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ひきこもり1

話は戻り、現在アマリリスは………


この世の春を謳歌していた。

好きな時に寝て、好きな時に起きる。

食べたい物だけ食べて、また寝る。


夜更かしなど、もう気にもならない。

好きなだけ漫画を読み、アニメを観る。

誰にも邪魔をされることなく、本の続きが気になったら、朝が来るまで好きに過ごす。


日々成長する、可愛い小鳥との楽しい生活。

こんな贅沢な時間を過ごせるなんて………最高すぎる。


私はなぜ、あんな国のことをあれほどに悩んでいたのだろう。

今になって思えば、馬鹿らしいわ………。


たまに近くで魔獣同士が盛大に暴れているが、結界があるので危険もない。


少しだけ、不満があるとすると、電気とトイレだ。


電気はソーラーパネルで発電している。

ただ、森の中は木々が生い茂っていて、空から見えない分、日影が多い。そのせいで発電量は思ったほど多くなく、蓄電池に電気が貯まるのもゆっくりだ。

アニメの続きが電気が貯まるまで見れないことが少々不満だ。

(ちなみに、電気はアニメを観るためにしか使用しないのだが)


トイレに至っては、現在なんとも野性的で解放感あふれる排泄を行っている………。

建物はあるが、電気や水道など現代日本と比べると、利用できない設備があるのが気になる。


「…まぁ、そのうち考えよう。」

今すぐ、何とかしなければならないほどに困っているわけでもない。

多少不便なだけだ。

今は、面倒な事など考えたくない。


あと、ちょっとだけ気になることが………。

現在、目の端にチラチラと映り込む日々成長した小鳥たちのことだ。


小鳥………なはずだ。


ちょっと、呼んでみよう。

「ジュウエン?」

「ピチチチチ?」


だよね?ジュウエン達だよね? しかし、こんなに大きかった??


ホームセンターで手に入れた小鳥の餌の影響か。

はたまた人間用のパンくずをたまにあげていたせいか。

ニワトリかと思うぐらいには大きくなっている。

しかも、あれは一度テレビで見かけたことがあるぞ………天草大王だ。 


なぜ、飛べるのか不思議で仕方がない。

さらには、顔が厳つい。

三白眼ではないか?

あのつぶらなおめめはどこへ行った。


???なぜに………。



※※※



不思議なことがありつつも、小鳥?たちとの怠惰で幸せな日々を過ごすこと、早半年………。


アマリリスの入浴は『湯魔法28,000コイン』を取得し、浴槽にお湯を貯めることで使用していた。


風呂から上がり、何気なく鏡を覗き込む。


「ひっ!」


思わず悲鳴が漏れた。

鏡に映っていた私は、髪はパサパサのボサボサ。

肌は乾燥して、粉を吹いている。

頬も唇も潤いを失い、青白く、生気のない肌。

落ちくぼんだ目。

身体にいたっては、痩せすぎて助骨が浮いて見える。


洗濯板に小梅が二つ乗っているわ………。


怠惰で不摂生な生活を謳歌した末路だった。


どこからどう見てもーー立派な幽霊だ。


まずい、まずい……非常にまずいわ!


神様どころか、人としても終わってるわ!

クライド様と落ち着いたら再会する約束をしていたが…人間として落ちたらではないのよ。


さすがに、ここまでみすぼらしい姿になってしまった自分を見て深く反省した。

いくら、自由気ままな生活とはいえ、私は少々、怠惰すぎた。

夜更かしをし、食事をするのも面倒なときは、そのまま抜いてしまう。

これでは、身体がおかしくなってしまうのも無理はない。


「………さすがに、これは改めないと」


ドラッグストアやスーパーを解放してスキンケア商品や食材などを色々と取り揃える。


これからは自炊もしなければ。

ちゃんと食べて、ちゃんと寝る。

それから、外に出て散歩もしなければ。


「ちゃんと日光を浴びて、光合成もしないと………」

アマリリスは怠惰すぎる生活を少しは見直そうと、重い腰をあげることにした。



※※※



今日も外へ出て、のんびりと散歩をしていると、不意にけたたましい鳴き声が耳に飛び込んできた。


どうやら、小鳥たちが何やら騒いでいるらしい。

慌てて鳴き声のする方に駆け出すと、そこには結界の中で外に向かって鳴き声をあげている小鳥たち。


外では、見知らぬ魔鳥?が魔獣に襲われていた。


「どうしたの?そんなに騒いで。魔獣同士が争うなんて、別に珍しいことでもないでしょう?」


「「「「「ビジジジジジジィ!!」」」」」


ジュウエン達は、襲われている魔鳥?を助けたいようである。鳥同士仲間意識でもあるのかしら?


まぁ、良いわ。

「私の可愛い小鳥たちが助けたいと言うのですもの。それなら、助けてあげましょうね。」


魔鳥へ向けて、そっと結界魔法を展開する。

襲いかかる魔獣との間に強固な結界を張ると、私は安心させるように声をかけた。

「大丈夫。こっちへおいで」


傷ついた魔鳥は、力なく足を引きずりながら、一歩、また一歩と、ヨタヨタした足取りで我が家の結界内へと入って来た。

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