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掌の眼  作者: 瑠璃雀
夏休みの始まり
34/36

2-13 山での修行?3

 浄化と祓いの体験実習を終え、再び山小屋に戻って来た。

「さて、この後はまた自由に遊んでくれていい。さっきの神楽を見てね、君たちも自分の神楽が俺たちにどう映ったのか、知りたいと思うこともあるんじゃないかと思う。だから後で一人ずつ呼んで話をしようと思っているんだ。」

 圭輔の言葉に4人は顔を見合わせる。確かに皆の前では聞きにくいこともあるため、ホッとしたように頷いた。

「「「「宜しくお願いします」」」」

 4人が川遊びをするというので、注意事項だけを伝えると楽しそうに渓流へと向かって行った。



「さて、彼らと話す前にここで見解を共有しておきたい。」

 圭輔はそう言ってさくらと鷹也を見やる。

「鷹也、彼らの神力をあれほど精密に操作したのは正直、驚いた。」

 4人とも“神力”の存在すら分かっておらず、たまにちょっと漏れるかな程度だ。それを旋律で整え、彼らが感じ取れるか否かのギリギリのラインを狙って制御していたのだ。


「‥まあ前回俺が見たのは神楽選考のとき。そこから一番成長したのは茜ちゃんかな。道明は安定しているから、特に問題はない。遊馬は感覚派の天才だね。あの穢れに向けて放った矢、あれは驚いた。祓う一歩手前まで到達しそうだったんで、絞ったんだ。」

 鷹也はそう言って圭輔を見やる。

「やっぱりか。お前が言うならあの子は相当だな。そうなると、やはり問題はお前の妹?」

 圭輔は七海の神楽を思い出しながらそう問う。

「そうだね。人目があったせいか、どうしても“周りからどう見られるか”そこに神経が持っていかれる。両手開眼しているが、現在“眼”は閉じていてね。だから神力自体、俺が調整出来るほどの量がなかった。」

 腕組みをして、圭輔はため息を吐く。

「ですが、七海ちゃん、私や圭輔さんの神力を感じ取れていたようには思います。」

 さくらの言葉に圭輔と鷹也は頷いた。


「鷹也、君の妹にはどう指導したらいいと思う?所作としては完成に近い。ただ祓いや浄化は、所作とは別のところにある。‥難しいなと思ってね。」

 圭輔は困ったように笑った。

「七海の言葉を引き出して欲しいかな。指導というより、何を感じて、何を迷っているか。口にすることで気づくこともありそうだしね。」

 鷹也の言葉に圭輔は頷いた。

「確かに、七海ちゃんにはその方が良いかもしれません。評価をしてしまうと、そちらに引っ張られてしまいそうで‥。」

 さくらも心配そうに言い、鷹也を見やる。

「環さんの元で、改めて稽古をつけてもらってると、そう聞きました。‥まだ迷いが多いようですね。」

「‥七海らしくていいさ。あいつは時間がかかっても、自分で気づいて自分で出来る。大丈夫だよ。」

鷹也はそう言って薄く笑う。手のかかる妹ではあるが、真面目さも強さも素直さもある。そして脆さも。三人は頷き合い、どのように伝えるのかを話し合った。



 しばらくして最初に道明が呼ばれた。

「宜しくお願いしまっす!何言われるかこえーけど。」

 笑ってはいるが、やはり少し緊張しているようだ。

「ははは!そう構えるな。まあ改めて神楽祭選考おめでとう。うん、俺が思っていた以上に安定していて驚かされたよ。慢心することなくこのままいけばお前は大丈夫だ。」

 そう言われて道明は嬉しそうに笑った。

「けど圭さんにはまだまだ及ばないなってのも分かったよ。‥穢れって何か嫌な感じだね。あれが成長すると、災いを招くっていうのも分かったし。ああいうのってけっこうあるものなの?」

