山脈と海岸。そして。
「行ったぞ地居!」
「分かってる!!そっちも気を付けろ!!」
山脈都市、八神。今は、六神になってしまっているが。
突如、山脈都市に現れた神々。その末裔である山脈は、星を降らせた神々を、討つ。1度コウチに付くと決めた以上。覆しては、己への裏切り。それ以前に。あの化け者共を裏切る事は出来ない。
ましてや、気に入らぬからと言って、民を傷付け家を壊した者達を仲間と受け入れるなど。出来ん!
オ オ オ オ オ
神化の続く限りに斬る!
強い。確かに、神を名乗るだけの事はある。
が。
「行ける!こいつら、もろい!」
「ああ!」
蹴速達に比べれば、あまりにも技巧も迫力も無さ過ぎる。あれらと稽古を積んだ今なら、勝てる。勝つ自信が有る。
神々は、多少の跳ね返りが居る事は想像していた。だが、まさか全員一致で、しかも士気高く勇猛にかかって来るとは。
新しく創り直すか。
戦闘の真っ最中に考えに耽った神々を斬り倒し、次に向かう地居。神化の制限時間は、そう残っていない。急ぎ、全滅させる。
敵は奇しくも、8体だった。残り、3体。
「やんちゃが過ぎるな」
「ああ」
神々が、気を入れた。神化状態の地居をして、近付きがたい!なんたる神気。
本気の2体。周りで戦っているもう1体。地居は、眼前の2体をどう始末するか、考えていた。
取りあえず、斬ってみる!
カ
素手で、止められた!
ゴ!
全力での斬撃を止められると同時、蹴りを入れるとあっさり入った。本当に、こいつらザコなのか?
さして苦戦する事無く、殺した。
「被害状況は?」
「怪我人2人。だが、打撲程度だ」
「良し」
神化を使い終わった地居は、もう動けない。終わるまで保ってくれた体に感謝。仲間に感謝。だが、
「全く。やんちゃが過ぎる」
生き残っていた?
「子孫の繁栄を喜ぼうではないか」
いや。こいつは、おれがさっき斬った奴。
復活したのだ。
「どうした。我らを人と同じに思っていたか?」
これは・・・・「コウチの言った通りの展開」・・・。
「申し訳無い。初三千世界殿、お願い致しまする」
「おっけー」
何時、何処から現れたのか。山脈側も神々も、突如として出現した1人の少年の動きを見守ってしまった。
そして、その少年は抵抗を一切ものともせず、神々を消して回った。
「どうだ、復活するか?」
「ううん。完全に消したよ。神性を魔力で押し潰して。だから、もう二度と復活出来ない」
此処に居たモノは。本体ではなく、移し身を遣していた者達の本体は無事なはず。
これまた突如現れた梅が戦闘の終結を宣言。山脈には、平穏が訪れた。
梅達は、3日前から山脈に着いていた。そして星の被害状況を調査させ、海岸へも派遣を命じた。
この、活躍のカラクリ。
山脈に到着して以来、毎日。居座った室内にて、初三千世界の開いたゲートを用い、コウチとの連絡を取り合っていたのだ。
その中でのマシロからの伝達。完全に消滅させないと、復活しますよー。
梅には出来ない。なら、出来る奴にやってもらおう。
「海岸からは、まだ」
「はい。すぐさま連絡が来る手筈になっております。先程のレベルなら、連絡さえ出来ない程の窮地とも思えません」
この際だ。山脈とのルートを磨いておく。
神々を待つ間も、梅は稽古ではなく、八神との会議を詰めていた。これだけは、3名家にしか出来ない仕事だ。
歯牙は、さて、仕事をしてくれているか。神々の能力や行動を読め、と言うのは不可能。だが、今までと変わった場所、違和感の発生している場所、そう言ったものは読める。そこから割り出して行けば良い。
初三千世界と続三千世界は、常時どちらかが梅の護衛として控えていた。そしてどちらかは、あちこちを様子見。
夜。
「昼はご苦労だったな。お前達が居るのと居ないのとでは、全く違った展開になっていた。正直、助かった」
「もう。僕達仲間じゃない」
初三千世界は、梅にも気安い。蹴速の仲間と認識した相手には、皆に。
そして、初三千世界にも興味深い世界。知っていた。知識としては。だが、この世で、地に足を着けて、靴を汚し、砂をまぶす。あそこに居た頃は、知らなかった。大魔王であった頃は、外に出た経験が無かった。
今では、分身も居る。
「続三千世界には、何か不安要素は有るのか?」
護衛を借りたい、と言った時、2人をシロから勧められそのまま連れて来た。蹴速も反対しなかった。だが、まだ生後1年。蹴速ですら単独では勝てなかった大魔王の子とは言え。
「分かんない。僕の子なんだから、僕と蹴速君のステータスを引き継ぐだけのはず、だったんだけど」
子供って、何だろう。ただの後継者じゃないのかなあ?
