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2人旅。フ・ズィ、そして御都。

 ヤマト散策。贅沢にもヤマトナンバースリーを伴にして。


「歩き尽くせねえなあ」


「当たり前よ。コウチより、遥かにデカい、ダイコウチ1の大都市だぜ!遊べる場所も幾らでも有る!」


 九重は、刀剣館、図書館、植物園、動物園、等を案内してくれた。


 ヤマトの歴史資料館も。


「ヤマトのナンバーは、入れ替わり激しいんだな」


「ああ。コウチの3名家は変えない事で強さを保っているはずだ。おれ達は変える事で新たな強さを求めている」


「なるほど」


「おれには、雲の上の話だなあ」


「おめーも、すぐに来るさ」


 この馬鹿は、強くなるか死ぬか。2つに1つ。死ななければ、生き残れれば、きっと強くなっている。だが、死にそうな気もする。あの化け物に入り込んだ時は、どうなるか想像も出来なかった。おれ達ナンバーですら、取れなかった戦術。死ぬなよ。


 三十鬼にも会えた。


「お邪魔します!」


「お邪魔します」


「いらっしゃいませ」


 三十鬼家。ご両親手ずからの料理をご馳走になり、泊まる。


「本当に邪魔をしちまった。わりい」


「今更だな。まあ、来客を歓迎していないわけでは無い。親も、話し好きだったろう。たまには良いさ」


「とても美味しかったです。つい食べ過ぎてしまいました」


「有難う。あなたに言ってもらえると、真に受ける事が出来る」


「おい」


「お前の言葉も、ちゃんと聞いているさ」


 三十鬼の部屋に、3つの布団。


 この3人、親友と言うほど仲良くも無い。奇っ怪な事に、家族では有るのだが。


「どうだ、ヤマトは。楽しめているか」


「ああ。九重にも十言にも世話になった。散々楽しませてもらったぜ」


「ええ。とても良くして頂いて。見るものも食べ物も、素敵でしたよ」


「ははは。あいつらに素敵と言う言葉はもったいないが。伝えておこう。客人をもてなせたようで、おれも嬉しい」


「明日。フ・ズィに向かうつもりだ。一旦お別れだな」


「また家で会いましょう」


「ああ。蹴速達によろしく」


 眠るまで、様々な話をした。三十鬼の子供の頃。九重や十言の逸話。邪馬刀国への想い。蹴速への想い。


「またな!」


「行ってきます」


 ヤマトトップクラスに見送られ、2人はフ・ズィへ。


 フ・ズィは、少々、様変わりしていた。


「ようこそ!フ・ズィパークへ!」


 入園料500円。


 これは。


 高さ100メートル横800メートルの門。そこに入園料やら、1日パスポートやら、料金表が。しかし、門だけ。そこには、門しか無かった。入園?


「何だこれ」


「建設途中でしょうか」


 何だかさっぱり分からないが、工事の雰囲気は無い。作業員も資材も見えない。分からんから、置いておこう。


 三完さんかんふたぎの下へ。


「お元気でしたか。ご活躍、こちらまで届いておりますよ」


「はい!鮭川では、三完さんのおかげで、何とかなりましたよ!本当にありがとうございました!」


「それは何より。差し出がましい真似をしましたが、特盛さんに何か有れば、悲しい事ですからね」


「本当に、ありがとうございました。おれの働きの半分は、三完さんの助力によるもの。礼を返しきれません」


「いいえ。あなたの力はあなたのもの。もう半分をお聞きしても?」


 三鬼梅だろうか。


「鮭川で死んだコウチ兵です。奴らが身を盾にして侵入、逃亡を防ぎました。おれが好き勝手に剣を振れたのは、あいつらが居たからです」


「そうですか」


 三完は、微笑んだ。足元を固めている。浮ついていない。本当に、良く生きている。


「初めまして、ですか?それとも2度目でしょうか」


「2度目ですね。ただ、あの時はちゃんと挨拶をしていませんでした。ですので、改めて。超騎士と言います」


「ええ。フ・ズィ代表、三完林です。特盛さんには、大変お世話になって」


 コウチから持ちかけた話。受けてくれたのも、面倒を見てくれたのも、フ・ズィ。慈悲深い、と言うのは、誇張表現ではない。


「あの。来る途中で見かけたんですけど。すげえデカい門が有って」


「ああ!見ましたか!どうです?見事なものでしょう!!」


 特盛と超騎士は、いきなりテンションを天井に届かせた三完にビビった。


「あれは、どのようなものなのでしょう」


「あれはですね!来るべき、フ・ズィパークの入場門なのです!」


「ほう」


「総面積、フ・ズィの半分。総従業員、150万人。1日の客数、1千万人を予定している、癒やしのテーマパークです」


「都市、にも聞こえますが」


「スケールデカいっすね」


「ええ。フ・ズィは魔の総本山では、なくなります。そうします。普通の人が、普通に暮らせる街にします。私が」


 目が燃えている。闘志が、意思が、輝いている。


「頑張ってください!おれも、出来る事なら協力します!魔物退治とか!」


「楽しみですね」


「はい!」


 三完林は、生き生きとしていた。


「おれ達の用事は済みました。礼を言えて、良かったです」


「そうですか。フ・ズィを楽しんで行って欲しい所ですが、特盛さんが居たなら、不進林を耕させてしまうでしょうね。また、来てくださいね。今度は、ゆっくりしていってください」