 圭輔は頷いた。

「街なかでもちょくちょく見かけるよ。ただなあ、今回のように“あれが穢れだ”と断定しないと見過ごす。今回ちゃんと見たことで、今後は気づくことも多いだろうね。その時には大人に伝えること。」

 道明は目を丸くし、その後で頷いた。

「分かった。‥なんとなく身体を流れる何かは分かった気がするけど、あれが神力ってやつ?」

 足が地に吸い付くような、かといって重くもない不思議な感覚だった。

「俺たち土系譜は、そうやって地のエネルギーを得るからね。その感覚が正しい。見ていて分かったよ。」

 道明は嬉しそうに頷き、いくつか質問をしたあとで立ち上がった。

「七海ちゃんを呼んでもらえるかい?」

「分かった!ありがとう、圭さん!」


 入れ替わりで七海が緊張した面持ちでやってくる。

「あの‥宜しくお願いします。」

 痛々しくなるほどの緊張っぷりに、圭輔は穏やかに笑いかける。

「君はずいぶん迷っているように見えるね?‥なにか気になることがあるのかい?」

 穏やかな笑顔を向けられ、七海は微かに吐息を漏らした。

「‥あの‥ダメだったならダメだったと、言って‥欲しいです‥」

 圭輔は笑顔のまま七海を見つめるが、当の本人は俯いてしまう。

「ダメだと断定出来たなら、簡単な話なんだよなあ‥」

 そう言って渓流の方を見やる。

「僕から見て君は、迷いながらも手探りで努力している、そう映ったよ。‥だからこそ、一番苦しい時だと思うんだ。現時点で結果だけを見て判断するのは違うとね。」

 温かく穏やかな声に、七海は顔を上げた。

「‥っ分からないんです。型が全てじゃない、場と調和と‥でもじゃあどうしたらいいの?って!」

 七海の縋るような視線と、圭輔の穏やかな視線が交錯する。

「それこそが今の君の迷いなんだね。」

「‥たぶん。みんなが見てると“ちゃんとやらなきゃ”って‥でもそれじゃダメなんだろうっていうのも、今は何となく分かるんです。‥でも‥」

 七海は言葉を続けられずに俯いてしまう。

「どうしたら良いのか、分からない、か。」

 俯いたまま七海はこくりと頷いた。圭輔は少し黙ったまま渓流の方を見やる。


「七海ちゃんは、神楽が好きかい?」

 突然問われ、七海はゆっくりと顔を上げた。

「最初は‥好きでした。けど‥今は分からない。‥怖い‥鷹兄にもダメだと思われていそうで。」

 圭輔はおや?と七海を見やる。

「あいつは余り話をしないからなあ。‥何て言っていたと思う?」

 七海は硬直したまま、拳をぎゅっと握りしめている。

「あいつは時間がかかっても、自分で気づいて自分で出来るから大丈夫だ、と。そう言っていたよ。」

 途端に七海の表情が変化した。嬉しそうな、しかし悔しそうな、何ともいえない表情をしている。

「‥信頼、してもらえてる?」

「そりゃそうだ。じゃなかったら、ここにすら参加させない。あいつはそういう奴だよ。」

 圭輔はそう言って笑った。

「‥そっか。時間、かかっても、いいんだ。」

「ははは。開花が早い者もいれば、遅咲きの者もいる。それは優劣じゃなくて、性質だからね。」

 七海は口元を緩めて頷いた。


「七海ちゃん、今は苦しいかもしれないけれど。それがきっといい経験になる。‥焦らなくていいよ。」

 その言葉に安堵の表情を浮かべ、七海は立ち上がった。

「ありがとうございました!まだ茜と遊馬もいるし‥悪いから。」

「そうか。気になることがあったら、いつでも話においで。じゃあ茜ちゃんを呼んでくれるかい?」

 七海は「はい」と答え、深々とお辞儀をして去って行った。

(ずいぶんと鷹也を意識しているなあ‥。影響を受けるのはいいが、あいつだしなあ‥)

