1-4 開眼の儀
1-4 開眼の儀
その日、七海は篁の家に直行するように言われていた。
七海が篁の屋敷に到着すると、既に到着して入浴を済ませた流水が霧江の手で着替えさせられていた。
「流水も開眼の儀なんだねえ。」
しみじみという七海に、霧江が頷き着替えるように促す。七海は軽くシャワーを浴びて髪を乾かした後、白衣に白袴、更に羽織を纏った後、瑠璃色と白の組み紐で髪を結んだ。
「今日はおねーちゃんも着るんだ!?」
ようやく準備が終わり、少し疲れた表情の流水が目を輝かせる。
「うん。私は途中までは一緒だよ?一番奥には入れないけど。」
「開眼の儀…って何をするの?」
少し不安そうな流水に、七海は柔らかく微笑む。
「神様にご挨拶、みたいな感じ。怖くないから大丈夫だよ。」
開眼してからというもの、影や妖などを見かけることも多くなっており、流水はどう接したらよいのか、まだ完全には慣れていないようだ。
「わたしはおねえちゃんと同じ色だよね?‥霧江さんとは違う?」
これには霧江が微笑みながら教えてくれる。
「羽織はね、系譜ごとに色が違うのよ。私は風系譜の家なので、この色。後で当主様たちが来られるけれど、それぞれ色が違うわ。」
流水はそれを聞いて目を丸くし、「楽しみ!」とわくわくしているようだ。そして再び質問をしたいらしく口を開く。
「おねえちゃん、その‥最近見えるようになったこれって‥ええと‥どういうもの?」
一族の皆が当たり前のように見ているので、普段はあまり気にしていなかったが、改めて何だろうとも思う。
「不思議に思うよね。突然色々なものが視界に入ってくるわけだから。」
七海が言うと、流水が大いに頷く。
「‥うんとね‥私も実は良く分からないというか、上手く説明出来ないというか。‥そういう疑問もね、あとでゆっくり聞ける時間もあるから。その時に一緒に聞こう?‥まずは深呼吸!」
流水は素直に頷いて、深呼吸をしている。そのたびにショートボブの毛先が楽し気に揺れる。
「おねえちゃんのその金具、きれい!」
羽織を止めている金具に目を留めた流水が目を輝かせる。銀細工の雪の結晶が羽織の上で柔らかな輝きを放っていた。
「これと同じかどうかは分からないけど、流水にも後で渡されるよ。今、流水が着ているのはね、仮の衣装なの。開眼祝の時にも着てたでしょう?」
流水は目を丸くしたまま頷いた。
「私や霧江さんが着ているのは、自分用なの。開眼の儀が終わると、衣装と、この羽織留ももらえるんだよ。」
それを聞いて流水は笑顔になり、同じものがもらえたらいいなと思った。
「さ、行きましょう」
霧江が先頭に立ち、その後に流水、最後に七海が後ろをついていく。
篁の屋敷の一角、小さな離れのうちの一つに霧江は足を踏み入れた。ここの離れだけは、母屋から渡り廊下で繋がっており、外に出ることなく入ることが出来る場所である。
流水が緊張した面持ちで足を踏み入れたその先には、もう一つ大きな扉があった。
「ここから先は静かに」
霧江の小さな声に流水はこくこく頷いた。予想に反して扉は静かに開き、七海が流水の横を抜けて扉を支える。
霧江が七海に軽く頷いて見せ、流水に手振りでついてくるよう促し、木の廊下を進んだ。七海も静かに扉を閉めてその後を追う。
建てられて何年になるのか、古びてはいるが木の床は磨き上げられ、窓の障子も輝くばかりの白さを保っている。流水はおどおどしながら、それでも周りをきょろきょろ眺めながら歩いていた。
「失礼します!水澤流水を連れて参りました!」
とある襖の前、凛とした霧江の声が響く。流水は一瞬ビクッとしたあと、不安そうに七海を見てきた。
「大丈夫」と声を上げる代わりに、流水の手をそっと握ると、安心したのか軽く握り返してくる。
襖を開けた先は、広い床張りの部屋である。腰壁も板張り、その上は天井まで白漆喰だろうか、ぬりかべになっている。
天井は木組みの美しい細工が施されており、家の倍以上の高さがある。広さ30畳はありそうな大広間だ。
