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掌の眼  作者: 瑠璃雀
夏休みの始まり
31/32

2-10 夏休み爺ちゃんの爆弾発言

 その日、七海と流水は祖父母から夕飯を食べにおいで、と呼ばれていた。霧江は久々に友人と飲みに行くと言って出かけたばかりだ。

「やっぱり神楽祭のことかなあ?」

 七海が呟くと、流水は首を傾げる。日程については先に通達があったが、それ以外は何も聞いていない状態だ。


(改めて話ってなんだろう。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの前だと、やっぱり緊張しちゃうし。神楽のことも全然分かんないままだし‥)

 何より今に至っても、神楽専攻で落ちたことが心に引っかかったままなのだ。普段はあまり気にしたことはなかったが、「“一族の総代”という立場での呼び出し」なのか、「祖父からの誘い」なのか、その区別が出来ない。

「何か、一族のすごい重要なことだったらどうしよう‥」

 思わず七海が口にすると、流水はあどけない笑顔を見せた。

「それだったらわたしは関係ないんじゃないかなー!だって、まだ開眼したてのほやほや?だし!」

 確かにそう言われてみれば、自分もまだまだ知らないことばかりで、見習いみたいなものだ。しかも霧江もいなければ両親もいない中での呼び出しである。姉妹は「なんだろう?」と、疑問に思いながら篁の屋敷へと向かった。



 屋敷に着くと、さっそく居間に通される。テーブルには大きな寿司桶が並んでおり、そこには鷹也とさくらも来ていた。

「やあ、よく来たな。‥まあまずは食べなさい。」

 七海と流水は目を輝かせ、さっそく箸を手に取った。

「「いただきまーす!!」」

「おいしーい!!」

 卵とエビ、マグロが大好物な流水は、七海に分けてもらって心から幸せそうだ。

「はー‥幸せ~!」

 サーモンといくら、鯛とハマチが好物という七海。

姉妹の好物がそれぞれ別れているために、取り合いになることもなかった。二人が争うように寿司を食べるのを見て、祖父母は柔らかく笑った。そして祖父母や兄たちも箸を伸ばす。


 量が量だけに七海も流水もお腹いっぱい食べ、篁と環もこれ以上は食べられないと箸を置いた後、残った大量の寿司は鷹也とさくらが全てたいらげた。二人が大食漢であることを知っている七海と流水も、つい見入ってしまうほどの食べっぷりだ。

 さくらと鷹也が食後の片づけをしてくれている間、七海と流水は学校での出来事や通知表の報告をする。篁も環も内容について小言を言うこともなく、穏やかに話を聞いてくれるのだ。


 さくらがお茶を淹れてくれ、持って来てくれたらしいどら焼きを出してくれる。そこでようやく篁が七海達に声をかけた。

「流水、神楽はどうだ?‥少しは慣れたか?」

 祖父に話しかけれた流水は微かに首を傾げる。

「えっとね、まだ全然覚えられません!あとね!何か自分の足を踏んじゃうの!」

 元気よくダメ出しする流水に、七海が穏やかな眼差しを向ける。その眼差しには、こうして堂々と自分の出来なさ加減を宣言することへの羨望、まだ追いつかれていないという安心感、でも一緒に舞いたいという気持ち、大丈夫かしらという心配、そんな感情が入れ混じっているように見受けられる。


 環は穏やかに微笑みながら二人の様子を見ている。流水は覚えも早く、実際はもういつでも神楽の奉納を出来る状態だ。しかし神楽選考後の姉を見ているためか、神楽奉納自体を先延ばしにしている。このことは夫の篁にも報告をしていた。

(どんな式を貰えるのか、すごく楽しみにしているのに。)

