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蹴速一行、暗黒大陸より帰還。

「見事!よくぞ賊を殲滅してくれた!」


「いやいや!家族として、当たり前の事をしたまでだよう」


 ふはははは!


 その日。アオミドリの報告を受け、兵を走らせた所、確かに反乱の首謀者達だった模様。これは、評価に値する。


 神無はアオミドリに、ちゃんと蹴速の前でも褒めると約束。しかし、それだけで良いのか?


「良いって。テキトーに殺しただけだしね。難しいこと期待されても困るしー」


 実際問題。本当に期待されても困る。魔王の能力は有るが。やる気は無い!!


 だから、蹴速に褒めてもらえるだけで、良い。それで、十分。


 マオミドリは、これで良いのかどうか、少し考えたが。神無さんが、問題としてないのなら。良いのかなあ。


 コウチより、ナンバーツー、二神神無が現れた記念御前試合が開かれ、神朗が鍛え上げた者達の活躍が見れた。また、在野の自信の有る者も、スカウト出来た。良い収穫だ。


 そして、神朗と神無の模擬戦お披露目。


 二神を、コウチを知らしめつつ、兵の気を高める。


 暗黒大陸。北上中。


 名を持たぬ、と言う事なので、蹴速が名付けた。正確には、キと話し合って。


 獣沓じゅうか。こいつの特性は、蹴速と似ていた。怪鳥フラウを跳んで捕まえられる跳躍力と、それだけの加速を可能にする足。50メートルの大きさでありながら、身の軽やかさが有る。そして、蹴速、ジンに捕まっても、大怪我を負わなかった柔軟かつ強靭な肉体。恐らく、子供達となら、良い勝負が出来る。神無には、勝てないだろう。


「取りあえず、兆獣王に会うってのは、無しか」


「ぎいあ(ええ。聞く限りの印象ですが、兆獣王に、下の者を使うと言う発想は無いはずです。しかも、蹴速様から聞く数は、どう考えても暗黒大陸産出では、有り得ません)」


「ふむ」


 偉い、突出した者に会って答えが出るなら、これほど楽な事も無いのだが。仕方無い。


 内陸部。まだ、あの怪物の気配は無い。だが、足跡は見つけた。あのアリ塚が有ったのだ。そこから更に、怪物が通ったであろう道筋をたどる。


 そして、また。


「これは、偶然か?」


「分かりません」


「これを意図的にやるのは、可能だが。経過時間が長すぎる。魔神の野郎なら、そりゃ出来るだろうよ。だが、あたし達じゃ無理な話だ。その辺の奴らに出来るとも、思えねえな」


「ああ。恐らく定期的に開いているか、今日、たまたま開いたか。そして、定期的ならば、開きやすい環境なのだろうな」


 それは例えば、魔力が充満していて、不安定な環境。この暗黒大陸には無数の魔獣が存在している。魔力は、大地を駆け巡っている。そして、魔獣同士の争いによって、火花散る魔力の衝突が起きているはず。


 ゲートの開き方は、簡単だ。空間を破壊して、道を作り、出口を作る。この3工程。魔力でやるトンネル掘りと言ってもいい。それを人為的にやるには、豊富な魔力、コントロールする技術、根性、の3つが必要だ。全てを持ち合わせているのは、亜意とアカ。以前のアカには、コントロールしようとする意思が無かった。故に、アカ、アオミドリ、キでそれぞれ出来る事を持ち寄り、ゲートを開いていた。


 そのゲートが、目の前に。


「獣沓は来れるか?」


「流石にこれは、キツいと思うぜ」


「ふむ・・広げる事は」


「無茶苦茶言いやがる。やった事、ねえぞ」


 言いつつ。亜意は広げにかかる。キも魔力とコントロールを手伝う。


 蹴速がそうしたいんなら。あたしは、蹴速を驚かせたい。出来ない、と言う、想像の範囲内に収まっていたくない。


 最も厳しいのは、繋がりを維持する事。以前、こちらの世界から蹴速の世界に繋げた時も、1番消耗がキツかったのが、正確な道筋を創る時だ。全く何も無い、ではなく、障害しか無い状態で、正常なルートを探り、今、自分の魔力で不安定にしたゲート入口から安定した道のりを作らなければいけない。例えるなら、砂場でトンネルを作る。魔力を水として固定させつつ、自分の望んだ出口を探す。目隠しで。何処に出口が有るか、実は全く分からない。手探り状態で感知を働かせつつ、探り当てる事を祈るしか無い。だから、1度知った場所は容易だ。知らない場所は、キツ過ぎる。


 ま、穴の調整だけなら、そこまで厳しくもない。


 空気を割る音を響かせながら、拡張していく。大体直径20メートルも有れば、余裕が出来る。


「ぐうあ」


「気にするなや。お前が入れん穴の方が悪い。亜意とキに礼を言うたら、それで良い」


「どーでもいい。気にすんな」


「ああ。ぎあ(おれ達は、もう家族だ。共に生きる)」


「がああ(はい・・)」


 超騎士は、この暗黒大陸で、全く活躍していない。それ自体は、問題では無い。問題は、これで蹴速の注意が、他所にそれる事。家庭内競争は熾烈を極める。祝寝の覚えめでたき者が優先されるとかの都市伝説もアオミドリの口から流れて来た。それは、まあ、気になんて、してないけど・・