そこにはこのエリアの筆頭三家当主――火乃宮家当主の美智、土門家当主の岳之、月影家当主の賢一が並んでいた。水澤家当主は篁だが、総代であるためここにはいない。
「準備は整っている。さ、こちらへ。」
大広間の更に奥、そこにも木製の両開き扉がある。土門家当主が先頭に立ち、両側の扉を火乃宮家と月影家が解放する。
ここは建物の外周に沿って渡り廊下があり、左右二か所からは下へと続く螺旋階段へ続き、今入った入口の対面にもう一つ扉があった。
土門が先頭で流水を誘い、扉の手前で霧江と七海は待機となる。儀式のとき、ここから先に入れるのは当主のみだ。
(おねえちゃんも霧江さんもこれないんだ…どうしよう…)
緊張しながらも土門の後に続き、不安になってつい背後を見ると、火乃宮家の美智が優しく微笑んで頷いてくれた。唯一の女性当主であり、同性ということもあってか、その笑顔に勇気をもらい、しずしずと廊下を歩いてゆく。
(なんか扉がいっぱい!‥何か意味があるのかな‥?)
火乃宮と月影がスッと前に出て扉を開放すると、不思議と広い空間が広がっていた。板の間と白漆喰の壁は、これまでと大きく変わらない造りだ。それなのに高さも奥行きも、果てしなく続いているように思える。
板の間の奥には白木の社が鎮座しており、淡い光を纏っているようにも見えた。
(‥わあ‥きれいなお社。すぐ近くにありそうだけど‥なんか距離感が分からないや。ふしぎ。)
「こちらへ」
狩衣に冠を身に着けた篁が静かに声をかける。傍らには鷹也が座っていた。流水はおどおどしながら篁の下へ向かう。
三名の当主たちは、鷹也を見て一瞬驚いたような表情を浮かべたが、黙って扉の前で控えるように正座する。
「開眼の儀を執り行う」
篁が厳かに言い、神楽鈴を手にした。深い色の木肌を持つ柄は長く、先端に向けて六本に枝分かれしている。枝の先には鈍い銀色の鈴がついた枝と、金色の鈴がついた枝が交互に連なっている。
シャン
鈴の大きさに違いがあるのだろうか、高く澄んだ音と、深く沈み込むような音が重なり、何とも言えない音色となって場に響き渡る。
篁が朗々と祝詞を述べているが、流水には内容は理解出来なかった。
<ふむ。篁の孫かね?>
<似ているようにも似ていないようにも見えるな>
声がしたかと思うと、人型をした光がそこにいくつか現れた。
「流水、自己紹介を」
篁に言われ、固まっていた流水がごくりと唾をのむ。人ではない、しかもこのような社にいる存在となるともしかして神様!?と考えると緊張で身体が震えてくる。
「みっみずさわ、るみ、です!」
ぺこりとお辞儀をすると、人型たちが一斉に流水の近くに集まってきた。
「にっ!」
緊張のあまりおかしな声を上げてしまい、再び固まる。視界の端で鷹也が笑っているのが見え、少しむーっとしてしまう。
<‥ふむ。まっすぐな子だの>
<まあよかろう>
<無垢な心根だ>
流水の周りをゆっくり回った後、人型達は再び消える。
「神々より認められた。水澤流水、本日をもって一族の見習いとする。」
篁がそう一声上げた後、再び祝詞を述べ始めた。やはり何を言っているのか、流水にはさっぱり分からなかったが、とりあえず何か認めてもらえたようだ。
「これよりそなたへ神具一式を授ける」
篁の言葉により、土門家と鷹也が大きな桐の箱を流水の前に置いた。桐の箱の上には和紙が置いてあり、更にその上に銀色に輝く小さな鋏がおいてあった。
「水澤流水 そなたの髪を数本、その鋏で切り、和紙の上に置け。」
流水が思わず視線を向けると鷹也は軽く頷いた。流水は前髪を数本切り落として和紙の上に置く。
「火乃宮の」
当主美智が進み出て、鋏を袋にしまい、髪が落ちないよう静かに和紙を折りたたんだ。一つ一つの所作が流れるようで思わず流水は見惚れてしまう。
丁寧に包まれた和紙を篁に捧げ、美智は再び扉の前へと戻った。
篁は小さな社の前に作られた祭壇に和紙を置き、白い紙垂のついた御幣を手にする。
(私の髪ってどうなるの?…もしかしてイケニエ!?)