「想像している時間も楽しいから!」

そう言ってあどけなく笑う流水を、篁も環も温かく見守ることにしている。

「‥そうか。自分のペースでゆっくりやっていくといい。」

 祖父はそんな流水の心情を理解したうえで穏やかに言い、七海の方を見た。


「七海はどうだ?」

 聞かれてしまった、と七海は思ったが、それでも静かに答える。

「‥まだ‥何か分からない、です。」

 言い辛かったが、何とか口に出来た。流水があっけらかんと自身の出来なさ加減を暴露してくれたからだろうか。何とか言葉にして吐き出すことに成功したのだ。

「‥そうか。七海も自分のペースでいい。そうやって悩み、考えることが糧になると思うよ。」

 祖父の言葉に七海はこくりと頷いた。選考に落ちたことはまだ自分の心に、棘のように刺さったままだ。しかしそれでも祖父も祖母も温かいままだった。決して甘くはなかったが。


「神楽祭は九州で行うことになっていてな。七海、流水、雅、蒼介の四名で移動してもらう予定だ。」

 その言葉に七海は意外そうな目を向ける。

「‥お父さん、も?」

 七海が聞くと、篁はゆっくりと頷いた。

「社には開眼者でなければ入れない。‥だがな、開眼しなかった者達の集いはあるんだ。蒼介はその者たちの中心的な存在でなあ。来てもらわねば困るんだよ。」

 その言葉に、七海と流水は思わず顔を見合わせて微笑んだ。一族から爪はじきにされるどころか、居ないと困るとまで言われたのだ。

「神楽祭が始まった時の集合場所は変わるが、移動中は一緒だ。もちろん宿泊先もな。」

 にこやかに篁は言い、二人を見やる。

「旅館を取ってあるのでな、ゆっくり観光もするといい。温泉もあるぞ。」

 七海と流水は歓声を上げて喜んだ。宿泊先の旅館や、滞在予定日、神楽祭日程や周辺の観光地についての案内が篁から渡される。


「えっと‥一族の人たちと会うのって、初めてじゃない?‥ご挨拶とかはどうしたら?」

 楽しみではあるものの、初対面の人たちと会うのは少しばかり気が重い。

「今はまだ気にしなくていいわ。雅さんも蒼介も、あちらこちらに挨拶するでしょうから、同級生の子たちと一緒にのんびりしていて?」

 環にそう言われて七海も流水もホッとした。どう対応したら良いかも分からないし、一緒に挨拶に回ることもしなくていいらしい。

「そうだな、まだ中学生だしなあ。会釈して、話しかけられたらいつもより少し丁寧に、程度で良い。焦らなくても少しずつ交流は増えていくのでな。」

 篁もそう言ってくれたので、七海と流水は顔を見合わせて笑いあった。


「まだ日にちもある、観光したい場所を今からゆっくりと考えるといい。ああ、同級生の子たちも同じ旅館にしたのでな。それぞれ家の事情もあるかとは思うが、楽しく過ごせたら良いな。」