「超騎士、頼む」


「ええ、はい」


 少し、まごつく超騎士。全員が気付いた。超騎士は仕事中に、こんなよどみを持ち合わせていない。家ならともかく。これは、リラックスして仕事に挑んでいると言う事なのか。蹴速は、亜意を見る。亜意は、頷き返す。万が一は有り得ない。魔王級が相手に居るならまだしも。ここいらの魔獣程度なら、超騎士は傷一つ付かない。問題が有るとしたら、味方への結界を上手く張れないとかか。亜意とキも、超騎士に比べれば数段劣るが、簡易な結界を張る事は出来る。ぼーっとしてるバカが居たなら。目を覚ます間は、保たせてやろう。


 ゲートをくぐると、そこは宇宙。


 空気が無い。


 超騎士の結界によって、人間達の生命活動は保護されている。


「良く対応してたな」


「当然です。私の仕事ですから」


 蹴速とジンが、周囲を見ている。敵は居ない。


 つまり、手がかりも、無い。


「これは、手詰まりか」


「確かに」


 超騎士の探査結界でも、魔王の感知能力でも、何も怪しげなものが引っかからない。少なくとも、周辺千キロには。


「亜意。この場所は覚えられたか?」


「ああ。とっくにな」


「じゃ、一旦帰るか。獣沓の歓迎会もやらにゃあ」


 一行は帰宅する。当ても無くさまよう趣味は無い。


 今回の旅での収穫は、怪物は宇宙空間でも行動出来ると言う事。つまり、地球上の生物で無い事は確定と言って良い。他所から来たのだ。


 しかし。それが、地中から侵攻。


 ゲートを自在に開けるなら、直接地上を襲えば良いのだ。敵に取っても不確定要素?しかし、そんなものを戦略に用いるか?


 分かった事を本部に報告。今までと同じく地中に警戒。だが、万が一は、何処からでも来る。


 無双双児を回収し、家に。


「一歩進んだ。けど、決着は出来なかったね」


「ああ。でも、仲間は増えた。得たものは、大きいぜ」


「ぐおう(大きい、ですか?。手間が増えただけでしょう。心苦しいものです)」


「ぎお(気にするな。あえて言うなら、おれ達の誰も、決定的な成果を上げていないのだ。こんな時も有るさ)」


 獣沓は、蹴速家に、驚きの声で以って迎えられた。


 戦力としては、弱い。蹴速の愛妾としても、うーん。


 世話になった。蹴速には、それで十分。


「暗黒大陸?へー。そんなの有るんだ」


「有我も知らんかったか」


「うん。アインシェンまでしか、行った事無いんだよ。コウチの人間は」


「他にも大陸は有るが」


「うん。グリスやらに向かう最中にも見たし、アインシェン近くにも、有る。ボクらに征服されるを待っているね」


「すごいなあ」


 蹴速には、そこまでの野望は無い。毎日、自由に適当に生きていければ、良い。その自由のために、何も我慢しないのが蹴速だが。


「じゃ、折角1仕事終えた事だし、料理が出来上がるまで、汗を流そうよ」


 有我からの誘い。蹴速は喜んで受ける。


「ボクさあ。あんまり最近戦えて無いんだよね。魔槍とかも、結局斬れなかったし」


「気にする事は無いろう。おれらあが居る」


「分かってる癖に。ボクは、強くなくちゃ、いけないんだよ」


 踏み込み。普段の有我だ。速い。蹴速は躱してカウンター。いつも通りの2人。いつものやり取り。


 だが、蹴速の攻撃が、当たらない。正確には、手を足を触れれば、勝ちとしている。攻撃を当てると、死んでしまう。


 速いし、巧い。元々、魔神シロを相手取って、避け続ける事が出来るレベル。2対1だったとは言え。より巧くなった。


 有我との稽古で、蹴速が直撃を食った事は、まだ無い。蹴速がダメージを明確に負うのは、シロ、アカ、だけだ。受けるためにわざと、であれば、ジンも含まれる。


 本気では無い。だが、それは言い訳にならない。本気を出さない、そう決めたのは自分。ならばこれは。自分の弱さの表れに他ならない。


 蹴速の蹴りを全速で躱し、剣を軽く持ち、突っ込む。重要なのは、手傷を負わそうと躍起になってはいけない。蹴速には、重い攻撃など、絶対に当たらない。軽く、軽やかに、身軽に。


 有我は、数十の自分を現した。蹴速は、それに対応しようとするが、それより速く、有我の姿が消えた。


 ほう。確かに、強くなった。


 もちろん、蹴速は有我を捉えている。右。


 そこから、有我は全ての力を振り絞り、剣を突いた。蹴速は、一瞬思考し、指でつまんで止める。速すぎて、うかつに攻撃すると、ダメージを与えてしまいかねない。動きを止めて、終わらせる。


 有我は剣を離し、素手で挑む。これまた、何度も何度も繰り返した事。お互いに取って、愛着の有る行為だ。人類最強に素手で立ち向かう有我を、蹴速は愛しく思う。どれほど全ての自分を出そうと、容易くその全てを受け止める蹴速に、有我は溺れられる。


 最強の一一人とも有ろうものが。酒色に溺れるなどと。


 だが、蹴速なら、構うまい。この男ならば。


 そのためにも、蹴速には、自分より強くあってもらうと、好都合。だ、が。


 負けるのは悔しい。蹴速より強くなって、蹴速をかしずかせたい。


 今日は、有我の拳を受け止めた蹴速が、有我を抱きとめ終了。


「勝てないなあ」


「でも、強うなったわ。前より明確に」


「そう?なら良いけど」


 問題は、蹴速もまた強くなっていると言う事。重玉を家族に使った事は、まだ無い。完全に手加減されている。その状態ですら、一太刀も浴びせられてない。


 一緒に風呂に入り、宴会。獣沓のためにも、外で。


 楽しい夜になった。

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