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「ローラじゃん、おはよう!」
寮の廊下で彼女を見かけたので俺がそうやって声を掛けると、振り返った彼女は微笑みながら挨拶を返してくれた。
「あ、リトくん。おはよう。今日も元気そうだね」
「おう、俺は今日もめちゃくちゃ元気だぞ。そういうローラも、今日も可愛いな」
「ふぇっ!?!?!?!?」
そうやって赤面するリアクションが初めて可愛いって褒めた時のものとまったく同じだったので、それを見た俺もニコニコと笑顔になる。
プリマヴェーラ寮のローラとはこの間俺がペンを落としたところを拾ってもらって仲良くなったのだが、その翌日俺がそのお礼にと飲み物とお菓子を持っていくと彼女は分かりやすく驚いた顔をしていた。
「お礼しに行くってちゃんと言っただろ?そんなびっくりすることないじゃん」
「でも、本当に部屋まで渡しに来てくれるとは思ってなくて・・・。ありがとう、とても嬉しいよ」
「あ、笑顔になった。やっぱり笑ってた方が可愛いよ」
「ふえっ!?!?!?!?」
その反応が面白くって、俺は腹を抱えて笑った。それからことある事にローラに可愛いと言っては彼女を揶揄って遊んでいるのだが、驚くほど反応が変わらないからこらも楽しくてつい可愛いねと言ってしまう。
「なあ。ローラって俺が可愛いって言ったらいつもそんな反応するけど、俺と話す時そんなに緊張するか?」
「え、緊張・・・?あんまり意識したことなかったけど確かにそれはあるかもしれないね、リトくんみたいにかっこいい人に可愛いって言われるのは未だに慣れないから」
「へえ、俺のことかっこいいと思ってくれてんだ。嬉しいよありがとう」
「本当にリトくんはかっこいいよ。笑顔が眩しくて、目もキラキラしてて、それから誰よりも優しくて・・・」
それからローラは人目も憚らずに俺を褒めちぎり出したが、やがてそんな自分自身に気が付くとハッとしたような顔になってからリンゴのような頬っぺをさらに赤らめていた。
「ごめん、つい夢中になって話しちゃった。とにかくリトくんはかっこいいってことを伝えたかったんだけど・・・」
その時の手で顔を押さえている彼女の表情が可愛いくって、今こそそれを口に出すべきだと思ったが不思議と言葉が喉の奥で突っかえた。
(何だろう、この初めて味わう感覚。これまで思ったことを口に出せなかったことなんてなかったんだけどな)
俺が密かに悶々となっていると、ウェスト棟の校舎に朝礼開始五分前を告げるチャイムが鳴り響いた。
「やべ、朝礼始まるから急がないと!じゃあローラ、またな!」
「うん。また話そうね」
走り去っていく俺に向かって手を振ってくるその存在が、何だかいつもより眩しく見えてしまう。先生や風紀委員の生徒に注意されないよう走る速度を落としながら、俺は運動しているのとは別の心臓の高鳴りを感じていた。