 祖父が気を利かせてくれたことに七海は感謝した。

「ありがとう、お爺ちゃん。‥ちょっと怖かったけど楽しみになってきた。」

 七海の笑顔に篁は笑顔で頷いた。


「鷹兄は別行動なの?」

 流水の言葉に篁はちらりと鷹也を見やり頷く。

「まあ一族との顔つなぎもあるしな、今回は色々と頼んでいることもある。」

 七海は少し不服そうだ。

「私だって、お手伝い、するのに!」

 しかし篁はゆっくりと首を振る。

「すまないが、こればかりは致し方あるまい。‥儂が次世代にバトンを渡すことも考えねばならんし、それと同時に当主の座も譲る。‥これは鷹也とも話して決めたこと。」

 重々しい言葉に、七海は何も言い返せずに口をつぐんだ。自分がもう少し年齢が上だったら、或いは兄の手伝いも出来たのだろうか。

「鷹兄が‥水澤家の当主?」

 流水がぼそりと呟くと、篁は頷いた。

「本来であれば、儂の息子に引き継ぐ。が、蒼介は未開眼だ。だから‥」

「未開眼だと当主になれない?‥どうして?‥お父さんだって必要な人なんでしょう?」

 思わず七海が口を挟む。結局開眼していない人は認めてもらえていない、そんな風に七海は感じたのだ。


「ああ、蒼介の存在は必要だよ。だがな、未開眼の者は浄化も祓いも出来ん。こればかりは動かしようのない事実だ。そして当主が対応出来ないというのは、さすがにまずい。」

 篁は穏やかにそう言った。

「そして雅さんは風の系譜だから、残念ながら当主にはなれないわ。‥このことはね、蒼介や雅さん、水澤家の分家とも話し合って決めているのよ。」

 環の言葉に七海は言い返すことも出来ずに押し黙った。

(どうして私にはそういう話、してもらえないんだろう。‥もし鷹兄がいなかったら‥私が当主になる可能性もあったのかな‥?)


「やっぱり鷹兄が長男だから?」

 流水がそう尋ねると、篁と環は一度顔を見合わせた後に頷いた。

「そうだな、だがそれだけではない。儂が鷹也に任せたいと、そう思ったからだ。」

 篁が重々しく告げたことで、七海の心は複雑だった。もし、兄がいなかったとしたら、祖父は自分に任せたいと思うのだろうか‥

 そんな七海の内心をよそに、流水はにこっと笑った。

「そっかー!長男だから強制ってわけじゃないんだ!良かったー!鷹兄も嫌々やるわけじゃないんだよね?」

 篁もつられて穏やかに微笑む。

「あー‥まあ、嫌々ではないけどな。納得はしているよ。いずれは七海や流水にも協力してもらうことはあるだろうから、その時は宜しくな。」

 鷹也の言葉に流水はにこやかに頷き、七海も黙ったまま頷いた。


「今回の神楽祭は、七海は流水や同級生達と楽しんでおいで。その前には実地研修で山にも行くわけだしな。その時は俺も一緒だ。‥すまないがこっちは、流水は参加出来ない。」

 鷹也の言葉に流水は少し残念そうだったが素直に頷いた。

「そうだよねえ。独りで神楽躍ってたら自分の足踏んじゃうし、みんながいたらきっとみんなの足ふみまくっちゃうねえ!」

 そんなふうにおどけて見せ、これには七海もつい笑ってしまう。

(‥この子は場の空気を良く読むな‥姉のフォローをしているつもりはないのだろうが、確実に七海の気が逸れた)

