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セカンドライフ〜インベントリって素晴らしい  作者: 清香


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94 お誕生会

 今回もカヴィヨンを中心にお祝いの料理が作られて、カトリーヌとセドリックのお誕生会が開かれました。


 昨年から我が家のカヴィヨンの誕生日以外のお誕生会プロデュースは、カヴィヨンが毎回主宰で計画してしまう様になったので、私の出番はほぼ無くなっていますね。そのカヴィヨンの誕生会ですが、今年はクリスティが主宰をしたがってますので、私は一歩引いて助言を出す補佐役に回りましょう。(笑) 兄弟仲が良い証と喜んでいます。


  アラン父様達は前日にサイトバル兄様の所に泊まって、彼方のお孫ちゃん達と交流を楽しんで来たそうです。今日も双子ちゃんそれぞれと手を繋いで、ニコニコとお祝いに来てくれました。


 ………イルミナだけが悩みの種のままなのが気になるところですが、エルーシャ義姉様が様子見をしているので、私も口や手を出さないでいます。拗れたままなのは気がかりですが、イルミナ自身が自分の問題点に気付かなければ、周囲がどんなに心配して助言しても受け入れられないので、気にはなりますが仕方ありません。


 モリーノに連れられてサリシン義父様達が来ました。今回はナイジェル義兄様が一緒です。到着早々、開口一番が手紙への謝罪だったのには苦笑してしまいましたが、変化というか成長した事が丸わかりでしたね。あの尖っていた頃が嘘の様に、現実をキチンと受け止めて周囲を確認しながら行動しているのが良く分かりました。


 サリシン義父様には、ロヴェニア義姉様を追い詰める事なく計画は地道に進める様にと、工房設営の道筋を示した表を渡しておきましたが、あれからまだ一月も経っていません。なので、私の提言を受け入れて、ロヴェニア義姉様が自力で企画書を書けるようになっていれば、順調な滑り出しが出来ましたね。と評価する予定ではいます。


 前回はタルピナスから、わざわざ馬車で来たサリシン義父様ですが、自分が持って来たナイジェル義兄様達の手紙の内容を知り、頭を抱えてしまい慌てて帰ると宣言したので、馬車毎、モリーノがタルピナスに飛びました。その時に今日の誕生会にはモリーノの迎えを予約してあったそうです。転移で飛べれば長距離移動は楽ですからね。


 モリーノはそのままマジェスタ義兄様達を迎えに飛びました。リストランテでまだかまだかと待っているに違い有りません。モリーノは転移した行く先々でお菓子を大量にもらえるので大喜びで飛び回っていますね。


 あ、ロヴェニア義姉様はアネトール義母様の対応をしてもらう為に、声を掛けなかったそうです。今回もカーチスが来るので、サリシン義父様はナイジェル義兄様にだけ声を掛けたそうで、


 『カーチスの方がフォニウムの教えを受け入れるのが早かったぞ。今ではミスティーヌの事を叔母として尊敬しているそうだ。それにカヴィヨンの優秀さを知って反省し、自分の怠慢を嘆いているらしい。』


 と煽ったのだとか。孫が可愛いという事なのでしょうが、何を思っての事か想像もつきませんけど、サリシン義父様、大人気ない気がします………


 全員が揃うまでという事で、カヴィヨンが作ったクッキーを摘みながら其々で話をしていると、マジェスタ義兄様達を連れたモリーノがリストランテより戻って来ました。


 久し振りに会ったクリミアナ義姉様達はカトリーヌとセドリックの所に行って、お誕生日おめでとうを伝えているみたいです。二人とも嬉しそうです。


 今回はカーチスだけで無くヘルツェリも一緒でした。二人ともナイジェル義兄様に走り寄って抱きついてます。親とはずっと離れ離れでしたから寂しかったのでしょうね。この光景を見てしまうと、ロヴェニア義姉様とクランセも呼んで上げれたら良かったのかもしれないと思ってしまいますが………仕方有りません。


 抱き合って喜ぶ様を微笑ましく見ていると、カーチスに連れられてヘルツェリも私に謝りに来ました。カーチスはアレから、フォニウム様やユーリウス達に何度も話を聞いて考え、自分の考えとしてヘルツェリに私の事を教え直したそうです。


