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掌の眼  作者: 瑠璃雀
夏休みの始まり
60/113

第一回ネコ討伐戦線 バレー&サウナ

 その後はバレーネットを張り、恭平の希望で1対1のアタックVSブロック大会となった。トス役は道明である。遊馬もチャレンジしてみたがネット上に手は出るもののブロックには至らない。恭平・智樹・智琉・鷹也・司全員が180センチを超える。バスケ部バレー部が大半であるだけに高身長揃いだった。


 司は手には当てたが、強烈なスパイクに弾かれてしまう。

「うへえ!バレーボールってこんな痛いわけ!?」

 おててふーふーしながら遊馬と共にコートの外に座った。そして智樹は10本のうち2本を当てたが、いずれもブロックアウトである。

「いってぇー‥何あのスパイク!」

 こちらもおててふーふーしながら戻って来た。そして智琉は10本のうち4本に当て、うち3本を見事にコートへ落とした。

「すげえ!3本もやられるとは!」

「はは!俺けっこうバレーボールも好きでさ。いやしかし強烈だった!」

 恭平と智琉は笑いながらハイタッチし、智琉はコート脇の3人ともハイタッチを交わした。


「本気でいくからな!!」

 道明のトスから思い切りジャンプし、強烈なスパイクを打つ。

「なーいす♪」

 鷹也は腿で受け、そのままリフティングし始めた。

「ちょwww鷹也先輩www競技ちげえwww」

 司が大爆笑し、遊馬と智樹、智琉までが腹を抱えて笑っている。トスを上げた道明も爆笑し、恭平はあきれ顔だ。

「ブロックだブロック!!何やってんだよww」

 器用にリフティングを続ける鷹也に、とうとう恭平までもが笑い出した。

「え?あれ?そういう系?」

「バレーボールだ!!このクソアンポンタン!!」

 仕切り直し、再び道明がトスを上げて恭平が跳ぶ。思い切り振り下ろして打ち込む、が完全にコースを読まれて目の前で叩き落された。

「このクソネコ!!」

「‥ネコってブロックするっけ?」

 道明が肩を震わせて笑っており、4人も爆笑している。そのまま連続でスパイクを打つが、悉くブロックされた。


「‥なんでコース読めるわけ?」

「へ?身体の角度、肩の入り方、肘、手の方向。見てりゃ分かるよ?」

 鷹也の言葉に恭平はぞわりとした。同じように打っているはずなのだが、微妙な差異で見抜かれているらしい。

「兄貴~鷹兄のそれって、バレーボール云々じゃなくって、武道由来だから。俺は跳べないからブロック出来ないけど、コースだけならたぶんある程度読める。」

 道明が言い、鷹也にトス上げを頼んだ。そして兄の前に立つ。

「よしこい!」

 トスが上がり恭平がジャンプする。道明はタイミングを合わせてジャンプし、指先をボールに当てた。

「うお!すげーなお前!」

 その後数本スパイクを打ったが、道明は全てボールに触れている。

「うん、やっぱり分かる。」

 恭平は悔しさよりも好奇心が勝ったようだった。

「おい鷹也!お前スパイク打てるよな?」

「…たぶん?」

 コート外にいた4人もわらわら集まって来て、司がトス上げをすることになった。鷹也がジャンプしてスパイクを打つ。恭平も道明も完全に裏をかかれた。

「ちょっと待てーーーー!何で、右手で構えてたのに左で打った!?」

「え?気が変わったから?」

 道明がつい笑い出す。

「バレーボールまで変態なのかよwてか鷹兄の挙動は読めねえ!!」

 そして司のトスが上がり、再びジャンプしスパイクを打つ、かと思いきやタイミングを一拍ずらされた。

「うがーーー!コースもタイミングもずらしやがったーー!!」


 今度は智樹や智琉も参戦だ。鷹也はすたすたと司の元に歩み寄り、二言三言なにかを言って戻って来た。

「何を企んでいるんだ!!」

 智樹の言葉に鷹也は微かに笑った。そしてトスが上がると、鷹也はボールを見てスッと膝を落としたが、ジャンプしなかった。智樹と智琉が釣られ、手を上げてジャンプしたまま固まっている。