 篁は心の中で呟き、楽しそうに笑っている流水を見やる。流水がにこにこしながらどら焼きに手を伸ばすと、七海もつられるように手を伸ばす。

 少し張り詰めかけた空気が、甘味とお茶とで再び緩んだ。



「神楽祭のときに話すつもりだったのだが、先に二人の耳には入れておいた方が良いかと思ってな。」

 環が急須で再びお茶を注いでくれる。七海と流水は礼を言い、お茶を口にしながら何だろう?と首を傾げ、次の言葉を待った。

「‥お前たちの兄、鷹也と月影さくらさん。この二人は許嫁にしていてな、近々正式に婚約する。」


 七海と流水は呆然とし、ゆっくりと顔を見合わせた。

「「ええええええええええええええええええええええ!!」」

 二人を見ても、特に表情を変えるでもなくどこか他人事のようにも見える。


「待って!!あの、許嫁って!?‥え?あの、今どきそんな風習、あるの!?」

 七海が勢いよくテーブルに手を付き、前のめりになって声を上げる。篁は表情を変えることなく、落ち着いた様子だ。

「非常に稀でな。昔から我ら一族の間でもそのような風習があったわけではない。‥まあこれには様々な事情があって正式に決まった。無論当人たちも了承している。」

 しかし七海には納得出来ず、かといって反論しきれなかった。


「ねえ、おじいちゃん?」

 そこで流水が口を開いて首を傾げた。

「‥何だね?」

「ええと、私たちにもそういう人っているの?」

 流水の質問も尤もだ、と七海は流水を見やり、そして篁を見やった。

「おらんよ。少なくとも、七海も流水も結婚をするかどうか、或いはしないかどうかを自分で選択出来るはずだ。だからこそ君たちにそのような真似はしない。」

 その言葉に流水はにこりと微笑んだ。


「鷹兄! さくらちゃん!」

 声を掛けられ、二人が流水を見やる。

「‥ん?」

「はい?」

「二人はさ、納得してるんだよね?‥その‥婚約、とか結婚とか。」

 鷹也とさくらは互いに顔を見合わせる。甘い雰囲気というものが皆無であるのが不思議だ。

「‥まあ、さくらならなー。」

「鷹也さんなら‥」

 やはり他人事のような言葉に流水は笑い出した。

「あはは!でもなんか分かる気がする!‥仲良さそうなのに、パパとママみたいにいちゃいちゃしてなくてさ。けどなんかすっごい信頼関係ありそう!」

 流水がそう言うと、篁と環が顔を見合わせて笑った。


「おねーちゃん!さくらちゃんがお姉ちゃんになるの!嬉しくない!?」

「へっ!?あ、うん、それは嬉しいんだけど‥でも‥」

 やはり七海は少し複雑そうだ。

「私はお祝いするよー!何か嬉しいし!!」

 流水は明るく笑い、さくらを見つめる。


「ありがとう、流水ちゃん」

 さくらが嬉しそうに微笑み、七海を見やる。

「七海ちゃん、黙っていてごめんなさい。‥正式に決まってなくて言えなかったの。でも神楽祭のときに話題に出てしまうと思って‥七海ちゃんと流水ちゃんには先に伝えておきたかった。」

 さくらの穏やかな声に七海もふっと笑顔になる。

「‥ありがとう、さくらちゃん。確かに今聞けて良かった。それにさくらちゃんが私のお姉ちゃんになるの、すっごい嬉しい!」

 流水の誕生日プレゼントを買いに行ったとき、右目だけがちらりと見えた。想像以上にきれいで、思わず見惚れてしまった七海である。そういえば兄は、さくらちゃんの素顔をきちんと見たことがあるのだろうか?とふと考えた。