流水は戦々恐々としながら篁が御幣を振り、祝詞を述べる様を見ていた。これが何の儀式なのかもさっぱり分からない。そもそも開眼が何なのかすら、未だに良く分かっていないのだ。
「これにて開眼の儀を終了する」
篁の言葉に場の空気が少し緩んだ。
「さて、こちらはこのまま片付けを行うのでな。先に霧江や七海の所へ戻っておれ。ワシらも少ししたらそちらに行くからな。」
流水は扉の前で一礼し、元来た廊下へと戻って行った。
「‥やっぱりここにいるんですね。本来なら、当主と儀式を受ける者しか入れないはずなのに。」
美智がそう呟くと、他の当主達もにやりと笑って鷹也を見やる。
「理由を聞かれても俺にも分からないからな?」
鷹也は不服そうに言い、当主達も仕方ないと諦めたように立ち上がった。四人でこの奥の院を手早く片付ける。流水の髪はこのまましばらく捧げた後、水澤家の桐箱に納められる。渡された神具もまた、悪用されぬようこの場で髪を切り、篁が持ち主と結ぶ役を果たしているのだ。
「後はやっとく。流水も待ってるだろうから、先に行ってくれ。ああ、この箱も俺が持っていくよ。‥腰痛めたんだろ?」
鷹也の言葉に土門は破顔した。
「だいぶ良くはなったがな、すまん、頼むよ。」
4人がその場を後にし、鷹也は軽く清掃して箱を担ぎ上げた。
30畳ほどの大広間は神楽殿と呼ばれ、ここで七海と霧江は待っていた。
「おねーちゃーん!」
パタパタと足音を立てて流水が七海の横に座り込む。
「もうちょっと静かにね、流水。ここもお社なんだし。」
「はーい。」
ちょこんと礼儀正しく座る流水に、七海はつい笑顔になった。
「神様?みたいなひとたち?に会ったの。おねえちゃんも会った?」
流水が声を落として報告してくる。
「うん、会ったよ。神様、意外と身近にいらっしゃるんだよね。」
「え、そうなの?」
思わず霧江を見やると、霧江も笑顔で頷いている。
「流水ちゃん、お疲れ様」
そう声をかけてくれるのは美智だ。土門と月影、篁が次々に戻って来る。
「さて、ここで我ら一族のことを話しておこう。開眼とは何か、開眼して見えるモノは何か、もな。」
当主達もその場に加わり、霧江や七海も含めて円座といった状況だ。
「流水、人が亡くなったらどうなるか考えたことはあるか?」
突然の言葉に流水は暫く考え込んだ。
「ええと‥魂は天に昇って‥善い行いなら天国に行くけど、悪い行いなら地獄、みたいな?」
皆笑顔でうんうんと頷いている。
「じゃあ幽霊っていうのは何だと思う?」
矢継ぎ早に質問をされるが、流水は再びうーんと考え込む。
「天にのぼれなかった魂?…とか?」
篁は静かに口を開く。
「これは我ら一族の言い伝えでな、実際の所、確かめる術はない。だから事実とは違うこともあるかもしれない。これを念頭に置いて聞いて欲しい。」
そんな言葉の後に聞いた内容というのはこうだ。
人が亡くなると魂は肉体から離れる。魂はエネルギー体であり、物質世界から解放され別位相へと進んでゆく。そして肉体に残された「想いの残滓」はしばらく現世に留まり、やがて消えていく。しかし、この「想いの残滓」はその「想いの強さ」によって留まり続けることがある。
この「想いの残滓」を一族の者たちは影と呼んでいる。影は無害なことも多いが、負の感情が大きいと沈み、凝集し、やがて瘴気を放ち始める。これが「穢れ」へと変容してしまうと、人や場所にまで悪い影響を与え始めるのだという。