「はい!今度は、斬場刀無し、正真正銘遊びに来ます!」


「では、お元気で」


「はい。超騎士さんも。それで、これから、どちらに?」


「御都、刀農を回ろうと思ってるんです。おれは、どちらにも行った事がないんで」


「そうですか・・。無用な心配かも知れませんが。どちらも、コウチへの感情は、良くないはずです。お気を付けて」


「はい。ありがとうございます!でも大丈夫!おれはともかく、この超騎士は、超強いんですから!」


「おや。いつもなら、おれに任せろ、と言う場面では?」


「恥ずかしいだろ!やめろよ!」


「ふふふ。特盛さんなら、大丈夫でしたね。あなたはフ・ズィを守ってくれた1人。この旅に、幸いの多い事を願っていますよ」


「行ってきます!」


「では」


 2人は行く。三完は見送る。


 御都、刀農。特盛の知らぬ土地。何が有る。


 御都を首都に向かって上る。


「発達してる。ヤマトに引けを取らねえ」


「ええ。むしろ、こちらの方が風雅かも」


「この、一本道の途中途中に人の通れそうな道が有るのは」


「そうでしょうね。奇襲のために作ったのでしょう。もしくは、分散させて、各個撃破するために。今は機能させていないようですが。雅な都市でありながら、戦闘も想定されている。5将軍でしたか。伊達ではないのでしょうね」


「コウチ側の犠牲者も、ちょっと出てるからな。死人の数で言えば、あちらは将軍格6人のみ。似てるんだよなあ。コウチと」


 3名家は、基本的に先頭に出る。戦で勝つために在るのだ。もちろん、勝てるなら最後尾で構わない。


「御都、刀農は、ヤマトに比べれば脆弱と言った印象が有りますが」


「まあなあ。はっきり言って、ヤマトってコウチより強いんだろ。アカや蹴速、シロが居るから何とかなっただけで。三十鬼が有我さんと互角で、有我さんレベルがゴロゴロ居るとか聞いたぜ。実際会ってみて、そんな感じだったし。神無さんが神化で何処まで削れるか、だな。正直、おれは戦力には数えられない。盾として、1秒稼げるかどうか、か」


「それはまた。コウチの強運、でしたね」


「だから、御都、刀農が弱いんじゃなくて。ヤマトがつええんだよ。化け物の巣だぜ」


「ふむ。御都、刀農にも見所は有ると」


「多分。でなけりゃ、とうの昔にヤマトに吸収されてるはず」


「確かに」


 まさか。獲れる他国を生かしておく理由は無い。4ヵ国、ナインラインがそれぞれの国を保てたのは、強烈な1国が無かったからだ。どの国もナンバーを擁していて、どの国も隙を伺っていた。


 中つ国が1国でヤマトとにらみ会えたのは、神族会議が在ったから。神化を使いこなせる数十人の兵となれば、ヤマトであろうが全滅せざるを得ない。その使いどころを間違えれば、負けるのは中つ国。故に、にらみ合いが生じた。


 御都、首都イバラキ。都会でありながら、自然豊かな大都市。自然豊かと言う事は、魔獣豊かと言う事。首都で即訓練に入れる。5将軍は、そんな土地柄で生まれたのだろうか。


「メシ食って遊んで、2日くらいか」


「私は構いませんが」


「こっちには、全然知り合いが居ねえからな。適当に遊んでこうぜ」


「お付き合いしましょう」


「進んで甘味を漁ってくれてるから、楽しんでんだろうけど。お前レベルを付き合わせて、悪かったな」


「私は、旅行に来たんですよ。私では不足かも知れませんが」


「いや。面白い。うーん。ま、良いか」


「ええ。この旅が何かの成果を見せるのも良いですが。旅行は楽しくなくては」


「だな!」


 2人は大都市を練り歩く。武装した2人はジロジロ見られるが、それ以上の事は無かった。


 ただ。まれに、斬場刀、特盛、と言うヒソヒソ声は聞いた。


 素知らぬ顔で歩く2人。


「有名人ですね」


「なんでだ。鮭川なら、フ・ズィなら分かるけど」


 その2箇所から、噂は流れる。どう考えても非現実的な大きさの剣を振り回す非現実的な馬鹿。馬鹿みたいに強い馬鹿。鬼神、平特盛。


 実は、噂になっている事が、梅の耳にまで届いていた。ニヤっとした梅は、有名になりきった所で、お披露目しようと考えていた。


 そして、その特盛が御都に居ると言う報は、5将軍の下にも。


 見に行くか。


 確かに。巨きい。振り返る度、通行人が拍手している。そして、それを気にしていない。大物だ。


 あの大鎧の者も、いや、あの者こそが強い。特盛とやらの動きは荒さも有るが、大鎧は、動きの淀みが全く無い。


 街角からこちらを見る者に、超騎士は当然気付いている。強いが、攻撃の意思は無さそうだ。放っておこう。特盛は、当然気付いていない。


「ん?」


 特盛と、その者の目が合った。


 特盛は斬場刀を肩から下ろし、地べたに置く。刃渡り18メートルなので、少々オジャマだが、目をつぶってもらおう。


「よお。お前、誰だ?おれは、コウチの平特盛」


「私は、御都5将軍の1人。せい 小殴音しょうなごん。勝手に見ていて、すまなかったな」


 へりくだらない。腰低くするのは、3名家の前で十分。


「いや、そりゃどうでも良いんだよ。それよりお前、それなりに偉いんだろ?名所、観光地とか知ってるか?御都を楽しんで行きたいんだが、不慣れでよ。オススメが有れば、聞かせてくれ」


「ほう。観光か。襲撃でなくてホッとした」


「やって欲しいんなら。この街は今すぐ壊滅するぜ」


「謝罪する。言い過ぎた」


「おれもな。美味いメシは有るか」


「私が知っているもので良ければ」


「謝罪として、付き合え。腹減ってんだろ?だからカリカリしてんだ。メシだメシ!」


 3人は、小殴音のオススメのうどん屋に。

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