浅間山の婆様
浅間山の婆様
弓を肩にかけていた案内した男は穴の前に座った。
大岩の先には、いくつか小屋が立っている。
大岩が重なるところから、リーダーは、穴の中に入った。
その中は、奥が以外に深く、穴の奥に明かりが漏れる所があった。
中に入ると、石を組み合わせた炉のような構造で焚き火が燃えていた。
その奥に影のようにゆらゆらして見える影があった。
その影から声がした。
「よう来た。お前はケヤキの巫女の所から来たのだな。」
リーダーは、先読みされるんだろうなと構えていた。
「そうです。婆様、、、ですね。」
「ほほう、中々慣れたもんじゃのぉ。」
「北川辺の大巫女様がいつもされてるので、大巫女様は、、、」
「よいよい、北川辺の大巫女は知己じゃ。」
リーダーはさらに恐縮した。
「お前を褒めてるんじゃよ。峠を越えてきた感想を聞かせておくれ。」
リーダーは、一息ついて答えた。
「はい、佐久平の草原に知らない獣が群れをなして走っていました。集落まで見ませんでしたが、米作も進んでいるようですね。」
「どう思うのじゃ?」
「そうですね。しかし、我らは気にしません。あの獣は何なのでしょうか?」
「は、は、は、そうか気にせんか。あれは、馬じゃ。あれに乗って走ると速いぞ。」
「そうですか。馬ですね。了解しました。」
「その内、峠を越えて関東にも入るじゃろぉ。」
関東は平野だ、馬は活用できるだろう。とはいえ、状況は分からなかった。
「山歩きはどうじゃ、大丈夫かな、秋ほどの弓使いを案内させるからな。」
リーダーは世話をかけるのが、悪いとは思ったが、知らない土地だから案内は助かる。
「山を行くんですか?」
「そうじゃ山を一泊して、長野盆地に入る。そこに縄文の集落と弥生化した集落がある。」
「なるほど、知らない集落を見れるのは楽しみです。あの、近畿圏という勢力はどうなんでしょう?」
「近畿圏は、遠い昔、海の向かうから来た勢力が奈良盆地に米作を始めた者たちじゃ。伊勢の大巫女が縄文のものを共生させた新たな勢力じゃよ。」
「はは、支配勢力なんですかね。」
「まぁそうなるかな。」
「北川辺の大巫女様の所にも伊勢から巫女の卵が来て、縄文の理について、色々話があったみたいです。」
「北川辺の大巫女なら大丈夫じゃろぉ。伊勢もごちゃごちゃ煩いからのぉ。でも我らは理に逆らわず、生きていけばよいのじゃ。」
リーダーは巫女たちが同じことを言う事に感心していた。
「あのぉ、婆様は、巫女なのでしょうか?」
「率直な質問じゃな。我は我じゃ、巫女ではないよ。この山を知っているだけじゃ。」
リーダーは、婆様が、巫女ではない事には、理解できなかったが、おっしゃる通り受け取った。
焚き火の薪がバキッと音を立てた。




