第14話 スキルの正体、ちょっとだけ
石碑の記録を詩織が解析した。数日がかりで読み解いた結論は、こうだ。
「このダンジョンは《試練場》。遥か昔に造られた、資格者を選ぶための施設。『可能性を引き寄せる力』と『最短の道を視る力』――二つを併せ持つ者だけが、最深部の扉を開けられる」
「つまり律のスキルは、外れどころか」
「ここの、専用鍵」
▽
「なんで俺なんだよ……」
部室で枕に顔を埋めた。選ばれし者とか、勇者とか、そういうのは大和の担当であってほしい。
「りっちゃんは嫌?」陽菜が隣に座った。
「面倒の気配しかしない」
「でもさ。りっちゃんのスキル、ずっと外れって言われてたのが、ほんとは一番の当たりだったんだよ。それって、ちょっといい話じゃない?」
「いい話は昼寝の後に聞く」
「もう」
でも正直、少しだけ悪くない気分だった。十六の春、会場がざわついたあの日の空気を、俺はまだ覚えている。外れだ、って空気を。
あれが間違いだったなら――証明するのは、悪くない。
「……三十日以内に終わらせる。最速でな」
「うん。それでこそりっちゃん」
残り、二十日。
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## 第15話 中層・水没都市と、探索部の意地
深層の中ほどは、水に沈んだ都市の階層だった。崩れたビル、水路になった道。現実の街に似ているのが不気味だ。
そこで意外な連中と出くわした。
「げっ、探索部……」
例の三年たちだ。だが以前の嫌味な空気はなく、装備はボロボロで、一人が足を怪我していた。
「……悪い。協会の依頼で先行調査に入って、しくじった。帰りのルートが、水位が上がって消えた」
頭を下げる先輩たち。大和が俺を見る。陽菜も、詩織も。
分かってる。分かってるよ。
――『RTA』:救助込みの帰還ルートを再算出しますか?
「やる。時間ロスは……まあ、いい」
▽
怪我人を大和が背負い、陽菜が回復を維持し、詩織が水位の周期を読む。俺は水没都市の屋根から屋根へ、乾いた道だけを繋いで線を引いた。
地上に出たとき、三年の部長が絞り出すように言った。
「……お前ら、本物だわ。今度の深層、探索部も手伝わせてくれ。周回の石集めでも、地図作りでも、何でもやる」
「じゃあ一階の周回、一日十周で」
「即答かよ!」
人手が増えた。攻略速度が上がる。これで貸し借りなしだ。
残り、十四日。