「我らはその負の影が凝集した『澱』、『澱が放つ瘴気』、さらに凝縮された『穢れ』を祓い浄化するという役目を果たしてきた。開眼することにより、影たちの在りようが見えるようになるのだ」
流水は目をぱちくりさせ、篁を見ている。
「いきなりこんなこと言われてもねえ…」
美智がため息交じりに呟くと、月影と土門も頷いた。
「ま、別に今理解しなくたっていいさ。」
そう声をかけてきたのは、桐の箱を担いできた鷹也である。
「‥え?いいの!?」
鷹也を見て、七海を見て、その後篁を見つめる。
「ああ。一応一通り話すことになっているのでな。‥少しずつで良い。」
篁が静かに言うと流水はホッと胸をなでおろした。
「‥テストとかされるのかと思って、どうしようかと。」
「ははは、そんなことはないない。安心していいよ。」
月影が明るく笑い、流水に頷いてみせる。土門や火乃宮も笑顔で頷いてくれたので流水もようやく笑顔になることが出来た。
「今、身に着けている服と同じものを流水専用で用意した。これから流水は神楽を覚えてもらうことになる。」
篁の言葉に流水は微かに首を傾げる。
「浄化や祓いをするのに必要なのが神楽なの。」
霧江のフォローでようやく合点のいった流水が頷いた。
「あれ?お父さんやお母さん、普通の会社員だけどそういう仕事はしてないの?」
流水の問いかけに篁が頷く。
「祓いや浄化は、我らは金銭のやり取りはしないのでな、仕事は持つことが信条となっている。」
「と言ってもお菓子を頂いたりするのはお受けしているわ。あくまで金銭に類するものを受けとらないことにしているのよ。」
美智が補足を加え、流水は頷いた。
「流水は聞きたいことがあるんじゃないのか?」
そう声をかけてくれたのは兄の鷹也である。
「あ!うん! さっき現れたのは神様?それとアヤカシってなあに?」
篁が頷き、再び口を開く。
「我らの呼ぶ『神』とは自然神が多いようだ。アニミズムに由来しているようでな。付喪神や土地神など、物や土地に付随する神もおられる。妖はまた別の場所に住んでいるものが、こちらの世界に来て住み着いた、といった具合かな。妖に善悪はない。瘴気や穢れに触れ、災いを為すものへ変容することもあるが、ほぼ無害だな。」
再び流水は難しい顔をして黙り込んだ。聞きたいけど何を聞いたら良いのか分からない、といった様子だ。
「神さん達も妖たちも、こっちに完全に実体があるわけじゃないんだ。別の層というか、別の場所にいて、こっちには姿だけ結んでる感じかな。」
鷹也の言葉に流水は少しだけ頬を緩めた。
「あ!でも触れる気がするんだよね? 姿だけなら触れなくない?」
その言葉に鷹也はニヤッと笑って頷いた。
「その通り。本来なら触れない。けど触れてる感触があるのは、この掌の眼が向こう側まで拾ってるからかもな。‥確証はないけど。」
「眼って見るだけのものじゃなくって、そのベツイソーとか別世界?みたいなのを感じとれるようになるってこと?‥あ!そういえば妖たちの声も聞こえるようになった!」
流水が何となく理解した、といった表情で鷹也と話しているのを、七海は黙って聞いていた。自分自身良く分かっていないため、会話には入らなかったのだ。
