反撃。
ダイコウチは、神々の血で濡れた。
正小殴音と正大殴音が牽制。その隙を、右大刃と左大刃が突く。そして4人がかりで動きを止めた神を、絶対的な一撃で屠り去る御武行。
「強かった。5将軍全員で、1人をやっと」
「ああ。応援が来なければ、どうなっていたか」
御都にも、神々は来ていた。ただ、コウチからの援軍が、星の降った翌日には来た。
「やっぱ、つええな」
「うん。伊達じゃない。私、会わずに済んで良かったあ」
平特盛、金甲量猟。
5人の連携は完璧だった。5将軍は、以前の戦乱で総入れ替えとなったはず。3名家が、全員斬ったからだ。それで、この錬度。生半な稽古ではあるまい。
もぐもぐ
「うーん。マシロの作ったケーキのが、味が濃いね」
「ああ。やはり、あいつは飛び抜けている。手強いライバルだ」
死んだ神を食べるマオミドリとマキ。放っておけば、復活する。
「ありがとう」
「どういたしまして」
マオミドリは、獣沓とも分け合う。
獣沓は御都まで、全員を乗せて海を走って来たのだ。
「お」
「お帰りなさい」
「ただいまです。もう、敵は居ないようですね。出現時間に、差を付けられてると、面倒ですけど」
御都を飛び回り、異常を探して来た仮要明が戻った。
「特盛。これで、終わりなのか?」
「実は分かんね。今は居ないのは確実だが、もっと来るかどうかは」
「なるほど。協力感謝するぞ。ありがとう。後日、正式な礼状を送ろう」
5将軍は整列し、特盛達に頭を下げた。
「どういたしまして、だ。形としては、ダイコウチ全てを、おれ達は守る義務が有る。普通の仕事に過ぎねえ。お前らの顔を潰しちまうがな」
「ふ。それでもだ。いつか、いずれ。この御都が旗を掲げる時。今度は、おれ達がコウチを守ってやろう」
「楽しみにしてるぜ」
気の強い笑いを交し合う特盛と正小殴音。ひやひやする他の将軍。コウチへ反意を表明するのは、命がけだ。
「んじゃ、帰るぜ。世話になったな」
「また来い」
御都には3日宿泊したが、獣沓の寝泊りする場所として、訓練場を貸してもらっていたのだ。人間の泊まる場所として、将軍格の住居も提供してもらった。
魔獣の背に乗り、走り去るコウチ一行。
「正小殴音。心臓に悪い事をするな」
「申し訳ありませぬ。ですが、奴は、奴とは隠し事無く付き合いたいのです」
「分からぬではないが」
特盛は、5将軍全員と見知った間柄だ。その人柄も知られている。だが、特盛以外の人間がどう思うかは、未知。
「消えよ」
「マアカ!皆を守って!」
「うん!!」
マアカは、炎熱を発生。街に衝撃が行く前に、相殺。ダイコウチに属するモノは、家族の持ち物。守る!
人々に、家に。害をなそうとした神。
モモは、駆けた。
「身の程を知らぬ」
神は、手加減抜きの神気をモモに食らわせる。モモの魔力密度で防ぎきるのは不可能!
一点で食い込ませる!拳に魔力を集中。神気は、全方位に向けて放出されている。その内の、一方向を破るだけなら、出来る!
オオ
それでも、持って行かれる体。食い破った一点に身を滑り込ませ、何とか接近。次の攻撃の前に、打ち込む!