 表情は明るくなったが、悩みの種が増えたなとため息をついた圭輔であった。



「宜しくお願いします!」

 茜が明るく言い、傍らに座った。

「あはは、さっそくだが感想を聞いてみたいな?」

「あ!‥えっと‥それよりも先に聞きたいことがあるんです。」

 茜の言葉に圭輔は頷いて話を促した。

「ナナがね、神楽を怖がっていて‥さっき見ていたときも‥その、ちゃんと出来たかどうか、を気にしているように見えて。‥ナナが暗い顔してたら、私、どう声をかけてあげたらいいのかな?って。」

 自分のことよりも親友が思い悩んでいることを気にかける茜に、圭輔は嬉しくなった。

「‥優しいなあ‥」

 思わず呟いた圭輔に、茜が顔を赤らめる。

「あ!いえ!そういうんじゃなくって!えっと!ナナが好きだから!」

 慌てて弁解する仕草が可愛くて、圭輔は笑ってしまう。


「そうだね、彼女は今、迷って悩んでいる最中だ。出口の見えない迷宮にはまり込んでしまったようなものだね。‥でもね、俺がアドバイスするよりも君が感じたことをそのまま伝えた方が、俺はいいと思うよ。‥だって誰よりも君が隣で七海ちゃんを見ているんだから。」

 圭輔の言葉に茜は笑顔になった。

「そう‥言ってもらえると、心強いです!ナナったら、あんなに何でも出来て器用なのに!悩むなんて贅沢なんだから!」

 そう言って口を尖らせる茜に、圭輔は笑ってしまう。きっとこの子がいたら大丈夫だ、そう思えた。


「じゃあ次は本題だ。途中で何か感じたように見えたんだけど?」

 そう問われ、茜は首を傾げながら頷いた。

「おへその辺りがポッと温かくなって‥腕の方へ流れて‥でもすぐに消えちゃった。あれって神力ってやつなんですか?」

 圭輔は笑顔で「正解」と呟く。

「鷹也がね、全員の神楽を見て、選考会から一番成長したのが茜ちゃんだと、そう言っていたよ。」

 その言葉に茜の表情がパッと明るくなった。

「わたし、型を間違えちゃうから‥怖かったんです。でも、間違えてもいいじゃん!って思うようにしたの。そうしたら‥自然と身体が動くようになって。まだまだだと思うけど、この調子でやってみようって試してる最中なの。‥これで大丈夫、ですか?」

 茜は少しばかり不安そうに尋ねてきた。


「もちろん。基本の型はもちろん大事だよ。けどね、細かな部分は個人差がある。そうやってみんな“自分の型”を作り上げるんだよ。だから大丈夫、そのまま頑張ってみたらいい。」

