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これまでの、これからの日常。後編。

ざんざんざん!


だん!


「速い。元気やな」


「でしょでしょ。さっすがワタシ達の子供だよね」


「ああ。お前の教育が、良い」


「いやいや!父親に似たね!」


 褒め合い。父親、対魔蹴速。母親、海王デミコラーゲンクラーゲン。


 2人の子、デミアミノポセイドニア。


 子供の泳ぎを両親で見ていた所だ。家族での海水浴とも言う。


 水面上の蹴速に抱き付いて来るアミノン。水中から飛翔し、正確に蹴速の下に来た。良い動きだ。


 傍目はためから見ると、水生すいせい動物に襲われる人間の姿だ。アミノンは、まだ全然成長期に入ってないが、既に4メートルの体躯たいくだ。体重は800キログラムを上回る。5つの頭部と6つの胴体、100本を超える手足。ただ、それら全てが未成熟。今現在のアミノンは、そこらのサメに食われる程度の戦闘能力しか持ち合わせていない。


 子の体を撫でてやる蹴速。あまりに長く水から離れない限り、人間の血を引くアミノンは水から上がっても生きていられる。クラゲンは、危ない。水から離れて良い構造をしていないのだ。


「こっちに、人魚がるんよ。やっぱり、おれの嫁なんやけど。それで、その人魚の使うプールで、お前らも生きていけんかな、と思うてな」


「ふーん」


 どちらかと言えば、深海域に住む海王。しかし、陸上付近でも活動可能。


「ま、無理っす。あんまやる気は無いけど、ワタシ海王なんだよねえ。海の民が絶滅でもしない限り、離れる気は無いよ」


 その言い方は、不味い。蹴速なら、海を消す。魚が食べられなくなるので、やらないとは思うが。


「そうか。なら、これからもおれが通うわ」


「ゴメンねー」


「大丈夫よ。夫婦やもん」


 さて。


 クラゲンは、蹴速を扱いかねていた。頭は、まあオカシイ。それは知っていた。が、妙に情に厚い。んー。蹴速の子が居る、事で地上への牽制になれば。それだけを欲していたのだが。


 夫婦か。このちびっ子と。


 海王の背丈は、20メートル。大体、蹴速の10倍だ。


 お土産は、美味しいんだよなあ。


 まー。いっか。


「ドンドン来てね!ア・ナ・タ」


「おお!」


 眩しい笑顔。やはり、目の前の人間のキャラクターが読めない・・。


 赤い装束の者と共に跳び立つ蹴速。見送るアミノン。


「あんたは、お父さんのとこ、行ってみたい?」


 頷く子。まだ喋れない。それでも、地上を歩く位なら出来る。


「来週。行ってみるかい」


うん!


 強い頷き。


 なんか、寂しいって思っちゃうな。あいつ、魚になれば良いのに。そうしたら、こっちで一緒に暮らせる。


 ばーか。


 我が子を抱えて、海の国へ帰る。


「蹴速。あいつ、引っ張って来ないの?」


「おお。海の国の中に、ゲートを作る。どうやってかは、まだ分からんけどな。おれが魔族になれば、海底にも行けるはず。そうしたら、何時でも会える」


 蹴速は絶対に我慢しない。欲望に忠実に、全力で向かう。


 アカは、蹴速に教えられる己を幸運に思っていた。もっともっと蹴速と楽しめる。


 それに。出来れば、自分も引っ張ってもらいたい。戦って、戦って、戦って。蹴速の領域に追い付いて。今度は、自分が蹴速を引っ張る。


 ワクワクする。この身が消え去るまで戦っていたい。


「シロ。最後の確認。誰にもデメリットは無い。そうやな?」


「おお。間違い無く」


 ならば良し。蹴速は、3週間かけて、嫁を説得して行った。


 ここでも問題は、海王とその子。地球に在住する2人に、どうやって魔力を満たすのか。


「固定ゲートを海底に。更に、海水の流入はナシ。そんな部屋を作る」


 そしてそして、海王達の体の大きさで問題無い・・。


 見た事も聞いた事も無い物を作ろうと言うのではない。ちょっと大きくて便利なモノだ。少し時間はかかるかも知れん。だが、不可能とはとても思えない。


 嫁との幸せな生活のため。蹴速が全力を出すに、相応しい理由だ。


 あっちゃこっちゃ、それなあれな、あーだこーだ。


 昼間の蹴速は、魔王、魔神との時間に費やした。それぞれ赤ん坊を背負った人類最強と魔王達の姿は、それはそれで何か、感じ入るものが有った。


 久しぶりに、祝寝と2人きりの夜。


「変な世界に来て、ライバルが増えて、まあ計画通り子供が出来て。今度は、魔族」


「すごいな」


「あんたのせいよ」


「おお」


 その通り。だから、自信満々に蹴速は祝寝に答える。おれが、お前を連れて来た。お前が応えてくれたから。


「不老不死」


 さっぱり分からない。まだ成人年齢にすら達していないのだから、無理も無いが。


「まー、正直、おれも分からん。シロと戦うに当たって、便利そうやったからな。それに、楽しみの時間が延びるのは、いかん事やないろう。多分」


「ふーん」


 お話の中に出てくる不死生物の嘆き。つまり、ペットの犬猫が先に死ぬのが悲しいと言う心の働き。分からなくは、ない。が、それでも多くの人間がペットを飼うのだ。そうしたいから。そっちのが楽しいと思うから。


 ならば、皆で生きれば、問題も有るまい。


 色々。本当に色々な事が起きている。蹴速と人生を同じくすると思った時から、ずっと変わってない。


 このフラフラしてる男を捕まえておくのが、私の仕事かな。


 


 大海編。完。

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