表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死して高校時代に戻った私、『人生計画』を破り捨てた  作者: 朧月 華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/30

第13話 輝きの舞台

文化祭当日、朝もやが校庭に立ち込める中、五人は最後の打ち合わせをしていた。夏希はそれぞれに異なる味のキャンディを手渡す。藤原には集中力を高めるミント、森川には感受性を研ぎ澄ますレモン、赤城には緊張を和らげるストロベリー、神崎には持続的なエネルギーを供給するオレンジ。


「さあ、行こう」藤原の声には少し緊張がにじんでいた。


展示会場には、神崎のプログラムと森川の写真が融合した空間が広がっている。来場者が特定の写真の前で立ち止まると、映像が動き出し、優しい音色が流れる仕組みだ。


「わあ、すごい!」

「これ、どうなってるの?」


来場者たちの驚嘆の声が響く。赤城がにこやかに説明をしながら、来場者を導いていく。


午前10時、審査員たちが会場に入ってきた。藤原の父親もその中にいる。藤原の表情が一瞬硬くなるのを、夏希はしっかりと彼の袖に触れて伝えた。


「大丈夫。私たちの想いが伝わると信じて」


審査員たちは一つ一つの展示をじっくりと見て回る。ある年配の審査員が神崎のプログラムの前で立ち止まった。


「これは...VRを使った心理療法の原型だな」

「はい」藤原が前に出る。「私たちは、テクノロジーとアートの融合で、人の心に寄り添う方法を模索しています」


その時、突然のことだ。神崎のノートパソコンから警告音が鳴り、画面がフリーズしてしまった。


「!?」

「どうした?」赤城が慌てる。


神崎は冷静にキーボードを叩き続けるが、画面は応答しない。

「外部からの強い電波干渉だ。故意の妨害かもしれない」


藤原の父親の口元がわずかに動いた。夏希はそれを見逃さなかった。


「大丈夫」夏希が微笑んだ。「私たちにはまだ森川さんの写真があります。そして、私たちの想いそのものが最大の展示です」


森川がうなずき、カメラを手に取る。

「その通りだ。技術がなくても、私たちの伝えたいことは変わらない」


赤城が来場者に向かって叫んだ。

「みんな、ちょっとしたトラブルだ!でも私たちの想いは止まらない!」


その時、神崎が立ち上がった。

「待て。バックアップシステムを起動する」


彼がスマートフォンを操作すると、会場のスクリーンに別のプログラムが映し出された。よりシンプルだが、心に響く映像が流れ始める。


「まさか...二重システムを?」

「当然だ」神崎の口元に笑みが浮かぶ。「お前たちの想いを、一つの機械に預けるほど俺は甘くない」


審査員たちの間に感嘆の声が広がる。藤原の父親の表情が次第に柔らかくなっていく。


午後の審査結果発表。五人は手を握り合って結果を待つ。


「優秀賞、『時の軌跡』チーム!」


彼らのプロジェクト名が呼ばれる。会場から大きな拍手が起こる。


藤原の父親がゆっくりと近づいてきた。

「...認めざるを得ない。これは単なる遊びではない」

「父さん...」

「約束を守れ」父親は藤原の肩を叩いた。「お前の道を、しっかりと歩め」


その夜、片付けを終えた美術室で、五人は笑顔で座り込んでいた。


「やったな!」赤城が嬉しそうにはしゃぐ。

「みんなのおかげです」藤原の目には涙が光っている。


森川がカメラを取り出し、静かに言う。

「この瞬間を、永遠に残そう」


フラッシュが光り、五人の笑顔が刻まれる。


神崎が突然口を開いた。

「おい、相沢」

「はい?」

「お前が最初に俺のコードを褒めてくれた時、俺は初めて...自分を認めてもらえたと思った」


夏希の胸が熱くなる。

「神崎さん...」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