47話・あなたが無事で良かった
サーファリアスも後始末がどうのと言い訳して退出する。アズライトもその後に続こうとし、わたしを振り返った。
「これは直接、ジェーンさまから陛下に渡された方が良さそうですね。私も宰相の手伝いがありますので失礼致します。あとはおふたりでどうぞ。パール家からお迎えの馬車が来ましたらお知らせ致します」
アズライトはごゆっくりどうぞ。と、言いながら、上着のポケットから平たい長方形の箱を取り出しわたしに渡してきた。パーティーが始まる前にアズライトに預けておいたものだ。彼はまだルイに渡していなかったようだ。アズライトが退出してからルイが聞いてきた。
「それは?」
「あなたに用意したプレゼントなの。今日はとんだお誕生日になってしまったわね」
後味が悪いような思いをしながらもルイに手渡すと、ありがとうとお礼の言葉が返ってきた。楽しいはずのお祝いの日がこんなことになってしまうだなんて思いもしなかったのだけど。
「ジェーン。きみには何も話してなかったから驚かせてしまった。済まなかった」
「いいのよ。ルイ。でもあなたが無事で良かった」
心底そう思う。ほんの数分前はもう駄目かも知れないと思っていた。今頃もしかしたら牢屋に入れられていたのはわたし達の方だったかもしれない。そう考えると体が震えてきた。
「あ。ごめんなさい。わたし……」
「いいんだ。怖かったよね?」
ルイに今度は抱きしめられる。今まで守る側にいたはずの自分が、気が付けば守られる側に立っていた。ルイは身長もわたしと変わりないし、これから先もどんどん伸びて私を越していってしまうのだろう。精神的な成長と共に。自分だけがここに留まってしまっているようで歯がゆかった。
「そんなに強がらなくともいいよ。ジェーンは女性なんだから怖いことになれてしまわないで。余のことをもっと頼りにして欲しいな。もっと甘えて欲しい」
ルイに気遣われてしまっていた。自分よりも年下で弟のような存在が、自分に寄りかかって良いのだといえるぐらいに頼れる存在になっていた。
ルイに微笑まれて不覚にも胸がどきんと跳ねた。