 今度こそジャンプし、最高点に到達する手前でボールを思い切り叩いた。恭平の反応が遅れ、コートにボールが落ちる。

「クッソペテン師めえええええええ!!」

 双子が悔しがるが、恭平は笑っている。

「うへ!バスケだけじゃなくてバレーボールでもペテン師かお前は!!」

「人聞きの悪い‥。」

 そんな即席アタック&ブロック大会を存分に楽しみ、さくらは撮った画像を見て楽しそうに笑っている。


 その後は全員でサウナに行くことになり、着替えもないことからいったん帰宅し、集合して車で行くことになった。月影家前で集合し、男たちだけでサウナツアーだ。

 180cm超が5人というのはかなり暑苦しい。そして壁だ。道明はクラスでも背の高い方であるが、それでも170cmである。

「‥やっぱでけー‥俺こんな中でよく遊んでたなー!俺すげーー!!」

 遊馬が自画自賛し、兄たちは笑顔で遊馬を叩き撫でする。

「‥そしてゴツイ。体格だけなら道明も相当だよなあ‥」

 空手歴が長く、筋トレをしている道明はかなり筋肉質だ。細身の遊馬とは体格差がかなりある。高3の司も、大学生達もかなり体格は良い。

「‥お前どんな身体してんだよ?」

 智樹が思わず鷹也に声をかけた。

「‥こんな身体?」

 かなり筋肉質ではあるが、無駄な肉がない。兄世代の中ではかなり細く見える。

(見せ筋じゃないなこれ、筋力つけると重くなる。こいつは必要な筋肉しかつけてないのか‥)

 不思議そうな顔をしている鷹也の背中をバシンと叩き、ぞろぞろと大浴場へと進んでいった。

「いってー‥なんなの、今の?」

 気にするのをやめ、髪と身体を洗った後で大浴場の湯船に浸かった。全員が湯船に浸かり、たまに言葉を交わす。しばらくして道明が出て、サウナに向かって行った。そこから一人、また一人とサウナへ向かう。


「ふー!」

 ロウリュサウナに入ると一気に体温が上がり、ぽたぽたと汗が流れ落ちる。

「あっちー‥けどやっぱいいなー」

 遊馬も楽しそうだ。

「あれ?ネコはどこ行った?まだ風呂か?」

 智樹が窓から大浴場の方に視線を向けるが、ここから様子は見えなかった。

「あ~‥たぶん水風呂。うん、鷹兄変態だから。気にしない方が良い。」

 道明が言い、遊馬が笑っている。兄たちは不思議そうな顔をしたが、しばらくサウナの熱さを堪能した。


「10分!あっちいーー!」

 道明がサウナから出て、かけ湯をした後に水風呂に浸かる。

「うあーーーー!」

 気持ちよさについ声が出てしまうのは仕方ない。その後に智樹が来て、かけ湯をした後水風呂だ。

「この水風呂がたまらんよね。‥ってかマジで鷹也どこいった?」

「…あっち」

 奥まった先に極寒地獄と書かれた部屋がある。氷点下15℃の部屋に、5℃の水風呂があるらしい。

「‥あれはサウナの後に入るものだろう?」

「いや‥鷹兄、10分水風呂に浸かって、その後3分サウナ入って外気浴してる。」

 道明の言葉に智樹は固まった。そしてちょうど極寒地獄から出て来た鷹也と目が合った。

「はー‥あそこの水風呂最高だよなー」

 そう言い捨ててサウナに入っていく。

「…5℃の水風呂に10分て。おかしいだろ!?低体温で意識混濁とか‥」

「あーたぶん、鷹兄はそういう生き物だからー」

 道明は水風呂から出て外へと出て行った。司や遊馬、智琉、恭平も次々に出て来てはかけ湯をし、水風呂に浸かる。ここの水風呂は広く、10人は余裕で入れるほどだ。

「やっぱ水風呂いいなー」 

「さいっこう!」 

 鷹也がだるそうにサウナから出て来て水シャワーを浴び、そのまま外へ行った。

「…あいつ、5分もいなかったな‥」 

「鷹兄はそういう生き物」 

「なんだそれw」

 そんなこんなで外気浴をし、ととのう。約1名おかしな生態はいるがそれはそれとして。智樹や智琉も極寒地獄に入り、足先だけ水風呂にひたし悲鳴を上げた。


 サウナを満喫し、着替える。

「何かととのったわー」 

「何か疲れが抜けた!」 

「すっきりしたー!」

 全員が楽しそうに身体を拭き、服を着る。

「あったまったなー」

 鷹也がそう呟くと、6人が一斉に

「いやお前は冷えてただろうが!!」

 と突っ込んだ。

 そうして第1回ネコ討伐戦線は、完敗を喫して終了した。




智樹

「5℃の水風呂に入るのはせいぜい30秒くらいな!?」

智琉

「良い子は真似しちゃダメ、絶対!!約束な!?」




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