「おそ」
「遅い!」
あれ程の神気を続けざまに撃とうとは、大したものだが。モモの踏み込みは、速い。
全速。蹴速と向き合う時は、決して取れない戦法だが。街を破壊すると言う意思の下の攻撃でないなら、眼前の相手は、力の使い方を知らない。前に進む、それだけの動きを最特化させたモモの足運びは、蹴速以外に後れを取らない。
神気の入る、その一瞬手前。モモの拳が、入った。
「ぬう・・」
「フッ」
呼気を鋭く吐き、適切に丁寧に打ち込み続ける。抵抗を許さず身動きを取らせず後退をさせず。徹底的に相手の動きを封じつつ、良いように殴り続ける。
通常、神の肉体は殴られる傍から、治る。だが。
「ぐう!」
モモの拳は、神の肉体にも魔力を留める。
そして。
モモは、魔力を持ったモノ全てを殺せるのだ。
唐突に死んだ肉体。気を魔力を収め、自身の肉体の修復に集中するモモ。かなり手強かった。巧く神気を削り、魔力を突き抜けるよう構成したが、それでもキツイ。
「やったあ!!」
見事な動きを見れて、そしてモモの勝利に終わって、大喜びのマアカ。
「お見事」
「流石だな」
周囲を見て回り、帰って来た一飲涙と合沓。やはり合沓に乗せてもらっている。
鮭川の神は、たったの1体?4人は一旦、コウチ詰め所に寄り、話し合う。
「どう思う?あれで、終わり。なんて」
「マオミドリとマキの組が、御都、刀農、フ・ズィ、ヤマトを回ってる。そっちに注意が行ったのかなー」
「そうかも知れませんね。あちらには、魔の総本山、フ・ズィ。人間の実力者の巣窟、ヤマト。私が、脅威となる場所を襲うなら、向こうです。正直、鮭川を襲っても、得られる物は土地のみ。人間ならともかく、神が戦をしかける口実にはなり得ないでしょう」
流石に一飲涙は、エヒメナンバーワン。戦力として劣ったとしても、その武略は、劣るものではない。
「なるほどな」
合沓も、自ら望み戦場に出て来た。勉学に励んでいて良い。親にはそう言われたが。実際、外の風を浴びて分かる事も有るだろう。そう思い、来た。面白い。
「この地には、神の痕跡は無いのか?中つ国とグリスが真っ先に襲われた。つまり、神族の末裔は、此処には居ないのか」
「聞いてみましょうか」
合沓の言葉を受けたモモが、鮭川駐留のコウチ兵に聞いてみる。
居なかった。鮭川には。ただ、ブルーランドの生き残りによると、かつてブルーランドの民はヴァイキングと袂を分かったわけだが、それを更にさかのぼると、グリスに行き着くらしい。
だから、先程の神が現れた?だとしても、先に襲われた2国には、複数出現している。広い鮭川に、点在しているのか・・・。
「歯牙に聞くしかないな」
「そう、ね。それが確実ね。一先ず、帰りましょうか」
とりあえず帰る。コウチ詰め所に、緊急時は先ず連絡を取る事を言いつけてから。魔獣ならともかく、今モモが戦ったレベルは、刀農、御都まで平らげられる。ヤマトまで止まるまい。
ミヤザキは、異変が生じていない異変を察知した。
神々が突如として現れた世界にて、全く現れないナインライン。
その理由。巨鬼咲黄は、心当たりが有る。
前兆と取るべきだ。ナインライン、ミヤザキの魔力が、再び枯渇しようとしている。だから、神々はこちらを標的にしていない。コウチからもたらされた情報と現在の状況を照らし合わせると、そう考えられる。
同じ轍を踏んだなら。首をすげ替えられる。次は、仮要明辺りか?それならそれで良いかも知れんが。おれも、死にたくない。ここらが、引き時か。
ミヤザキは、魔力結晶の生成を一時中止。職人と工場には、別の仕事をあてがう。コウチの協力を得られれば、魔力の復活も自然に行われる仕事だ。ただ、作業者は嫌がるか?コウチには、先に話を通さなければ、不味いか。忙しくなる。
1週間と3日後。神が現れてより、10日。
今度は、こちらから仕掛ける。
「天を獲る。神は殺す。おれらあの邪魔になるものは、要らん」




