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セカンドライフ〜インベントリって素晴らしい  作者: 清香


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95/95

95 やっとペイジングストーク様にお礼を伝えられました

 インベントリには献上用に多数の作品を作り溜めました。女神様用だけで無く、男性でも似合うように考えて作ったり、性別を問わないユニセックスなタイプのアクセサリーも考えて作ってみました。今は広いテーブルの上に並べて見比べているところです。


 今日は先日お約束出来たフェニックス様が来て下さる日なので、ペイジングストーク様に贈って喜んでもらえる物を選んでもらう予定なのです。この中から選んでもらえなかったとしたら、ペイジングストーク様のお好みを伺ってから更に作るつもりです。


 私の作ったアクセサリーの中には、ジャレットの作ったビーズモチーフを使った物や、クリスティが作った台座を使った物が有ります。テーブルの一角には二人が共同して作ったアクセサリーや、ジャレットの作ったビーズのリングも並べてあります。なんとなく、此方から選ばれそうな気もしています。


 メインのテーブルではフェンリル母様とカヴィヨンが歓迎の席を用意していて、私が作ったチョコレートを中心に、カヴィヨンの作ったお菓子を並べて配置を考えています。先程、ハリシエダ様も覗きに来ていたようですが、自分の出番は無さそうだと政務に戻ったみたいです。


 用意が全て整ったと思ったところにモリーノから行くね!と念話が来たので、慌ててハリシエダ様と子供達を呼んで、皆でお出迎えをしようと並んだところで、セドリックがドアを開けました。


 今日のフェニックス様はショコラ店を訪れる際の美丈夫姿でした。緋色の髪色がフェニックス様だなぁという感じです。セドリックとカトリーヌの頭を撫でながら部屋に入って来ました。


 子供達に席まで案内され、優雅に座られましたが、何故かカトリーヌを膝の上に抱いてニコニコしています。


 その光景を見て、ハリシエダ様も私も一瞬言葉が止まってしまいました。セドリックはカトリーヌがフェニックス様の膝の上にいるせいか、フェニックス様の隣りの席に座る事にしたようで、フェンリル母様に椅子を引いてもらって、座らせてもらっていますね。


 呆然としていた私達ですが、整然とセドリックが座るところを見て気を取り直したのか、ハリシエダ様が挨拶を始めました。


 『本日は遠いプルメリアからようこそおいで下さいました。本来なら私達がご挨拶に伺うべきなので、感謝の言葉が足りそうにありません。ありがとうございます。

 此方に用意したお菓子の中には、カヴィヨンとミスティーヌが作ったクッキーやチョコレートも有ります。感謝の気持ちを込めて作りましたので、心置き無くお召し上がり下さい。』


 頻繁にチョコレートを買い求めにいらっしゃるのですから、甘いお菓子が好物なのだと思うのですよ。私がメインに選んだのはフォンダンショコラです。焼きたてが一番なので、フェニックス様の来訪に合わせて出せるように厨房に用意させました。フェンリル母様が焼きたてを厨房から運んで来て、フェニックス様の前にセットしてくれたので、お菓子の説明をします。


 『此処はフォンダンショコラと言うケーキです。ナイフを入れると中から温かいチョコレートが流れ出るので、それをまとわせてお召し上がり下さい。食べ方に時間の縛りがあるので販売しておりませんが、美味しいと自信を持ってお勧めできるお菓子です。

 尚、カトリーヌもセドリックもまだ小さいので、チョコレートがメインのこのお菓子は食べられません。

 カトリーヌ、お邪魔にならないようにフェニックス様のお膝を降りましょうね。』


 と、立ち上がって迎えに行こうとすると、フェニックス様が拒むように、


 『大丈夫だ。カトリーヌにはチョコレートでない別のお菓子を食べさせれば良いのだろう。

 すまぬな。これは私だけが食べるが、カトリーヌはどれが好きだ?』


 私に断りを入れてから優しくカトリーヌに話し掛けて、給餌をするかのようにクッキーを手に取り、カトリーヌの口元に運んでいて、抱き抱えたままのカトリーヌを離す気配がありません。見ていたフェンリル母様が呆れたように、


 『カトリーヌ様から滲み出ているペイジングストーク様のお力に惹かれているようです。満足されるまではこのままでしょう。暫し、見守りましょう。』


 と言って、セドリックの後ろに控えてくれました。私達は納得してはいませんが、取り敢えず、ペイジングストーク様のお話を聞くと言う最初の目的に戻りましょう。


 『フェニックス様、私はご加護を頂いている女神様に、私が作った物を贈って感謝の気持ちを伝えております。

カトリーヌにご加護を下さったペイジングストーク様にも、私達の感謝の気持ちの籠った物を贈らせて頂きたいので、ペイジングストーク様について教えて頂けますか?

