38話・きみに薬を盛られたことを公にしてもいいんだよ
メアリーは宮廷内に賜っている部屋に入ると固くドアを閉めて、ギルバードを問いただした。
「あなた、どういうつもり? あれワザとでしょう?」
「さすがはメアリー。気がついていた?」
「目配せしながらぶつかってくる人なんて初めてだわ」
ギルバードは不敵に笑った。
「それは光栄だよ。きみとは付き合いが長くなりそうだから」
「ギルバード。それはどういうこと?」
「あれ? 彼からまだ聞いてないのかな?」
「彼?」
メアリーが不審に思うと、自分達が入ってきたドアから従弟のオックスが入ってきた。ギルバードと目線を交わし合うとにやりと彼も笑って見せた。
「オックス。ギルバードから何か聞いてる?」
「ああ。彼も我らが陣営に入るんだよ」
「ギルバードが? あなたはジェーンの許婚だし、彼女側でしょう?」
警戒を解けないでいるメアリーに、ギルバードは脅すように言った。
「僕が寝付く前、きみに薬を盛られたことを公にしても良いんだよ? でも、そうなると困るのはきみだよね? メアリー」
「別に構わなくてよ。そうなったら邪魔なあなたを消すだけだわ」
メアリーはギルバードをねめつけた。ギルバードは怯まなかった。メアリーの代わりに快諾したのはオックスだった。
「メアリー。彼と手を組もう」
「なに馬鹿なことを言ってるの? 有り得ないわ」
「これを見てもそう言えるかな?」
ギルバードは自分の頭に手をやり、髪の毛を引いた。するとそこから現れたのは王家の色とされる髪色でそれを見てメアリーは驚愕した。オックスの態度に変わりはなかった。彼はギルバードが寝ている時にその秘密を偶然知ったのだ。
「ま、まさか……!」
「そのまさかだよ。メアリー、王位を取りたいんだろう? だったら僕と手を組んだ方が良くないか?」
ギルバードは驚くメアリーに、怪しいほど美しい笑みを浮かべた。




