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第11話 入り込んだ者

戦地からだいぶ離れた科国の都市では

魔国のスパイが潜入している真っ最中。

悲劇へのスイッチは目の前だ。

「侵入者に告ぐ!

無駄な抵抗をしなければ、命までは奪うまい!

大人しく武器を置き、投降せよ!」

黒いローブに包まれた青年は、得物の細剣をカランと

音を立てる用に落とし警備兵を待ち構える。


麻酔銃の発砲を許可された警備兵は躊躇なく

それを撃ち込むと呆気なくばたりと倒れた。

数秒待って近づく、予定通りに。


「体等交換(ボディ・バイセル)」

すると青年は予定通りに効いたフリをやめ、

笑みを浮かべて兵士を絞め技ではがいじめにすると

もう1人が即座に麻酔銃を発射。

しかし妙に伸びるローブに隠れて防ぐと、

今度は兵士がそれを払って遂に押さえ込んだ。


「うっ…ぐわ!放せ、やめろ!俺は…違う!」

「大人しくしてろ。命は奪わねえつったろ」

「…!」

黒いローブを着ていた青年は人が変わった様に青ざめて

そのまま連行されていった。


休憩中…

「なあ、今回の件どうなるかなあ」

「どうなるって、何が?」

「プラントはなんとか兵器を起動せずにすんだけど

国民にはアラートが行った筈だぜ。どう説明すんのかなあ〜って」

今や科国中大騒ぎ。世界各国で放電タワーが半径5キロを

無力化したとなると、とんでもない映像がニュース番組で

流れてくるのだから。


半径5キロ以内の者はほぼ全て焼き焦げて

連絡さえつかなくなる…建物の中にいれば

粗方安心はできるがそれでもショック死することも否めない。


この兵器は都市機能だけを完全に無力化できる。

漏電して荒れ狂う電気が恐怖として映っても、

だからと言って超高層ビルが崩壊することはなく、

寧ろ修理して一方的に利用できる。


「俺雷に撃たれる夢見たことあるけど

流石に怖かったぜ〜…」

「へえ、それって本当に打たれるの?」

「そうだとも。爆撃された様な音とパリって音で…」

「へえ、それってこんな感じ?」

面白い表情が一変する。

まるで牛乳でも刺したかの様に白い表情。

相方は倒れた。スタンガンの様に

Vサインを作った指の間からパリっと音。

基礎的な雷の魔術を使えばショックを起こすのは容易だ。


魔術百柱の内、

交換(バイセル)は自らの意識を魂(ウィスプ)にして

触れたものの意識を無理やり追い払い、

そのまま器を乗っ取る魔術だ。

それ以外にも物と物の存在を入れ替える事もできる。


「やれやれ、この体は窮屈だなぁ。

筋肉はデカいし、脂肪も多いし。前の青年の身体に戻りたいなあ」

物に憑依する事もできるが、当然稼働部分がないなら動けない。

青年だったと思わしき人物は休憩室から抜け出すと、

再びアンダープラントへやってきた。


「アンダープラント…兵器の農園ってね」

ニタリと笑うと歩みを進める。

まるで悪魔だ。悪魔は調査中の現場に見張りの仕事として入ると、

誰も用の無い起動スイッチを押した。


「緊急警報、緊急警報。

システムを作動します。10分以内に

以下の都市へ放電攻撃作戦を行いますので

各組織への連絡と国民の避難を誘導し、待機してください。

攻撃対象は…」

鳴り響くサイレン、目の覚める様な緊張感。

枯れた体にビールを流したときの様な感覚か、

身体中に鳥肌がたった。


「どういう事だ!?誰が起動したんだ!?」

「見張りは…見張りは何をしていたんだ!?」

「落ち着け!狼狽えている場合ではない!

今すぐ情報局各所へ報告!避難誘導を開始せよ!」


慌てつく現場は兵器を止める者と

マスコミや各大陸の統率者へ連絡をする者、

逃げ出して身の安全を確保する者と様々いる。

閲覧ありがとうございました

今回のお話で登場したスパイは覚醒者です。

ちなみに本体は自宅で保管しています。

次回もお楽しみに♪

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