 そして自分達が学校を選べなかったのは、平民になったからでは無く、貴族だから努力しなくて大丈夫と言われたのを信じて、自ら勉強を頑張らなかったからなのだ。と両親や祖母を非難する言い方に取れなくも無い事まで、ヘルツェリに何度も言い聞かせたのだと教えてくれました。


 ウーン、話をよく聞くと、カヴィヨンの天才さのお陰で私のカブが上がっている様な気がヒシヒシとするのですがねぇ。学ぶ環境を整えたからって、受け取れる資質が無いと、ねぇ?だから、私が凄いのでは無くて、自分から学んでいる子供達が偉いのであって、私はソッと手伝っているだけなのよ。と二人には説明しました。


 まぁ、彼らが、私が伯爵の爵位を持っている事を理解して受け入れてくれただけでも、アネトール義母様の呪詛から離れられたのだと喜びましょう。ナイジェル義兄様が悄気てしまったのが目の端に映りましたが、サリシン義父様に慰められているから大丈夫でしょう。たぶん。


 招待客も揃ったので祝宴を始めます。二人の可愛らしい挨拶で宴が始まりました。


 食事の方は私も手を出しているので、文句無しの美味しさだと評価されております。デザートと言うか、お菓子はカヴィヨンにおカブを取られていますからね(笑) 私もカヴィヨンがまだ作れないケーキを作ったりして少しは頑張りましたよ。これは決して張り合っているのでは無く、あくまでもカヴィヨンのお手伝いです。


 そうそう、今回の誕生会ではカトリーヌの独唱会も兼ねているので、お忍びでフェニックス様がいらっしゃるかもしれません。と言うのは、そろそろチョコを買いに来るかもしれないとモリーノが聞いて来たのですよ。


 サリシン義父様のお願いでフォニウム様にお手紙を届けにサルカンドのショコラ店に行ったそうで、私がフェニックス様の動向を気にしていた事を奇跡的に思い出して、フォニウム様を通して聞いて来てくれたそうです。


 ショコラティエによると、前回のご来店から三ヶ月ほど経つので、そろそろ、ヴェルムのショコラ店を訪れる頃では?と予想しているそうです。ショコラ店はリストランテにも有るので、ヴェルムを挟んでサルカンドと行き来しているらしいです。


 来る度に大量に買い込まれる美丈夫は店員の記憶に残り易いそうで、来店を楽しみにしているショコラティエも居て、三店舗での意見交換会の話題に登ったので分かったのだとか。


 つまり、ヴェルムにも半年に一回くらいの頻度でいらしていたようです。私は全く気付きませんでしたし、報告も上がって来ていませんでしたので、話を聞いてとても驚きました。


 モリーノは知っていたのかしら?もしかして、この邸にも隠れて寄ってらしたとか?実はフェンリル母様もご存知だった…なんて事は無いわね。こんな重要な事を私達に伝え忘れるなんてあり得ないもの。


 と頭を抱えそうになってしまいました。聖獣様ですから気配遮断を使われては、存在を分からなくても当然なのですが、失礼が無かった事を祈るのみです。ウーン。これまでもチョコを始めとするスイーツが消える事が多々有りましたが、何時もモリーノの所為にして終わっているのですよね。責任追及とか、騒いだりする事は無かったので、うん。問題無さそうです。(笑)


 食事を終えてデザートになりました。最初にローソクを吹き消して二人の誕生を祝ったバースデーケーキが、ショートケーキサイズに切られて配られました。先に食べ終えていたカトリーヌが前に出て、歌い出しました。


 『きょうはわたちたちのために、とおいところからあちゅまってくだしゃってありがとうごじゃいます。』

 

 カトリーヌの歌に合わせてセドリックが挨拶をしました。ゆっくりですが一言一言キチンと伝えようと言う思いが伝わって来る挨拶です。


 カトリーヌはそのまま歌っていますが、挨拶を終えたセドリックは、テーブルからケーキの乗ったお皿をもらって誰も居ない部屋の隅に行き、お皿を差し出しています。すると、お皿の上からケーキだけが消えました。


 するとセドリックはまたテーブルに向かい、新しいケーキの乗ったお皿をもらうと、また壁の方に向かいます。今度はランティス様が出て来てお皿を受け取っています。モリーノもその隣りに居るという事は、セドリックが最初に渡したのは誰なのでしょう?フェンリル夫妻はカヴィヨンやハリシエダ様達と話してますし………?