 圭輔の言葉に茜は嬉しそうな笑顔になった。

「頑張ってみます!色々な人に話を聞いてみたくなったかも。」

「そうだね、それもすごくいい経験になるから。応援しているよ!」

 茜は立ち上がって一礼した。

「ありがとうございました。個人面談にしてもらえたから、ナナのことも相談出来たし。きっとナナもこの方が良かったと思うから。お気遣い感謝します。」

 そう言った後にもう一度深いお辞儀をして笑顔を向けてくれ、あっくんに声かけますね、と言って去って行った。


「マジでいい子だな‥」

 圭輔の中で茜の評価が爆上がりしたのは言うまでもない。



「ちわーっす!」

 そして今回、ある意味最大の問題児がやってきた。

「うっす。君の式、面白すぎやしないか?」

 ウサ吉の姿を思い浮かべ、圭輔は笑いながらそう声をかける。

「そうなんだよ!なんかたまに勝手に顕現するし、蹴り入れてくるし!式ってそういう感じなの!?」

 その言葉に圭輔は笑い出した。

「いや‥けっこう珍しいタイプだよ‥腹いてえ‥」

 笑いすぎによる腹筋の負荷に、圭輔は腹痛まで訴え出した。

「ってかさ、鷹兄なんなん?あの笛、めっちゃ身体軽くなったし、今まで感じたことがなかった“神力”ってやつ?あれ全部さ、鷹兄のしわざだよな!?」

 鋭すぎる指摘に圭輔は思わず感嘆の声を漏らす。

「すげーな。鷹也が君を感覚派の天才と呼ぶわけだ。‥誰もそんなこと気づいていなかったのに。」

 遊馬は目をぱちくりさせて首を傾げた。

「‥へ?いやだって、それ以外に考えられないし。あの神力ってさ、どうやって強く?するの?」

 どんどん核心を突いてくる遊馬に、圭輔は驚きっぱなしだ。


「まずは自分の神力の流れを知ること。君は風の系譜だから、風のエネルギーも自然と得ているよ。まずそれが出来ないことには伸ばせない。‥穢れの存在、視界に入る前に気づいていたね?」

 今度は圭輔が核心を突く。到着する少し前から、遊馬が何かを感じ取ったように見えたのだ。

「うん。風が何か気持ち悪くて。変なものが混ざってるみたいな、だから早く何とかしないと落ち着かないっていうか。」

 圭輔はなるほど、と頷いた。4人の中でいち早く異変に気付き、落ち着かなかったのだろう。

「風の系譜は穢れや澱の存在に気づきやすいんだよね。もし普段の生活で気づいたら、即座に連絡して欲しい。自分で対応してはダメだよ?」

 遊馬は笑いながら頷いた。

「そりゃそうだー!だってたぶん、俺らが体験できる程度ってことは大したことないんだろ?それすらどうにも出来ないのに!‥あ、そんときは鷹兄に言えばいい?」

 破天荒そうに見えるが、しっかりと自身の実力を測れることに圭輔は再び驚いた。こういう天才タイプは自分の力を過信してしまい、大きなトラブルを引き起こすことも多いのだ。