 プルメリアは遠く、私達はペイジングストーク様について何も知らないのです。』


 領地を接しているタルピナスにおいてすら、隣りの国の神様の情報が何一つ手に入らなかったのです。商業ギルドの怠慢と言えばそれまでなのですが、それにしても、名前すら伝わっていないなんて思いもしませんでした。


 『ペイジングストーク様はとても心優しく、愛らしい方です。芸術を愛し、平和を愛する方です。私は彼の方を護衛出来る事が嬉しく、誉に思っております。ただ、容易に加護を授ける方なので、それを抑えるのに力を入れてます。カトリーヌ嬢のように授けるに適した方ばかりなら問題無いのですけどね。』


 ちょっと苦笑がちな言い方ですが、ペイジングストーク様への敬愛は伝わって来ます。女神様と真逆のような考えを持つ神様でも有り、女神様と同じような方でも有るようです。


 『フェニックス様から見ても、カトリーヌはご加護に相応しいでしょうか?私の家族は有難い事に女神様からご加護を頂いている者が多く、私の感覚が少しズレているように思うのですよ。』


 照れくさそうにハリシエダ様がフェニックス様に質問しています。大元の私が特殊なのですが、ソッとしておきましょう。フェニックス様はカトリーヌを抱っこしたまま、


 『カトリーヌ嬢は素晴らしいですね。領域を越えてまで才能を感じられました。彼女が幼い内に授けられて良かったと私も思っています。そしてペイジングストーク様の加護を受け入れて下さった此方の女神様にも感謝していますよ。相手によっては弾かれた上に争いになりますからね。

 人が領域を越えても問題は起こりませんが、神同士だと中々ね。』


 フェニックス様が神妙な顔付きでおっしゃって、更に、


 『カトリーヌ、時が来たら迎えに来ますね。』


 とカトリーヌに囁いてます。私とハリシエダ様は固まってしまいました。つ、妻問いをされたのでしょうか?


 『フェニックス様、カトリーヌはまだ小さく、自分の考えを持っていませんし、正しく判断出来る知識も備わっていません。この話は聞かなかった事に致しますので、宜しいですね。』


 ハッと我に返った私は少し硬い表情で告げました。百歩譲ってフェニックス様が人間だったとしても受け入れ難い話です。空気を読んだカヴィヨンが、


 『フェニックス様、ペイジングストーク様は女神様なのですか?それとも、男神様なのですか?芸術がお好きとおっしゃってましたが、どのような芸術をお好みですか?』


 と質問し、話を戻してくれました。本当はカトリーヌを私の腕に取り戻したいのですが、しっかりと抱えていて離す素振りは有りませんね。カトリーヌも何故か満足げに微笑んでいるので諦めますけど。


 『あぁ、彼の方は男神様ですが、とても大人しい方です。見た目は凛々しい雰囲気も有るのですが、どちらかと言うと中性的です。プルメリアののんびりとした雰囲気に良く似合っています。主張が激しく無く、ゆったりと全体を見守っています。

 あ、今も私を通してカトリーヌ嬢を愛でていますね。』


 そう言えばあの長期間会えなかった時も、ダンジョンを作る為に国内で篭っていただけと聞きました。神様にも制約が在るようで、女神様も簡単にはこの国から離れられないのかもしれませんね。と思ってしまいました。


 つい、女神様に考えが飛んでしまいましたが、今はペイジングストーク様です。カトリーヌを大好きな男神様。でも、雄々しい訳では無く、スッキリとした方らしい。私はアクセサリーを並べたテーブルに向かい、フェニックス様をお呼びしました。スッキリとしたアクセサリーを中心に並び替えます。当然ですが子供達が作った物はそのまま展示しておきます。


 『情報を得る前にペイジングストーク様を想像して作った物です。この中にペイジングストーク様が好みそうな物はありますか?』

 

