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第11話 穴の底から、呼んでいる
第十階層主を倒してから二週間。俺の生活は理想に近づいていた。放課後、部室、SSR枕、昼寝。完璧なルーティン。
なのに最近、夢見が悪い。
――深イ。深イトコロヘ。オイデ。
誰かが呼ぶ夢。目が覚めると、決まって校舎裏の穴のほうを見てしまう。
「りっちゃん、顔色悪いよ?」
「枕の性能でも消せない夢がある」
「それ普通に不調だから!」
▽
異変は俺だけじゃなかった。学園ダンジョンの一階に、地図にない下り階段が現れたのだ。攻略済みの十階の、さらに下へ続く階段が。
調査に来た協会の職員が青い顔で言った。
「……《深層接続》です。学園ダンジョンが、地下の未確認大規模ダンジョンと繋がった。前例は三件。三件とも、都市が一つ消えています」
部室が静まり返った。
「放置すると、どうなるんですか」と詩織。
「モンスターが溢れます。推定、三十日後に」
俺は枕を抱えた。部室が消える。学校が消える。昼寝の場所が、全部消える。
「……で、協会の精鋭はいつ来るんです」
「早くて四十日後です」
計算が合わない。誰かがやるしかない。視界の隅で、RTAが勝手にタイマーを起動した。
――新規計測開始:『本物』攻略RTA。制限時間、三十日。