「まあ、おいおい分かってゆけば良い。せっかくだ、日属性だけがおらぬが神楽とはどういうものかを見ておくと良い。」
篁の一言で、霧江と火乃宮、土門、月影が立ち上がった。
「鷹也?」
声をかけられた鷹也はニヤッと笑い、七海を見やった。
「ここはねーちゃんが見本を見せるところだろう?」
「えっ!?でも私もまだ習ってる最中で!」
七海が慌てて尻込みするが、鷹也は笑顔を向ける。
「だからいいんじゃないか。七海の神楽は所作がきれいだ。流水も七海の神楽、みたいだろ?」
「うん!!」
目をキラキラさせてこちらを見る流水に、七海は根負けして立ち上がった。緊張で乾いた唇を舐めて湿らせ、フッと息を吐く。指先が冷たく微かに震えているため、何度も握って開いてを繰り返す。
そして、鷹也が手を差し出すと、白銀の光がふわりと顕れ、一瞬、鳥のような輪郭を見せたかと思うと龍笛へと姿を変えた。同時に、七海たちの傍らに現れた光もまた、それぞれ槍や扇、太刀へと変じてゆく。
「え!?今のってなに!?」
思わず流水が声をあげると、篁が笑みを浮かべた。
「流水がきちんと神楽を覚えたのち、神に神楽を奉納するのだ。神々に認められると、パートナーを与えられる。“式”と呼ばれるパートナーは、武具や楽器へと姿を変え、力を貸して下さるのだよ。」
流水は一瞬見えた、七海の真っ白なキツネさんに目を奪われていた。
(もふもふだったー!)
龍笛の音色と共に、五名の神楽が始まった。それぞれの系統ごとに少しずつ型や所作が変わる。舞に合わせて武具が閃き、時折、鈴や笛の音に重なるように硬質な響きが神楽殿に走った。
七海は周りを見る余裕などなく、一つ一つの所作を完璧にすることに意識を集中している。周りの大人たちがそんな七海を補佐し、徐々に呼吸が合ってゆく。
「すごい‥」
流水は目をキラキラさせて神楽を、姉の七海をひたすら見つめていた。
「お疲れ様、七海」
鷹也に声をかけられ、七海はホッとして大きく息を吐いた。普段は茜や遊馬、道明といった同い年仲間との神楽しか舞っていないのだ。緊張感もとてつもなく、妹の前での失敗は出来ないと、必死に型を思い浮かべ、所作の一つ一つを完璧に再現してみせたのだ。
「おねえちゃん、すごかった!」
流水が七海の腕にしがみつき、瞳を潤ませている。
その後、鷹也を除く全員が篁の屋敷へと移動して行った。着替えた後、食事が振舞われることになっているのだ。
鷹也は神楽殿に残り、片付けと清掃をした後に篁の屋敷へ帰った。
「‥七海の眼が再び開くには、もう少し時間がかかりそうだな。」
食事をしているであろう和室の障子から柔らかな灯りが漏れている。鷹也は手早く着替えを済ませ、大学近くの自分の家へと戻るのだった。
「私もおねーちゃんみたいに出来るようになりたいな!」
流水が感動冷めやらぬ様子で七海に話しかける。
「ナナちゃんの神楽、良かったわ!」
「所作の一つ一つが丁寧だね。」
「将来が楽しみだなあ」
そんな言葉をかけられ、恐縮しながらも嬉しさについ頬が緩んでしまう七海だった。
七海の掌の眼は相変わらず両方とも閉じたまま、今も沈黙が続いている。しかし妖も見えれば、神様とも会話は出来る。自分が認められていないわけではないのだと、少し穏やかな気持ちになれたのだった。