 フェニックス様はカトリーヌを抱いたままいらして、カトリーヌと一緒に見ています。カトリーヌがジャレットとクリスティの作ったアクセサリーを指さして、


 『アレは、ねぇしゃまのちゅくったユビワでしゅ。あっちはクーにーしゃまとねぇしゃまがちゅくったブローチでしゅ。』


 と解説してくれてます。カトリーヌは姉と兄が大好きですから、嬉々として説明してますね。


 『素晴らしい出来ですね。相手を思い遣る心が溢れていて、どれをとっても喜ばれると思いますが、私が代わりに選ぶとしては、この銀色のバングルが素敵です。碧い宝石の輝きはペイジングストーク様の瞳を思い出します。男性用のバングルはいろいろ見て来ましたが、この様な優美な物は初めてです。』


 男性用を意識して華美に走らないように注意して作ったバングルです。サファイアを中心にアメジストを両側に置いただけにして、バングル自体に蔦模様を掘り込んで作りました。


 『宜しければ、此方を贈らせて頂けますか?それと、このバングルに合わせたループタイが此方ですが、セットして包ませて頂いても宜しいでしょうか。』


 献上用に作っておいた箱をインベントリから出して、先程のバングルと合わせて入れてみました。どちらも地の色が銀なので白系は使わず、サファイアに合わせた薄い青色の布を敷いてあります。


 『素晴らしい。謹んでお渡し致しましょう。きっと、ペイジングストーク様もお喜びになると思います。

 そう言えば、モリーノが、ミスティーヌさんも一度訪れた場所なら跳べると言ってましたが本当ですか?彼の言葉は時々信用にならないので、確かめておきたいのですが。』


 途中から念話に変わりました。転移の出来る人間は稀ですからね。私以外はまだ知りませんし。私は転生者特権と思ってますが誰かに話した事は有りません。私が転移出来る事も、女神様効果なのか、いつの間にか人の記憶から消えているのです。私も念話?で、


 『たぶん、女神様のご加護のお陰だと思ってます。一度足を運んだ所なら、次回からは転移で跳べますよ。』


 と伝えると、目を丸くされました。


 カトリーヌがジャレットの作った指輪を褒めまくるので、ジャレットが照れまくって可愛いです。フェニックス様も気に入ったのか、ブローチとセットのデザインの指輪を手に、ジャレットにおねだり?してますね。ジャレットが頷くと、ブローチを自分に付けて、指輪をカトリーヌの指に嵌めています。


 『まるで婚約指輪のようですね。』


 と微笑むのはワザとでしょうか。ハリシエダ様が唸ってます。フェンリル母様が出て来て、


 『フェニックス様、遣り過ぎです。流石におイタが過ぎます。女神様に報告させて頂きましょうか。』


 と釘を刺してくれました。聖獣様相手なので、ハリシエダ様も怒りをぶつけられずに困っていたようです。爪が食い込んでいる手を優しく撫でながら、


 『聖獣様と人は生きる長さが違います。お戯れも過ぎると笑えません。チョコレートのレシピは既にお渡しして有りますし、此方にいらっしゃる必要はありませんよね?』


 と、私の管轄のショコラ店への出禁を仄めかすと、


 『いや、レシピが有っても同じ味にはならないぞ。アレは別物だ。ペイジングストーク様もミスティーヌさん直伝のチョコレートを楽しみにしていらっしゃるので、自重致します。』


 やっとカトリーヌを離してくれました。ハリシエダ様がすかさず抱き上げてセドリックと二人並んで座らせました。当然のようにフェンリル母様が後ろに控えて目を光らせてくれています。ホッとしました。


 折角沢山作ったので、何種類か提案して包ませてもらいました。でも、私の作ったチョコレートが一番だったようで、ペイジングストーク様へのお土産として強請られて笑ってしまいました。事前に用意しておいた大量のフォンダンショコラを詰めた時間停止の掛かったマジックバッグを出すと、本気で喜ばれました。


 フォンダンショコラは我が家以外ですとまだ王家でしか食べられないので、貴重なのですよね〜女神様も一推しのチョコ菓子なんですよ。………作り慣れるとそれ程難しく無い筈ですけど。食べるタイミングが難しいのです。


 お別れの挨拶の時に握手した瞬間にプルメリアに跳ばれ、ペイジングストーク様の元に連れて行かれたのは驚きましたが、カトリーヌに対するご加護の御礼を直接伝えられたので、私は良しとしました。が、フェンリル母様とハリシエダ様の怒りは相当に有ったみたいですよ。


 フェンリル母様を通じて女神様から呼び出されて、フェニックス様は滅茶苦茶叱られたそうです。………多分、フォンダンショコラを大量に持たせ過ぎましたね(笑)

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