イロハの戦い
イロハside~
呆然としていた。あの黒騎士の闇球の雨をまともに食らって無傷で、それどころか針のような武装で倒すなんて……
あれを食らった黒騎士はその巨体を横たえた後、光の粒子になって消えた。行動不能となったため、召喚が解除されたのだ。
カズトはそれを見届けた後、○フォイに宣告する。
「さぁかかってきなよ。」ガシャン
「………」ガクガク
あんな化け物じみた威力、食らいたくない。けど、見下していた相手に降参なんていう屈辱はしたくない、といった考えがぐるぐる回っているみたい。
このままだと、私は何もせずに終わりそうなので、カズトに近寄り、声を掛けた。
「カズト、アレは私がやる。」
「…?承知した。」
「あれの相手は私がやるからカズトは見てて私の戦いを。」
「そこまでいうなら…任せるとしよう。」
そう言うとカズトは武装を解除し、イロハの後ろに下がった。
「………」
パサァ…
私はそっとブレザーの上着を投げ捨てる。深呼吸し体勢を整える。
使い魔が見てる前でみっともない姿はみせたくない……ロングハンドソードを形成して切っ先を狐に向ける。
「貴方は、私が倒す。」
「…図に乗りやがって………この落ちこぼれ風情がぁぁああ!!!!」
○フォイが中級魔法の【火槍】を乱射してくる。
【ファイヤランス】は魔法の中でも速度が速く、先制攻撃や弾幕に使われたりする。
そのため、普段なら回避に専念して止んだときに接近して斬るというのがスタイルなのだが……
「……見える!」
飛んでくる全ての炎の槍が遅く思え、弾道でさえはっきり分かる。
私は乱射される【ファイヤランス】の雨を掻い潜って接近していく。無論、身体強化をかけて速度を上げている。
ドゴンドコンッ!
すぐ側に炎の槍が落ちて爆発しているにも関わらず、私には不安が無かった。冷静に避けながらどんどん距離を縮める。
50×50の広さである舞台に爆発があちこち起きる中、突き進んでいく。
狐の表情が段々焦りと苛立ちに満ちていく。距離が10mを切ったところで上級魔法【炎隕石】を使ってきた。
半径およそ5mという大きな炎の球が私に向かって落ちてくる。
身体強化しているとはいえ、掻い潜れそうにない。どうするべきか……
≪突っ込め。ギリギリで避けろ≫
≪ギリギリで?≫
≪ああいう奴は倒したと思って油断する。その隙に爆煙の中から強襲するんだ。やり方は、イロハ次第だ。≫
《なるほど……それでいく。》
正気に戻ったらしいカズトのアドバイスを元に、ギリギリで後退して避ける。
ドオォォンッ!!!!
爆発と共に爆煙が広がる。すかさず私は左手のハンドソードを投擲する。
カズトが補助してくれているのだろう、標的の位置が分かるため、迷いはない。
爆煙から飛び出すと、右肩に先程投げたハンドソードが突き刺さった○フォイが顔を強張らせていた
対策をされる前に一気に加速し、右手のハンドソードを奴の左肩に突き刺す。
続いて両手に新しくハンドソードを形成して胸部にも突き刺す。
さらにダガーを二本形成し、腹部にも突き刺す。
ぶっちゃけ、もう勝負は着いているが、この先突っ掛かって来ないようにもう一撃加えるか……
右手に普段よりも大きいロングハンドソードを形成し、袈裟斬りにする。
「これが………私の戦い!!」
「おぉのぉぉぉれぇぇぇぇーーーっ!!!!」
そして最後に全属性の炎で形成したダガーを身体中に突き刺した。
「すごいな。」
「あの娘のやり方と来たらWWWWWW」
クロス君と二足歩行の黒猫が爆笑してたけどよく分からない。あの猫は彼の使い魔なのかな?喋れるってことはかなり上位の種族だろうけど……
立ち上がっているカズトと合流したところで先生の放送が入った。
《勝者、イロハ・タチバナ!命令はどうする?》
ワアァァァァ!!!!
歓声が沸き上がる中、命令を考える。ちっとも考えてなかった……
≪イロハ。≫
≪ん?何、カズト?≫
≪女子寮って男性侵入禁止結界あるかね?≫
≪もちろん、社会的に殺すレベルらしいよ≫
≪じゃあ魔法無しで裸で女子寮特功でいいとおもうが?≫
≪それいい≫
カズトの提案を伝えると生徒の大半が合掌していた。残りは貴族で笑っていた。
そこで授業終了の鐘が鳴り、終わりになったので、カズトと一緒に一旦外に出ることにした。