 どうやら、セドリックは気配を消していても、聖獣様を見つけられる様です?もしかして私よりも魔力が強いのでしょうか?私が不思議に思って壁を見つめていると、紅い色が浮かんで来ました。気配遮断していらしたのはやはりフェニックス様の様です。本当にいらしていたのですね!と思っていると、頭に声が響いて来ました。


 『ペイジングストーク様の名代でお祝いに参加させてもらってますよ。本当にカトリーヌの声は素晴らしい。私を通じてペイジングストーク様もお聞きになってますが、とても褒めてますよ。

 それにあなたのレシピのチョコレートも素晴らしい。隣国の誼で製法を教えてもらえて感謝してますよ。』


 バリトンの心地良い声です。私も心の中で、


 『此方こそ、カカオを譲って頂いて感謝しております。それに、育成方法も伝授頂いて、どれ程感謝しても足りない程です。チョコレートは今後も進化していくと思いますので、楽しみにしていて下さいね。

 そして、カトリーヌに加護を頂いて、ペイジングストーク様には感謝の言葉が尽きません。もし、宜しければ、私の手作り品を奉納させて頂きたいのですが、どの様な神様なのか、教えて頂けませんでしょうか?』


 と話し掛けてみました。カトリーヌはまだ気持ち良く歌っているので、お誕生会が終わった後、というか、日を改めてお話し頂く事になりました。フェニックス様はまた気配遮断を強めた様で、スッと消えて行かれました。


 私はセドリックにキチンとお客様を接待出来てありがとうと伝えると、セドリックはニコッと笑って、歌っているカトリーヌの方に行きました。これからどんな個性を見せてくれるのか、楽しみなセドリックです。



 双子のお誕生会も無事に終わり、私は深夜こっそりとアクセサリーを作り溜めています。男性、女性、ユニセックスといろんなタイプを心の動くままに作っています。色違いは有っても、皆一点物です。


 お贈りする物はお好みを伺ってから作るつもりですが、見本も必要かな?と、今までに作り溜めた物を見ていたら、ドンドンアイデアが浮かんで来て止まらなくなってしまいました。


 素材的に、シルバーやプラチナ、ゴールドに、宝石の組み合わせが多いですが、ガラスビーズの作品も作りました。一番の大作はビーズで編んだバッグに付与を施したマジックバッグです。これは可愛く作れるので、女神様にも贈れる様にまだ作る予定です。


 因みに、フェニックス様用にも時間停止を付与した容量特大のマジックバッグを作りました。美丈夫な人型をとられるそうなので、クールなイメージで作りましたよ。中には秘蔵のフォンダンショコラを入れる予定です。このレシピは表に出していないので、喜ばれるのではないか?と考えています。


 でも、フェニックス様にお渡しする前に、女神様に奉納しないと!女神様用のビーズのマジックバッグを編んだら中にフォンダンショコラを入れてプレゼントする事にしましょう。使うビーズの彩りや編み方を考えて、クリミアナ義姉様を見習ってレシピを起こす事にしました。


 前回編んだバッグを参考に、今度はキチンと女神様を想像して書き起こします。何枚か書いていると、フェンリル母様が呼びに来てしまいました。集中し過ぎたようです。


 「ミスティーヌ様、この青のバッグは爽やかで素敵ですね。今までと雰囲気が違う気がします。此方のアクセサリーも、男性が着けても違和感が無い気がします。』


 フェンリル母様の意見も参考になりますから、ペイジングストーク様に奉納する用に作っていると明かし、感想を聞きました。


 『私はペイジングストーク様を知りませんので、その神様に合うかどうかは判断出来ませんが、もし、男神様なら此方のアクセサリーもよろしいのでは無いかと思いますよ。ゴツいので女神様には似合いそうに有りませんが、男性が着けるなら似合いそうに思います。

 それにしても、その方を知らないという割には沢山作られましたね。あぁ、だからこんなに種類が多いのですねぇ。気持ちが篭っているので、どれを選んでも喜ばれると思いますよ。』


 と微笑んでくれたので、ホッとしました。

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