「‥というかさ、鷹兄ってモテそうだけど付き合った人っているの?」

 思わず流水が問いかける。

「ちょ!流水!?‥いやそんなこと、ほらさくらちゃんの前でそういうのは‥!」

 慌てて七海がとりなそうとするが、兄は首を傾げた。

「…どこに?」

 篁と環が肩を震わせて笑っている。もちろん流水もだ。

「え!?いやその!付き合うって言うじゃん!?‥そのほら!!」

 さっきまで止めに入っていた七海が、必死になって説明しようとしている。

「‥うん、だからどこに?」

 鷹也は相変わらず、「はて?」といった表情だ。篁と環は震えているというより、明らかに揺れている。


「異性と恋人関係になったことがあるかどうか?ってことですよ。」

 さくらが相変わらず穏やかな声で鷹也に伝えた。

「…へえ、スラングみたいなもんか?‥そういや過去に“付き合ってください”って言われてたの、そういう意味だったのか。なるほど‥何か謎が解けたわ。」

 鷹也が面白そうに呟いたため、とうとう篁が盛大に吹き出した。

「おまえ‥まさかと思うが‥これまで“付き合ってください”って言って来た女性に対して、“どこに?”って聞き返してたのか!?」

 笑いながら必死に問いかける篁に、鷹也は平然としている。

「そうだけど?」

 そして環と流水が吹き出した。七海も俯いて肩を震わせている。告白した女性には気の毒だが、情景を思い浮かべるとどうすることも出来なかった。


「恋人になってください、だったら普通に断ったのになあ。‥面倒な聞き方すんだね。」

 表情一つ変えることなくこんなことを言う兄は、確かに「許嫁」といった外部からの圧力がなかったら、一生結婚もしなかったのかもしれない。

「‥さくらちゃん、前途多難そうな気がするけど大丈夫!?」

 思わず七海が問いかけると、さくらはにこりと微笑んだ。

「分かりにくいようで分かりやすいですしね。何より、鷹也さん優しいですから。」

 穏やかに話すさくらに、七海と流水も穏やかに笑った。


「‥さくらちゃんは黒ネコさんの正式な飼い主になるんだ‥」

 ぼそりと流水が呟いた瞬間、七海とさくらがひくっと震えた。そして声をあげずに肩を震わせて笑っている。

「‥黒ネコ?」

 訝し気に篁が呟くと、流水がえへっと笑いスマートフォンを操作する。

「いや待て、流水!」

 鷹也が立ち上がろうとするのを、さくらがシャツを引っ張り食い止める。

「え!?さくらまで?‥いやあれは!!」

 流水はススっと篁と環の間に入り、スマートフォンを見せる。


「「ブフォッ」」

 篁と環が一斉に吹き出し、肩を震わせて笑い続ける。

「‥くっそ。」

 鷹也だけが笑いの輪に入ることなく憮然としたままお茶を飲んだ。

「‥まあ、ネコにしちゃでかいし‥そこまで可愛げもないが‥」

  篁が笑いすぎて涙を流しながら言う。環も顔を真っ赤にして同じく笑いすぎて流れた涙を拭いながら頷いている。

「鷹兄はネコっていうかーユキヒョウさんかなー!滅多に見ないし、高い所に登るのも落ちるのも好きだし、吹雪の日でも半袖にビーサンで出歩いていることあるし‥」

 流水がにこやかに言うと、その場にいた全員が「なるほど!」と納得した。


「いやあの、しっぽもないし、耳もな‥いやあるけど、形状違う。そして毛皮ない。」

 憮然として反論する鷹也にさくらは笑い出した。

「鷹也さん‥反論するポイント、そこなんですか‥?」

「‥え?」

 目をぱちくりさせる鷹也に、さくらは顔を覆ってしまう。肩を震わせていることから笑っているのだろう。

「つか、もう話は終わりだろ?俺は行くからな!」

 鷹也はそう言って立ち上がり、そのまま部屋を出ていく。



「足音も立てずに移動するところもそうだった!」

 流水の一言に、全員が笑い声をあげる。一応さっきまでは本人を気遣っていたらしい。そこで改めて写真のやりとりがなされ、篁と環が大爆笑したのだった。



 そしてその日の夜、七海は自室に戻りスマートフォンを手に取った。

「ゆきひょう 動画」

 雪山の断崖絶壁を走り回り、或いは落下し、ジャンプする姿に目が釘付けになる。一度だけ見に行った、当時高校生だった兄のバスケの試合。高さ、スピードに圧倒され、縦横無尽に走り回る様は、見ていて気持ちよかった。

 遊馬の家や道明の家を訪れることもあるらしいが、ベランダから出入りするとも聞いている。

(いやいや、でもだからって同一視するのはね!)



(待って!!なにこの鳴き声!!)

 他の大型ネコ科猛獣の咆哮とはまるで違う。

(‥鷹兄も怒鳴ったり声を荒げたりってこと、ないよね。いや待って!私!何重ねようとしてるの!?)


 そして、ふわっふわの長いしっぽがふりふりされる動画を見つけてしまった。七海は完全に堕ちた。

(あああああ!しっぽーー!私にこのしっぽくださいーーー!)


(鷹兄にもしこんなしっぽがあったら!!!)

(でも絶対に触らせてくれない未来しか想像できない!!)

 こうして七海の心にはユキヒョウさんのしっぽが深く深く刻まれたのだった。もちろん兄=ユキヒョウという刷り込みが完了していることに、七海自身は気づいていなかった。



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