神々との戦い。その1。
「良く。此処まで戻って来れたね」
一瞬、驚いたようだが。元通りの光天。
「少し、待たせたか」
「おお。ま、昔馴染みと話も出来た。帰るかの」
「もう?折角来たんじゃないか・・・」
蹴速は抵抗した。さっきと同じ、空間移動を。
「2度。同じ手が、工夫も無く通用すると思われちゅうのは。気に入らんであ」
光天は、不愉快さを表明した。
蹴速の立っていた場所に、80億度の火柱を発生させた。
「話す気は、無いんか。分かりやすくて助かる」
「動くな」
それは、神言。聴覚有る人間のみならず、木石であろうと従わざるを得ない。本物の、実現する与定。
「阿呆なんか、お前」
蹴速は、光天を200キロメートルほど吹き飛ばした。
動くな、で止まる人間が、此処まで来るか。
蹴速のやった事は、「ずらし」だ。敵の攻撃は、必ずポイントで来る。予備動作を必要とせず、こちらを視認する必要も無く、先程は皆を同時に飛ばした。今のは、蹴速の体を起点にしていた。その「点」から、敵の攻撃以前に動けば、避けられる。
予兆の無い技を、蹴速はどうやって避けたのか?
「今ので、ダメージは入ってないんやろ?」
「うむ」
「戦う分には、楽しい奴よ。シロ、みんなあを見ておってくれ」
「任せい」
シロと話していた。あいつが首魁で間違いあるまい。
蹴速は、奴を追いかけようとした。が。
「・・・」
もう帰って来た。本気で蹴り飛ばしたはずだが。
「不機嫌を顔に出すタイプか?それとも、余裕はもう無いんか」
「黒天の前で、そんな顔をするわけがないだろう」
「出来ん、か。もうちょっと頑張れ。顔色を出すんは、悪くないぜ」
20年すら生きていない生命に教示を受ける、創生からの神。
蹴速の挑発だとは知っている。読心は、欠かしていない。して、、いない・・。
ぎり
「下手な演技より。そのツラの方が好いぞ。お前」
蹴速は、30光年ほど吹っ飛ばされる所だった。ギリギリで躱せた。
やっと、本気になったか。
「光天。侮るでないぞ。そ奴は、わしを1度のみならず殺した男」
「分かったよ黒天」
笑顔でシロに返す光天。何の曇りも無い、良い顔だ。
おれを、心配しろ。だが、だからこそ。愛しておるぜ、シロ。
シロは、もちろん、読心によらず蹴速に伝わっていると思っている。自分の気持ちが。
一瞬千撃。
やられたのは。蹴速。
「痛い。流石に、強い」
今度こそ、光天は驚愕した。
何故、生きている。
それは、空間移動やらを避けたのと、同じ道理。
それは、蹴速の時間。
技の発生する、その瞬間を更に瞬間で捉え、その上で瞬間に刻み。つまり、最集中した蹴速は1兆分の1秒で、技を認識している。そして、光天の抜き手、蹴り足を全て受けてみせた。
光天の発動させた空間移動。綺麗な、見事な挙動だった。
「こうやったかな?」
またしても、光天は40光年ほど飛ばされた。今度は、蹴りではない。
光天の用いた空間移動そのもので。
「驚いた」
が、光天も然る者。すぐに戻って来た。
「黒天に教わったのかい」
「おいおい」
読心したんやろ?
答えは全方位攻撃。美しく幸せに満ち溢れた世界が、一時に押し潰された。
蹴速の重圧の、千倍ほどの力で。
「強い」
蹴速の心からの賞賛にも、ニコリともしない光天。
もう、言葉は要らない。
先ず、蹴る。
「ふむ。その、大鎧の中の得物が得手かと思ったが」
「格闘術が全く使えないわけでは、ありませんよ」
そんなレベルで使っても、効くかどうかは・・。
ガクン
「お?」
神の膝が、折れた。
「ダウンは初めてですか?慣れると、どうやって逆転の布石を打つか、楽しめるようになりますよ」
己の防御を貫く者が、身内にゴロゴロ居る事実。恐ろしく、愉快だ。
超騎士の蹴り。速くはない。威力もそこそこ。ただ、他の者の攻撃と絶対に違う点が1つ。撃ち込んだ瞬間に、相手の肉体に結界を突き入れる。結界は、超騎士の意思次第で、どれ程にも細くなる。ただ、常態に於いては、敵の気。今回は神気、によって、細く弱い結界は、弾かれてしまう。だから、攻撃と同時に侵入させる。攻撃の入った瞬間、敵のガードは攻撃そのものに反応する。その一瞬、内部の神気もまた、その部位に集まり来る。その時。寄り集まった神気の外側。そこが、侵入経路だ。
食い破れ。
「ふむ・・」
「ほう・・」
確かに、強度はそれなり程度でしかない。が。
身体内部に侵入した極細結界を、全て消した。どうやって知覚した?それとも、内臓までも神気を全開で発動させた上で耐える事が出来るのか。魔王のように。
先程、体に入った「ナニカ」によって、内部から切り刻まれた。実は、立ってるだけで精一杯。修復に、あと5分は欲しい。目の前に敵が居る状態で、5分。5年と、さして変わらない時間だ。
だが。
ここからの逆転が、楽しいと。今、聞いた。この、偉大な敵の言った事を、実践してみたい。
顔に、覇気が宿った。まだ、終わらないか。隠し武器は、もう無い。
「いざ、」
「尋常に」
「参る!」
「勝負!」