「そうだね、鷹也に言えば対処も出来るし、必要に応じて篁さんへの確認もするやつだから。安心して伝えてくれればいい。」

 遊馬は笑顔で頷いた。


「ってかさ、風の系譜は穢れ?気づきやすいって言ってたけど、鷹兄が案内してたよな?やっぱりあれって鷹兄が変態だからってことでいい?」

 遊馬の言葉に再び圭輔は爆笑した。

「あははは‥そうだな‥間違ってない‥その認識でいいよ‥」

 圭輔の言葉に遊馬も笑い出し、しばらく爆笑し続けたのだった。



 遊馬と圭輔が戻ると、遊び疲れた3人が渓流の縁に座って話し込んでいた。

「何喋ってんだよー!」

 遊馬がそこに混ざると、七海が笑顔で「おかえり!」と迎える。

「いやー圭輔さんとさくらちゃんの神楽、すごかったよね!!って」

 茜が笑顔で言うと、遊馬もそれに混ざる。

「武具が違うと迫力も全然違うのな!扇がめちゃめちゃかっけー!」

「扇やばい!さくらちゃん似合いすぎ!!」

「さくらちゃんの武具はこれしかないって感じ!!」

「本当に舞いって感じで見蕩れちゃったし!」

 それぞれが感想を言い合い、その横でさくらが困ったように座っている。


「…あれ?鷹也は?」

「疲れたから走って来るって消えました。」

 小声で尋ねたさくらに、小声で返される。

「はい?疲れたのに山走りまわる‥?」

「ええと、あの制御じつはけっこう大変だったらしくてですね‥バランスとるんだって‥」

 二人は疑問符を浮かべながら話をしていたが、やはり理解は出来る気がしない。

「まあ、カレーでも作り始めるか。腹減ったら帰って来るだろ‥」

 圭輔はそう小声で呟いたあとに4人へ声をかけた。

「よーし!これからカレー作りだ!みんな手伝えーー!!」

「「「「おーー!!」」」」

 にんじんや玉ねぎ、ジャガイモを袋から取り出して適当な大きさに切る。

「鶏モモ、けっこう残ってるな!これ炭火で炙ったのをカレーに突っ込むとヤバいんだ。」

 圭輔はそう言って焚火をはじめる。

「あ、もしかして薪が少ないか?遊馬!拾いに行こうぜ!!」

 道明がそう言って遊馬を誘い、二人で枯れ木を拾いに行ってくれる。さくらと茜、七海は寸胴に野菜を入れ、飯盒に米をセットして準備していた。


「お肉が微妙に余ってますね。これも焼いてしまいましょう。‥明日は朝からフィールドワークしながら山を下りますしね。」

 さくらはそう言って野菜の残りを食べやすい大きさに切り、アルミの深皿へ入れた。このままバーベキューコンロに乗せれば炒め物が出来るらしい。


 そうして炊事をしていると、ふらりと鷹也が戻って来た。息切れしている様子もなく、軽く汗ばんでいる程度ではある。

「そいやさ、明日山降りるのにフィールドワークもやりつつだよな?」

 そう問われて圭輔は頷いた。

「明日の早朝に荷物を車まで運ぶわ。持ってける分だけでも。‥めんどい。」

 確かに下りの方が転倒や滑落の可能性もある。その時に一番動けるやつを身軽にしておくことは、重要だろう。

「バーベキューコンロも大物だしな。今晩のうちに片づけられるものは片付けておこう。俺も早朝に起きて荷造りするわ。」

 そんな話を進めているうちに、さくらから声がかかった。


「夕飯にしますよー!」

 ご飯の上にたっぷり野菜のカレーをかけ、その上に炭火焼きの鶏もも肉がどどんと山盛りだ。

「「「「いただきまーす!」」」」

 カレーのスパイシーな香りが既に食欲を刺激し続けていた。一口食べるともう止まらない。鶏ももは皮は焦げ目がつき、パリッと香ばしく、身は驚くほどにジューシーで、噛むたびに肉汁が溢れ出す。

「「「「うまあああああ!!!」」」」

 もう何度目の三部合唱か。皆、夢中になって食べ続けた。



 満天の星空の下、順にシャワーを済ませ、夜風に当たる。

「うっわあ!めっちゃ星がきれい!!」

 茜がはしゃいでいると、隣に七海が座った。

「やば!あれ、天の川だよね!」

 二人は星空を見上げながら星座や星のことを話した。


「私さ、神楽のことも‥まだ分からないことだらけなんだ。」

 ぽつりと七海が言葉を漏らした。

「‥そっか。私も色々試してるよ。‥正しいかどうか分からないけど。」

 茜も星空を見上げながら呟く。


「‥もしかして、この眼が開くのって、それが分かるようになったら、なのかな?」

 星灯りに照らされた掌は、今現在も頑なに閉ざしたままだ。

「ふふ。‥たのしみだねえ。ねえナナ?その時にはでっかいケーキ焼いてお祝いしようね!」

 茜の言葉に、七海もふふっと笑った。

「‥うん、その時には茜にケーキ作ってもらおう!」

「私がおばあちゃんになる前にしてね?」

「うわ、ひど!!そこまではかからないもん!‥たぶん?」

 二人は顔を見合わせ、声を上げて笑った。



「七海、大丈夫そうだな?」

 少し離れた所では、道明と遊馬が話をしていた。やはりあのときの七海の様子は、二人にとっても気がかりだったのだ。

「‥だな!あいつー面倒なこと考えすぎなんだよ!」

 遊馬がじれったそうに言うと、道明が笑い出す。

「お前が考えなさすぎなの!」

「あ、それもそうか!」

「「あははははは!」」

 この後の神楽祭で二人は代表に選ばれた側だ。だからこそ直接七海には聞き辛かった。少しずつ元気にはなっていたが、時折、思い悩む様子も見られたせいだ。


 こうして夜は更けてゆき、それぞれが床について深い眠りに落ちていった。



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