家族写真。
家族が増えた。季節は春を迎え、夏も見える頃。
家の人口が倍になり、いかな蹴速亭と言えど、半分以上が埋まった。
大人達は、割と過労死寸前だった。
「すまん。お前達の助けなしでは、崩壊する所だった」
「いえいえ。こんなにも多くの御仲間の皆様。3名家付きとして、鼻が高いものです」
三鬼の家の使用人である、菅女。それに二神からも一一人からも救援を呼んで、ようよう生き残った。
「助かったぞ梟!」
「いえ。めでたき事。この度は、ますますコウチの勢力拡大間違いなし。きっと御両親様方もお喜びでありましょう」
「その通りだ!」
各家の都合、お話を進めている中、家とは関係の無い話も。
「皆、頑固だよねえ」
「ああ。おれ達に任せておけば、疲労など」
「だって。親だもん。皆、そうなんだよ」
「そうなんだろうねー」
各魔王が疲労を知らぬ発言をしているが、その実、彼らも疲れきっていた。確かに肉体疲労は瞬時に回復出来るが、休憩が全く足りていない。子供の数が多過ぎる。魔王の精神力を以ってしても、だれたー!と言わずには居られない。皆、よくも頑張ったものだ。
家の頭である祝寝も出産、育児に備えたため、今度は海鶴、己黄が家を切り盛りする事となった。祝寝から全てを学んだ海鶴と己黄は、その教えに素直に従えた。更にそれを魔王達にも教授する。それでも、人間の半数以上はつわりに呻く事になり、子供達の自立を促す良い過程ではあったが、誰もがクタクタになっていた。この時期は、蹴速すら仕事にそうそう向かえなかった。それは、本末転倒。誰が、稼ぐのだ、と言う話だが。それでも蹴速も家の中を走り回っていた。いつも、子の誰かを背負って。意図はしていなかったが、子らと触れ合えて、幸せな時間には、間違いが無かった。
「乳離れしたら、世界征服を再開するよ」
「おお」
有我が子に乳をあげながら、家族会議の席で言う。よく見れば、女性陣の半数以上が、子を抱えていた。子供達も出席し、茶やジュースを飲んでいる。
「んー。監督役として有我でも神無でも出向いて、戦うのはおれ達で良いんじゃないの?」
アカ。3名家に拘る必要も、もう薄いだろう。
「まーねー」
有我としても、痛い所だ。実質的に、蹴速や魔王達が居なければ、このダイコウチは在り得なかった。有我の頑張っているものは、言えばただの見栄だ。
「残りは、暗黒大陸と未踏地の東か」
ここ、ダイコウチから東。元の世界で言う、南北アメリカ大陸の事だ。蹴速達から、話だけは聞いている。と言うか、向こうの世界で何となく知識は仕入れていた。地図も持っていたり。
正確に言うなら、それ以外にも支配の届いていない地域は有る。有るが、急いで倒す必要の有る強国は、無い。はずだ。耳に届かないので。
この辺は、ミヤザキの情報網を拡大。更にヴァイキングとも協力体制を構築の上、全世界を監視監督するのが良かろう。もちろん、定期的に、コウチ自身が見回る必要が有ろうが。
空兵と海兵。そして、落ち着き次第グリス神族も当たらせる。人手は、確保出来そうだ。
今の所、ミヤザキの空兵とアインシェンの海兵を用いて、暗黒大陸及び、東の情報を集めている。
この情報獲得には、護衛としてヤマトの下位ナンバーを乗せた、豪火戦艦邪馬刀も駆り出した。ヤマト王は、顔を引きつらせながらも、コウチには逆らえない。ついでに、強者の情報を獲得して来るよう、ナンバーに言い含める十言と九重。
「どちらを、先に獲る」
「暗黒大陸。兆獣王とか言うの、狩りたいね」
「お前が行くのか」
「そりゃそうでしょ」
コウチナンバーツーとナンバーワンの会話。参加していなかったナンバースリー、梅が参加する。
「同時進行はどうだ。有我が暗黒大陸。神無は東。暗黒大陸は、恐らく予定通りに行くはずだ。東は、どの程度時間がかかるか、分からない。神無と私で、交代するのが良いと思う」
「なるほど!」
「ふーむ。良いね、それで行こう。意見の有る人は居る?」
「はい!」
大きく手を挙げたマシロ。
「はい、マシロ」
「私達にも出番を!」
「良いよ。各自、親と一緒でなら」
蹴速の足元でゴロゴロしていたシロが、びっくりしたように話に意識を向けた。そう来るか。
「ま、良いぞい。授業参観と言ったか。たまには良かろう」
「わーい!」
マシロ以下、子供達は大喜びだ。家族一緒で、狩りに行ける。
ここで家族紹介など、しておこう。
現在の蹴速家の構成となるが。
家長、対魔蹴速。家頭、能美祝寝。祝寝の子、祝速。海神の資質、海鶴。子、美津波賀。龍たる己黄。子、黄神。人間の魔王、アオアイ、人間名を青嵐亜意。子、藍意。9人。
コウチナンバースリー、三鬼梅。子、華英手。コウチナンバーツー、二神太郎花八郎神無。子、神居。コウチナンバーワン、一一人有我。子、有存在。未来予知、河歯牙。子、足速。明日のコウチを背負う、平特盛。子、数切。コウチを支える副将、金甲量猟。子、駆量猟。12人。
魔神シロ。子、マシロ。魔王アカ。子、マアカ。魔王アオミドリ。子、マオミドリ。魔王キ。子、マキ。魔王モモ。魔神側仕え、クロ。子、マクロ。11人。
地球最高格、超騎士。子、シュトゥルブ。通称シルブ。地球最強格、ジン。子、オリンジニアス。通称オルニ。地球最危双子、無双双児。子、緑炎と青炎。8人。
ヤマトナンバーワン、三十鬼三問。子、見問。クマモトナンバーワン、熊大将壱日。子、百日。ミヤザキ参謀、南刀仮要明。子、在亜主。エヒメナンバーワン、一飲涙美乗利。子、使生散。8人。
魔獣、獣沓。子、合沓。海王デミコラーゲンクラーゲン。子、デミアミノポセイドニア。大魔王、初三千世界。子、続三千世界。6人。
青星の希望の兄妹。兄の子、一番星。妹の子、足月。4人。
以上、58名の一家だ。この内、海王と、その子。青星の兄妹と、その子達。この6名は蹴速亭で同居をしていない。
故に、同居しているのは52名となる。ちょっとした大家族だ。
毎日がお祭り騒ぎながら、大人達も子供達も、ゆっくり成長している。
蹴速家の活躍記は、もう少し続く。




