第9話 天井より
内部で待ち構えていたのは
超兵器獣の一角、ミカエル。
突破する先で科国軍の司令は待ち構えている。
船の先端に女神の像が付いてるのをご存知だろうか。
船首像と呼ばれるらしいが、
まさしくそんな感じの身体が天井の扉より飛び出してきた。
足の部分はコード纏めていて蛇の様なので、
言うなればラミアと呼ばれる神話の生き物の風貌。
「超兵器獣、ミカエルだ。
ウリエルが戦闘のプロなら、ミカエルは防衛の専属だろう」
「うう…さっきのブラスターは少しトラウマですよ」
「様子を伺いながら突破口を探すんだ。
最後の部屋で待つ主人は、恐らく私達を撃滅しないと気が済まないらしい」
翼が変形するとブラスターになる。
ウイングブラスターと言ったところか、極太のレーザーがディアード達を襲う。
「ひえっ!うう…もう嫌だ…」
「怯えたら駄目だ!呼吸一つ詮索の材料になる!気を保て!」
しかし無慈悲にも放たれた五指による光線は2人を追い詰める。
回り込んで射撃してもまるで効いていない。
本体は硬い装甲で受けるが、バリアが張られている。
逃げの一手を打つと追い詰めて来て止めどない。
正に地獄への扉を開けてしまったようだ。
あまりのしつこさに気分が悪くなるコドク。
わざと攻撃を外して遊んでいる様に見える
ミカエルが意地汚くてしょうがない。
「本当にイヤなやつだ!弱い者いじめもいい加減にしろ!」
「待つんだ!近づくのは…」
これを待っていたとばかりに背中のウイングを錠にして伸ばすと、
コドクをがっしり掴んで電流を流した。
「うわあああ!」
「捕まれたか…!このままでは…」
絶体絶命のピンチ…な筈がなかった。
冷酷に口を閉じると落ち着いた手つきで
狙撃銃を組み立てトリガーを弾いた。
トパーズの力を込めた”黄玉弾”だ。
内部に侵入すれば最後、主人の意思で粉塵爆発を起こす。
「看守よ!システムを落とせ!
さもなくばこの施設は、お前もろとも焦げ炭にする!」
監視カメラに向かって脅しを掛けると、
ミカエルは機能を停止してコドクを落っことした。
「コドクさん…
私はこう言う手も平気で使う男です」
「とんでもないですよ…寧ろ謝るのは僕の方です…
感情のままになってしまってすいませんでした…」
そう言うと力なくぶっ倒れる所を
ディアードが支えておぶさった。
「…侵入者諸君に次ぐ。
今、この施設の防衛システムは全て切った。
3階の司令室で待っている。帰るなら自爆する。必ず来い」
とても冷徹な女の声が聞こえてきた。
声色だけでとても恐ろしい人物なのがわかる。
静かに歩み始めるには覚悟を問われる感じを拭えなかった。
3階の司令室に着くまでに何があってもおかしくはなかった。
だが何もなかった。本当に何もなかったのだ。
しかしお互い考えることは同じで、心中当然と目を光らせていた。
「(下手な真似をすれば、そのまま覚醒者として報いればいい)」
「(下手な真似をすれば、私もタダではすまない、か)」
ドアをノックすると科国軍司令官は出迎えた。
近未来なインテリアは科国側からすれば日常的な風景。
会談用のソファへ座ると、お互いガンを飛ばしながら
会話を進めた。
「戦勝と言った所ですね、まずはおめでとうございます。
ですが私達はあくまでも部外者ですよ?」
「オブリビオンを使って置いてそんな事を言われましても」
「…単刀直入に伺いますが、この戦争の発端は?
別に経済的負荷があったとは思えませんが」
「おや、もう既に完全に上の方には漏洩済みかと思ってましたが…」
この戦争が起こった理由…
その背景は魔国による影響が大きかった。
科国はここ数年で生産や暮らしに置ける技術の向上が
目覚ましいものだった。また、応用できるものは
兵器として運用したり、別の大陸への貿易の
要としていた。
一方魔国は支援が不要になったため今まで行っていた搾取的な貿易が
不作となった。その影響で食料は余り、安値になった物を
民が手に入れていたので富裕層だけが損をしたことになる。
これに貴族や商人が鬱陶し、無理やり科国の技術を強奪せん、と
窃盗や悪質な交渉に身を出した。しかも国交での会談で
貿易や発展に制限を掛けなければ、攻撃もやむを得ないと言いはてた。
科国はこれに激怒。
全ての条約を突っぱねて国境という国境に壁でも建てるかの様に
戦車や簡易要塞コンテナを敷いた。
だが悪知恵の働く富裕層、なんと次の一手は禁断とも言える
破壊兵器の材料と設計図を丸ごと強奪するために、
第一級魔術で兵器を保管していた街を焼き尽くした。
遂に科国の首脳は痺れを切らし、魔国への侵略戦争を
威嚇する様な形で始めてしまった。
「…まあ、魔国民は可哀想だよね。
てっきり私達も停戦への会談からの撤退かと思ったら…
貴族は金儲けと地位確立のことばかり」
「なるほど…なら次の質問ですが、
この戦争では魔国貴族は優雅に陥落するまでパーティを開いていた。
だがこちらの青年の話によると奴らは既に逃げ去ったらしい。
…どこへ?」
「どこへだっていいでしょう…?
私達の管轄ではない。それに我々の設備は襲撃を受けて
更に強固なものになった。戦う程に強くなる事を約束する、
科学兵器は正義の味方よ」
「幽体への対策が不十分過ぎる気もしない。
それに一才の反撃がなかった…嫌な予感がしますね」
そういうとモニターに向かってパソコンを弄り出す。
メールボックスを見たがそうと思わしき情報は出ない。
「杞憂に終わったわね」
安堵したのも束の間、お互いの通信機に
着信が入る。中身はこうだった。
ディアードの相手はストルム。
「おい!そっちはどうだ!
こっちは今片付いたぞ。でもなーんか向こう側が変なんだよなー」
「変…というのは?」
「何も無いところから飛行機雲が出始めたのよ。
なんか知らない?」
「…ストルム、建物の側に来たなら
入り口で待っていてくれ。
すぐに帰還できる様にしておくんだ」
「…?あいよー」
血相を変えたのは女司令官だった。
直後の本部からの指示はその場から動くなという物。
一部兵力を送るため、その軍団の統率を任命された。
具体的な本題は言わずもがな理解できた。
(科国キョウゴク領に魔国の関係者と思わしき侵入者。
侵入者はアンダープラントへ接触。)
そして最後に聞き捨てならない一言があった。
それは国家存亡阻止システムの起動だった。
「待ってください、最終防衛ラインは突破できるはずがありません。
理論上、あそこを突破できるのは科国民以外ではまず不可能です」
「確かに、我々科国民は生まれた瞬間に国家サーバーへの
アカウントへの紐付けを行うことで、様々なサービスを
受けられる…そして、ランクが上がれば入れる施設があって
その最上位の一つにアンダープラントはある。…が」
「まさか…アカウントに偽造ができてしまったと?」
「そんな筈はないとは言い切れない、
とにかく今からそちらを拠点の一つにする。
ヴェルサイス大聖堂を掌握してくれ」
言い終える頃にはディアード達は居なかった。
ミカエルの再起動を試みるも黄玉弾の影響で
まともに機能しない。
というか既に逃げ去った後だった。
閲覧ありがとうございました
超兵器獣は5種存在します。
五大天使の名前を使ってる以上、機能はそれなりに高いです。
次回もお楽しみに♪




