39話・断罪が始まった?
ギルバードがメアリーをエスコートして再び広場に戻ってきたのは一時間後のことだった。ルイと休憩にバルコニーにいたわたしは、侍従長のアズライトがやってきて彼らが戻ってきたことを知らされた。
広間に戻るとメアリーのドレスが変わっていた。着替えてきたのだと分かるが、その色は滅多に彼女が着ないような淡い緑色だ。あの色はなかなか出ない希少ものだと以前、ギルバードが言っていて「きみの為に頑張って生産したんだよ」と、言っていたことを思い出す。一度も袖を通した事のないそのドレスは
クローゼットのなかに眠っているが、彼女が着ているドレスはそれと全く同じ物に思えた。
その上、彼女が身に着けている宝飾品は、繊細な透かし模様の施したもので、胸元を飾る首飾りや、耳飾りの中央に大きな宝石のペリドットが輝いていた。
まるでそれはメアリーの為にあつらえたようにしっくりしていた。メアリーはギルバードのエスコートで鷹揚に姿を現すと、大声を張り上げた。
「皆さま、ご報告があります!」
メアリーの声に、皆が何が始まるのかと注目した。
「断言いたします。そこにいるルイ国王は王家の血を引いておりません。皆さまの目を彼は欺いてきたのです。王の子ではないのに王座にあり続けました」
その言葉に皆が信じられないという顔をした。わたしも当然のことだ。アズライトは何かを察したように「陛下。皆の目が彼らに向いている間に退出を」と、これから厄介事になりかねないものを感じて広間からこっそり退出させようとする。わたしもその方がいいとルイの背中を押した。
これから起こるのは断罪ではないのか? と、頭の中で警鐘がなる。ゲームの中ではジェーンが王位についたのを不服として立ち上がるのがメアリーなのに、この場であのような物言いをしてきたということは、明らかにルイを廃位に追い詰め、自分が王位につこうとする算段だろう。
「即刻、王の座を正当な血を引く者に戻すべきです。皆さま、そうは思いませんこと?」




