長野盆地の縄文
長野盆地の縄文
リーダーは、気がついていた。
ここは、北川辺の集落に似ている。
縄文の理の中にある田んぼ。
三殿台からもたらされた新たな技術。それがここにもあった。
弓使いがひとつの小屋に入った。
リーダーは続いた。
「族長の親父さん、良いかな?」
小屋の中の親父が答えた。
「おお、弓使いか、久しぶりじゃのぉ。良いぞ、そちらの男は誰じゃ」
「峠を越えて来た関東のものです。ここは、縄文の集落ですか?」
「我らは縄文のままだが、弥生の集落の中にある。川向うに大きな集落ができておる。そこの巫女様を支持しておる。」
「弓使いの所の婆様は、どうなんですか」
「浅間山の婆様は、婆様じゃ」
「その川向うの集落の巫女様は?知ってるのですか」
「おお、そういうことか。知らないと思う。弓使いの事も知らないはずじゃ」
「どういう事ですか?」
「我らは昔から、此処におった。川向うに弥生の集落が出来て、吸収されたんだよ。」
「こちらには巫女様はいなかったんですか?」
「我らは浅間山の婆様の下にいたのじゃ、いまは、たまに弓使いが来てくれて山の動きを知ることができる。」
なるほど、リーダーはようやく事情を飲み込むことができた。
族長が続けた。
「時の流れに沿っているんじゃ。米を作るようになったので、暮らしが楽になったよ。」
確かに、とリーダーは思った。
ケヤキでも米を作るようになって、楽になった。
しかし、この族長は、縄文の理の中で生きてるようだ。話がスムーズだった。さらに族長が続けた。
「川向うには、弥生化した集落が幾つか出来てるようじゃ、八ヶ岳の向こうから、新たな動きが来ているようじゃ」
この族長は、いろいろ知っていた。
「八ヶ岳とはどういうところなんですか?」
「昔から石が取れる場所じゃよ。」
「弓使いは、八ヶ岳を知ってるんですか?」
「ああ、知ってる。」
弓使いは、知ってるようだ。
族長は、関東の話が聞きたいと言うので分かることを伝えた。
峠の先にも広い大地が広がってることに、興味津々だった。
族長にも竹弓は、興味を持たれた。
族長は、川向うの集落の巫女に会うことを提案してくれた。
昨日狩った、シカ皮を土産にすれば喜ばれるというのだ。
弓使いとリーダーは、ここに一泊させてもらった。
ホオノキの葉で保存したシカ肉を出したので、族長は喜んでいた。
夜になると月が白く輝いていた。




