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忘れられた王国  作者: 熊さん
第一章:関東の縄文
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ケヤキの集落

ケヤキの集落



北川辺から利根川を遡った左側に微高地があり、その先に大きなケヤキの木があった。


ケヤキの木の前には小屋があり、左右に小屋が並んでいた。


ここは、ケヤキの集落。


左側の奥の林に、男たちがバラバラと集まっていた。

男、2人がオスの大きなイノシシを追っていた。


イノシシは、後から追われて、利根川とは別の荒川の方へ向かっていた。


バラバラの男たちは、先回りして少し大きめの石を抱え、荒川の草原の縁で構えていた。


リーダーの男は弓を構えている。


風が荒川に向けて吹いていた。


シュッ、シュッ


イノシシの目と首筋に弓が刺さった。


ボコ、ボコ、ボコ、


構えていた男たちがいっせいに、石をぶつけていく。


追い込んだ男が石斧で首筋を叩き倒す。


ウォーっと皆の声が上がった。

オスのイノシシが倒れた。


足を結び、棒を差し込んで担いで運ぶ。


一方、利根川の伏水流では、女どもが腰に籠をつけて、魚を両手で掬い、モロコやオイカワをポンポンと籠に入れている。


ケヤキの集落は、移動するグループがケヤキの木に魅入られた巫女が、ここに定住したいと言い始め、定住を決めた集落だった。


ピー


と、ケヤキの木に鷹が止まった。


ケヤキの前の小屋に巫女が一人、焚き木を燃やし、目を瞑っていた。


焚き木が、バキッと折れた。


その瞬間に鷹が飛び立ち、天高く跳んで行った。


そこにケヤキのリーダーが入って来た。


「巫女、イノシシを狩ったぞ、いま捌いているところだ。余った肉は、燻製にしてもらう。」


「リーダー、ちょうど良かった。いま、北川辺の大巫女から連絡があったの、行ってくれない?」


「爺さん小屋の前で、捌いてるから、後をよろしくお願いする。俺は、北川辺に行く。」


リーダーは、急いで利根川に向かった。

途中で、魚を獲っていた女どもとすれ違った。


「巫女の使いで北川辺に向かう、丸木舟を使う。」


「分かったわ。」


「あ、そうだ。イノシシを捌いてる。巫女に任せたから行ってくれ」


女どもは、ワーッと喜んだ。

笑いながら、去る。


リーダーは利根川の川辺に置いてある丸木舟に乗り込み、川を下った。


空は青く輝いていた。

風も爽やかに吹き付けていた。


北川辺は、微高地のすぐ下に砂浜があった。


リーダーは、丸木舟を留め陸に上げると、近くにいる男に声をかけた。


「ケヤキの者だ。止めさせてもらう。よろしく頼む。」


リーダーは、慣れたように声をかけ微高地に進んだ。

立ち並ぶ小屋を抜けて、広場に出た。


広場の先に大きな小屋があり、大巫女がいる。


リーダーは、小屋を見つめて、一息ついた。


ピー


鷹が青空をくるくる回っていた。


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