巫女の卵
巫女の卵
巫女の卵が三殿台に着いた。
族長は、彼女を北川辺に送るために、先触れを出した。
北川辺の大巫女は心得ていて、いつでも良いと返事をよこした。
そこで、三殿台の巫女と来た巫女の卵と話をさせて、翌日に中型の舟で送ることにした。
三殿台にいる巫女は、巫女の卵の先輩だった。
「近畿圏の理は、この地でも弥生化に有効よ。」
「弥生化は、米作が、進むことですよね。」
「そうよ。米作の実戦は、季節などの時期を見いだして、水利の管理を伝えるのよ。」
三殿台の巫女は、巫女の卵に、習ったことを実践すれば良い事を伝えた。
巫女の卵は、三浦半島から入り関東の平野を見た動揺を好奇心に変わるようだった。
翌日、中型の舟に乗り込み、北川辺に向かった。
東京湾は静かな海だった。
風が頬を伝って潮の香りを運んできた。
川の河口が幾つかあったが、迷いなく、その河口に入っていった。
ミャー、ミャー、ミャー
海鳥が跳んでいる。
舟が揺れ始めた。
波が押し寄せてくる。
舟が前進すると波が穏やかになった。
海鳥が河口に去っていった。
川幅は広い、両側に微高地が見えてくる。
しかし、太平洋を渡った時に見えた山々がない。
広い湿原が広がっていた。
ピー
鷹が空高く跳んでいる。
「すごい世界だ。ワクワクする。」
巫女の卵は、これまで見たことのない世界の広さに圧倒されていた。
微高地に竹林が見えると小屋が立ち並んでいた。
その先に田んぼが見えた。
川が蛇行した。
右側に川辺が見えてきて、そこで降りた。
微高地に上り、小屋が立ち並んでいた。
小屋はカヤで作られた昔ながらの小屋だった。
女達が火を焚き、料理をしていた。
広場に出た。
まだ朝早いのか、誰もいなかった。
三殿台から運んでくれた男が先導して、小屋に入った。
小屋の中に北川辺の大巫女がいた。
「巫女の卵か、こちらに来い。」
巫女の卵は、大巫女に言われるように焚き火の反対側に座った。
「大巫女様、巫女の卵です。宜しくお願い致します。」
「おお、名があるのか?」
「サワと申します」
「サワか、、、船の旅は楽しかったか?大きな声で叫んでおったな」
巫女の卵の《サワ》が驚いた。
「土地が違うようだな。関東は、伊勢とはだいぶ違うからな、、、」
サワは、見識の高い大巫女の言葉に、驚いていたが、言葉が出なかった。
大巫女は、伊勢の巫女の卵が来たことに何も感じていないようだった。
警戒されるかもと思っていたサワは、拍子抜けだった。
大巫女は、親父たちを呼んで夕食を共にして、サワを紹介した。