「そうか」
全知全能でも、分からぬか。
ちょっと安心する。
「蹴速もシロも、続三千世界を引き止めなかった。なら、私達が心配し過ぎる必要は無いのだろう」
多分。恐らく。・・そうだと良いなあ。
続三千世界は、1人海岸を見回っていた。
見つけた。
お母さん。私の知識に無い生き物。梅さんと来て。
続三千世界からの連絡を受け取った初三千世界。この世界程度の広さなら、何処に居ても初三千世界は続三千世界からの連絡を受けられる。
「来たっぽいよ、あっちに」
「では。行くか」
八神に連絡を入れ、先行。八神も後から来る。
海岸。
続三千世界は基本、自由行動が許されていない。親である蹴速が心配しているからだ。しかし、同時に実戦を積まなければ、何時まで経っても独り立ち出来ない。それも、蹴速の心配事として知っていた。蹴速は魔力を扱えるようになっても、魔力防御を常時外している。心を、家族にそのまま、晒す。
行ってみよう。心配をかけるかも知れないけど。
お父さんを、守れるようになりたい。
好きなように、って言ってくれたから。好きなように、やってみよう。
続三千世界は、見知らぬモノに接近。読心を試みる。
「ん」
気付かれた。隠密をかけていないから、当たり前か。
?この人、私を知っている。
「お前。何故、うろついている」
「何故、とは」
「?故障したのか・・?」
故障?
「着いて来い。あの方に直してもらうべきだ」
知って放置しては、あの方に叱られる。
「はいはい」
初三千世界が来た。怪しい勧誘者を、とりあえず消してみた。
「何の話だ?」
梅と母親に、先程の会話の内容を一言一句たがわず伝えた。
「ふむ」
分からない。梅の知っている範囲の話では、絶対にない。
「初三千世界」
「うーん」
初三千世界は、普段にこにこ笑顔だ。何時でも明るい笑顔をたたえている。その初三千世界が、今、笑っていない。
薄っすらと。覚えているような。ううん。やっぱり、覚えてない。
忘れるなんて、初三千世界には、有り得ない現象なのに。
「行ってみるか。天とやらに」
コウチに帰還したアカとキの仕入れた情報も、梅の頭に入っている。気の遠くなるほど遠方の大魔王であった初三千世界と、関係が有るとは思えないが。
「うん」
行かなければ。分からない気がする。行って幸せになる気も、しないが。
「続三千世界。良く頑張ったな」
続三千世界の頭を撫でてやる。己の腹から出たのでなくとも。家の子だ。初三千世界が悩んでいるなら、私が褒めよう。
「ありがとうございます」
素直に礼を言う続三千世界。やはり、大人びている。
「僕も親として鼻が高いよ!」
梅に続き、子を撫でぐる親。どちらも似たような年齢に見える事を除けば、普通の親子だ。
海岸に警戒を張らせ、更に数日待機。それから、帰還。




