46話・メアリーはだれの子?
メアリーは王の子であるのに、ルイのような亜麻色の髪は持っていない。
「わたくしは母に似たのよ」
わたしの言いたいことをメアリーは気がついてないようだ。代わりに宰相が言った。
「王族は稀有で特殊な家系です。母親が王家出身で他家に嫁ぎ、その他家の色を髪に宿した子が生まれることがあっても、父親が王家出身であるならば、その配偶者がどの家の者であろうともその子は男女共に亜麻色の髪の子供しか生まれないのです」
「そのようなこと、今まで一度も聞いたこともないわ」
「それは機密とされているからです。このことは王の傍近く仕える者しか知らないことですから」
つまりメアリーがルビーレッド家特有の色を身に宿していると言う事は、王の血を引いていないと自ら示していることになるとサーファリアスは説明した。メアリーは馬鹿な。と、呟いた。
「さきほど陛下が言われた通りなのですよ。メアリー嬢は王の血を引いていない」
「嘘。嘘でしょう?」
ね、オックス。と、メアリーは縛られた状態で、この場で唯一の味方であるオックスを伺う。オックスはあざ笑うように言った。
「そうさ、メアリーは王の子供なんかじゃない。叔母が実家から連れてきた当主とは縁戚にあたる護衛と情を交わした結果、生まれた子だ」
「うそ……」
てっきりオックスから反論をもらえると思っていたメアリーは、真実を知り力なくその場に崩れ落ちた。母親が王を裏切っていたという事実は彼女を打ちのめした。メアリーは何も知らなかったとはいえ、心の内はいかばかりだろう。わたしは少しだけ彼女に同情した。
でも彼らが仕出かした罪は許されるべきことではなかった。サーファリアスが言った。
「あなた方は一部の貴族や市民達を誘導して暴動を起こし、陛下から王位簒奪を企んだ。これは明らかに国家反逆罪だ。けして許されるものではない。二人を牢に連れて行け」
「はっ」
衛兵達は抵抗なくうな垂れた様子のふたりを連れて退出して行った。その後にギルバードとその義兄のガルムが続くと、衛兵達もそれに従い出て行った。




