第10話 侵入者
帰還の空路で今回の事を話し合う二人。
その一方で科国には魔の手が静かに忍び寄る。
魔国が本当に欲したものとは。
科国には対国家暴威措置として、六つある領地に
それぞれ強大な報復を行使できる兵器を備えている。
しかしその中でとある領地の物は、かなり
凶悪な影響を及ぼす物として存在していた。
狙われたキョウゴク領に配備されていた物、
名称をケラウノスという。
それは放電棟拡散配置ミサイルという
炸裂すると電磁パルスタワーを配置するミサイルだった。
空中で分裂すると10棟ものタワーが突き刺さる。
コントローラーで電磁波を発せれられるが、
発するのはただの電磁波じゃない。
赤外線やあらゆるものに放電を差し向ける特殊な電磁波だ。
起動すれば通信機器は一瞬で故障。
人体は強電圧で感電。生半可な燃焼性のある物は
一瞬で黒焦げにするか発火させるという。
「科国に対してなら無効になるわ、
バリアドームがそれを受け付けないもの。
でもこのミサイルは大陸間で分散できるから、
落ちる場所は完全にランダム。国の信頼は…
地に落ちたも当然ね」
女司令官がわずかに狼狽えていると、
科国軍が戻ってきた。コンテナホテルと
戦略事務所を開設していると報告が入る。
「現在魔国の侵入者はアンダープラントで包囲しています。
ですが万が一を考えると最悪の事態も」
「わかっています。
…ヴェルサイス大聖堂は好きに使っても良い状態ですよ。
但し盗聴器などには十分に気をつけてください」
場面が移り変わって遥か上空にて。
成竜の状態で帰還中の二人と人間一人はある不安を頭がよぎる。
「なあ…魔国は何を狙って戦争をおっ始めたんだ?」
「明快にはできなかったが、一つわかった事がある。
魔国の今回の目的は、世界を一度混沌に貶めることだ」
「どう…貶めるんだよ…?
科国の兵器っつったって、魔法の力で改造しても
わざわざ人殺しに使う意味がわかんねえよ」
「…人殺し、と言ったな。
“どうしてそう感じる?”」
「あ?そりゃだってみんなビビるだろ?
自分が死ぬ可能性が…苦しむ可能性があるとわかりゃあねえ」
例えば…パンデミックで色々な人が亡くなったとして、
次に狙われたのが明確に貴方だったとしよう。
その時何が不安になるかというと、
自分の事もそうだが、まず貴方は周りへの影響も
少なからず浮かんだのではないだろうか。
自分が当事者になってしまったらどうなるのか。
まずそこからだ。
「戦火の火種はマスコミの大好物だ。
偏向報道をしたいならこの上ない」
「それがなんだってんだよ」
「例えそれがありもしないリアルだったしても、
自分が銃口を突きつけられたら全て察するだろう?」
恐怖とは何かを深く知るディアードからすれば、
この手の脅しは真意がわかる。
魔国が狙ったのは科国兵器ではなく、
“科国兵器による混沌”を欲したのだ。
その為に戦力として成り立つであろう魔国のエリートは出陣せず、
格下の兵隊ばかりを並べてわざと大規模に見せた。
銃口を突きつければ何かしらの対応をするだろう、と。
「使う気は?」
「100%…魔術でいじくり回して
刃向った敵対国及び全ての組織のみになんらかの影響を与える」
「ヤクかよ」
「国家というのはある一種のヤクザだ。
見返りのない仕事に興味はない」
やがて空中の気温も上昇し動きやすくなった。
その頃キョウゴク領の兵器保管施設では、ある魔国貴族によって
アンダープラントを完全に掌握したところだった。
科国軍が犯人を追い詰めた今、投降を促している。
閲覧ありがとうございました
ディアードも竜大陸出身の竜族です。
ちなみに竜大陸は火、水、風、光、闇の五つの王国が存在する
そんな設定です。ストルムは風、ディアードは光の王国出身です。
次回もお楽しみに♪




