↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/36

ひきこもり3

皆で、ゆっくり歩きだしながら、ふと尋ねた。


「ところで、あなたの妹さんは、ここからどれくらい離れたところに住んでいるの?」

「ごめんでしゅ。わかんないでしゅ……。日が出てしゅぐ、しゅっぱつでしゅ」


空を見上げた。太陽はすでに高く昇り、昼をとうに回っている。

もしかしたら、思っていたよりずっと遠いところに住んでいるのかもしれないわね。


こんなに小さな足で歩いてきたというから、てっきりこの近辺に住んでいるのだと思っていた。


あまり、私のスキルのことを、よく知らない人ーーいや、魔獣?には知られたくないんだけど………。


「ねぇ、ジュウエン達。るぅと私を、るぅの家まで乗せていってくれないかしら?」

「ぴぴぃ!!」

「もちろんといってるでしゅが………ぼくは、かれらとおなじくらいのおおきしゃでしゅ。あまりりしゅしゃまは、おっきいでしゅ……。」


るぅは、私を不安そうに見上げているが、「大丈夫よ。」と答えて、自分を縮小させた。

「あまりりしゅしゃまが消えたでしゅ!!」


るぅは慌てたように首を左右に振りながら、必死に私の姿を探している。


「ここよ!!」

大きな声で呼びかけると、その声に気づいたるぅは、ぱっと下を向いた。


「あまりりしゅしゃまがちっちゃいでしゅ!!」

「私は縮小のスキルを持っているの。るぅも縮小して、ジュウエン達に乗って行きましょう?」

「しゅごいでしゅ!しゅごいでしゅ!!」


るぅは、興奮した様子で目を輝かせ、私のもとへ駆け寄ってくる。


「はいはい。すごいのは分かったから。ほら早くいきましょう」


私が促すと、るぅは嬉しそうに頷いた。

スキルを使いるぅも縮小し、私はイチエンに、るぅはジュウエンに乗り、空へと舞い上がった。


「しゅごいでしゅ~~」


るぅは空からの景色にすっかり感動している様子だった。

その表情は恍惚としており、まるで夢の中にいるかのように、うっとりと空を見つめている。


「嬉しいのは分かったから、ちゃんと道案内してちょうだいね」

空を飛ぶことに夢中になっている、るぅに苦笑しながら声をかけた。


「妹さんのところへ行くんでしょう?ほら、どっちへ行けばいいの?」

はっと我に返ったように私を振り返ったるぅは、妹の待つ場所へ向けて道案内を始めた。



※※※



やがて、巨大な木が見えてきた。


その巨木を囲むようにして、三つの大きな巣が作られている。

草や細い枝を丁寧に編み込んで作られた、まん丸でふっくらとした球状の巣。

そのところどころには、白や茶色の羽が飾りのように挟み込まれており、入口は丸くくり抜かれていた。


その大きさは、ちょっとしたプレハブ小屋ほどである。


人の言葉を理解して、こうして会話までできるのだから、ある程度人間に近い生活をしているかも。

とは思っていたが………。これほど目立つのに、よく他の魔獣に襲われないわね。


地上へと舞い降り、もとの大きさに戻った瞬間、三つの巣のうちの一つからパタパタと軽い足音が聞こえた。


「「るぅ!!」」


そう叫びながら、るぅと瓜二つの姿をした二匹のフワフワが勢いよく巣から飛び出してきた。


るぅをその短い手でギュウギュウに抱きしめ、


「よかった!………いきてた!!」

「よかったよぉ!」


と堰を切ったように大粒の涙をこぼした。

二匹の泣き声につられてしまったのか、るぅの目が潤み始める。


「ごめんでしゅぅぅぅぅぅ………!」

三匹ともわんわんと泣き出してしまった。


しばらく見守っていると、巣の奥から「カサリ…」と小さな物音が聞こえてきた。

なんだろうと視線を向けると、入口からもう一匹のフワフワがゆっくりと姿を現した。


この子が、病気の妹なのだろうか。


るぅ達とよく似た姿をしているものの、その様子は明らかに弱弱しい。

身体に力が入らないのか、足取りはふらふらと覚束ない。

見るからに体調を崩しているようだった。


「にちゃ………」


「むぅ!」


るぅはふらつく身体を目にすると、すぐさま駆け寄った。

その小さな身体で、さらに小さな身体を抱き留める。


「おきちゃ、ダメでしゅ!ねてるでしゅ!!」

「にちゃ、おかえりでちゅ………。わがままいってごめんでちゅ………。むぅがおいち、たべたい言(い)たから………」


「だいじょぶでしゅ。あまりりしゅしゃまががたしゅけてくれたでしゅ」

「あまりりしゅしゃま?」


ようやく、るぅの無事を確認して少しだけ気持ちに余裕が生まれたのだろう。

二匹と、むぅと呼ばれた子は顔を上げ、少し離れた場所で様子を見守っていた私たちへと視線を向けた。


二匹は私達の存在に気づくと、慌てた様子でこちらへ駆け寄ってきた。


「あまりりしゅしゃまでしゅか?」

「ええ。そうよ。」


「るぅの母(はは)のくぅでしゅ」「るぅの父(ちち)のすぅでしゅ。るぅをたしゅけてくれてありがとごじゃいましゅ」


二匹は目を潤ませながら、何度も頭を下げる。

少し遅れて、るぅに身体を支えてもらいながら、妹と思われる子が一歩ずつゆっくりと歩いてきた。


「むぅでちゅ。にちゃを、たちゅけてくれちぇ、ありがちょでちゅ」

「どういたしまして。」


微笑ましく見ていると、くぅが嬉しそうに声をかけてきた。

「どうじょ、いえにはいってくだしゃい。おちゃだしましゅ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。