、大人って汚い」と陽菜。

「で、決勝当日、全国中継のカメラの前で、大観衆が空洞の上に集まる」詩織が続けた。「……仮に決勝の最中に《姉》が目を覚ましかけたら、最悪の条件が揃うわね」

「観客ごと空洞に呑まれる、か」大和が腕を組んだ。「なあ律、大会サボって先に地下行って寝かしつけちまうのは?」

「考えた。でも計測不能の深さだ。正規の道がない。……多分、決勝コースのどこかに、下への接続点がある。管理者の妹のときと同じなら、鍵が近づけば道は開く」

「じゃあ、決勝を戦いながら、接続点を探して、開いたら降りて、寝かしつける?」

「そういうことになる」

「盛りだくさんすぎるでしょ!」



 ひとしきり作戦を詰めたあと、陽菜がぽつりと言った。

「ね、りっちゃん。もし決勝と寝かしつけ、両方は無理ってなったら、どうするの」

 部屋が少し静かになった。三百万。ソファ。優勝。全国の頂点。それと、顔も知らない観客たちの安全。

「決まってる。大会を捨てて、地下に行く」

 即答だった。自分でも意外なくらい。

「三百万、いいの?」

「ソファは来年も買える。けど、事故はやり直せない。RTAで一番やっちゃいけないのは、リセットの利かない場面でタイムを優先することだ」

 言ってから、少し照れくさくなって付け足した。

「……あと、観客に子どもとかいるだろ。昼寝の途中で天井が落ちてきたら、かわいそうだ」

「基準がずっと昼寝なのよ、あなた」詩織が呆れ顔で、でも少し笑って言った。

「けど、それでこそ律だ!」大和がせんべいを掲げた。「よし、決めた。優勝も安眠も、両方獲る! 欲張っていこうぜ!」

「単純でいいなお前は……でも、まあ」

 俺はせんべいをかじった。

「両方獲れるルートが、ないわけじゃない」

 視界の隅、RTAのタイマーが、新しい計測名を表示していた。


 ――新規計測:『決勝優勝&寝かしつけ』同時RTA。難易度:過去最高。


 明日は、長い一日になる。だから今夜は、もう寝る。


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