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第五話 練習場所は?


「行ってきます!!」


 私は、オーボエの入った楽器ケースを持って家を出ようとする。


「あ……それとパパ、時間あったらサイン書いといてね。クラやってる先輩が欲しいって言ってたから!」


「おい、名前は……」


「本堂さんへでお願い!!」


 一度玄関で止まり父に本堂先輩のサインのことを話す。

 昨日の夜は、父が合同レッスンで家に居らず、話す機会がなかったのだ。


「それじゃ!」


 もう一度ドアの玄関を開けて外へ出た。

 


ーー


 左手に重い楽器を持ちながら、昨日ぶりの道を進む。


 電車に揺られ25分、更に歩いて10分の長い道のりのあと、やっとの思いで学校に着いた。


 田舎のため電車の本数が少なく、皆同じ電車に乗ってくるため、学校に着くのも一斉になる。


「はぁ、疲れた……」


 しかし、まだ3階まで階段を登らなければいけないのだ。




「はぁ、はぁ……」




 3階につくと、またも屋上から微かにリコーダーの音が聞こえてくる。

 

 昨日みたいに、屋上に行ったら先輩の迷惑だろう……


 そう思い、今日はまっすぐ教室へと向かった。



ーー



 教室に着くと、楓が先に教室にいた。


「おはよう!春香……ってそれ楽器?」


 私が持っている楽器に指さし聞いてくる。


「おはよう……うん、オーボエ。もう吹奏楽部に入るって決めたから。持ってきちゃった。」


「持ってきちゃったって……どこで演奏するのさ?」


 どこでって?


「えっ?それは部活の練習場所で……」


 普通、吹奏楽部って空き教室とかで演奏するだろうし…


「新入生は来週に入部届出すまで、部活動出来ないんだよ?昨日の話聞いてなかった?」


 あ!!


 そういや言ってた気がする。昨日は、緊張で話半分にしか聞けてなかったから忘れていた。


「最悪……せっかく持ってきたのに…」


「まぁ、練習場所くらいどこにでもあるんじゃない?ほら、屋上とかさ。あそこなら音あんま邪魔になんないんじゃない?」


 屋上は、あの先輩が居るし……


「あ、でも放課後は部活に行って居ないかも!!」


「どうした?」


「うんうん、何でもない。」


 せっかく持ってきたのだから放課後、屋上で練習しよう。


 幸い、持ってきたオーボエは、外でも使う練習用だ、そうしよう。


「屋上で練習することにするよ。ありがとう、楓。」


「どういたしましてっと。それより中学1位の演奏かぁ、聞きたいなぁ!でもほかの部の見学もいきたいしなぁ、どうしよう……」


 どうやら、私の練習についてくるか、ほかの部の見学に行くか迷ってるらしい。


「私の演奏なんて、いつでも聞けるよ。ほかの部の見学行ってきたら。」


「それもそうだね……なら春香も一緒に!」


 確かに、練習なら家の防音室でもできるけど…


「ごめん、学校で吹く気分もいち早く味わいたくて。」


「そっか、まぁ学校で演奏するとなんかこう、青春のど真ん中って気分になるんだよね。春香は吹部じゃなかったわけだし、いち早くその気分を味わってきな。」


「うん、ありがとう!」


 私は、放課後屋上で練習することに決めた。

 

 あの、先輩の居る屋上で。


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