41話・ルイは不義の子ではなかったの?
謁見室には現代の王であるルイに、その姉でありながら王籍を持たない元王女メアリー、そして五宝家の子息であるオックス、アズライト、サーファリアスにわたしというメンバーが集まった。ギルバードは入室しようとした寸前に「ちょっと花摘みに行って来る(トイレに行って来る)」と、言って出て行った為、五宝家の子息が一人抜けた状態となる。
「誤魔化そうとしても駄目よ。アズライト侍従長。そこのルイは王の子ではないのだから。なによりその髪が証拠よ」
メアリー派は毅然とした態度を崩さなかった。挑むようにアズライトを見据える。皆の前での断罪をなぜ邪魔をした? と、言わんばかりの目つきで睨んでいた。
「メアリーさま。無礼ですよ。陛下を侮辱なさるのですか?」
「お黙りなさい。パール公爵令嬢ジェーン。シルバー。たかが公爵令嬢の身の上で、わたくしに逆らおうと言うの?」
まだルイを非難しようとする彼女が見苦しく思えて止めたつもりだったのに、彼女に逆に食って掛かられ面白くなかった。自分が優位な立場なのだと示されてむっときた。
「ルビーレッド令嬢。あなたこそ誰に向かって口を聞いているのかしら? わたしは先の王の実妹を母に持つ、生まれながらの王族の血を引く公爵令嬢ですのよ。あなたとは違います」
侯爵令嬢だった母親が、陛下のもとに嫁いだことで生まれたあなたよりも、前陛下の実妹で王女だった母を持つ自分とは所詮、格が違うと一蹴すれば彼女は黙った。それにたいしルイと、アズライトは目を丸くし、サーファリアスは目を細めていた。
今までのわたしは大人しい令嬢と思われていたし、皆、喧嘩をわざわざ買いにいくようには思ってなかったのだろう。聞き流せば良かったのだろうけど、ルビーレッド嬢には思うところがあったので黙っていられなかった。
「ルビーレッド嬢。余が前陛下の子ではないという証拠はどこにある?」
「だからその髪よ。皆さまもご存知の通りわたくし達、五宝家の直系の者たちは、それぞれが家名にちなんだ色を髪や瞳に宿す。ルビーレッド侯爵家は赤を、エメラルドグリーン侯爵家は緑色を、アクアマリーン侯爵家は青色を、アンバー侯爵家は琥珀色、パール公爵家はシルバー色と。そして王家は天の授かりの色とされる亜麻色。陛下の子ならその亜麻色の髪を引き継いでいて当然なのに、あなたはその色を持っていない」
「あなたさまは何か誤解されていらっしゃるようだ」
ルイの問いにメアリーは胸を張って答えた。それに冷静に返したのはアズライトだった。
「ではあなたさまが疑っている陛下のこちらの髪ですが、どうぞとくとご覧下さい。証拠をお見せ致しましょう」
アズライトはバスタオルを持ってきてルイの肩にかけると、手にしたグラスの中身を「失礼致します」と、ルイに一声かけて頭からかけた。するとすぐにルイの頭は亜麻色の髪に戻った。それをアズライトはすぐにタオルで拭ったので、濡れたタオルには青い染料が染み付いた。
「そんな……! 馬鹿な……」
ルイは宰相が言った通りただ髪を染めていただけだった。それを知ってメアリーは青ざめながらも否定する。
「ルイは不義の子ではなかったの?」




