第47話 人工自然名所
兵器類の説明を受けるためにコドクは
傀儡人と設備の見学を始めたが、
罠に嵌められ脱出困難を余儀なくされた。
交渉が完了すると、持ってきていた
バッグを転送装置に商品を調達した。
強めの光線が光ると、ケースの中には
注文した商品が入っている。
「取り扱いにはお気をつけください。
それではこちらの要求を受けていただきます」
「ええ!ではでは、まずはミサイル系統から…」
そう言って案内を始める時、こちらを覗く視線が
えらく懐疑的な事を見逃さずにはいられなかった。
摩天楼の離れまでの移動は公用車のリムジンで移動だった。
初めて乗る車に緊張が全く抜けないコドク。
ぎこちなさを気遣われて、思わずため息が溢れてしまった。
「はっはっは、そう緊張なさらず!
何せこれに乗れる事が、選ばれし者の使命でありますぞ」
「お気遣い、かたじけありません…」
兵器の管理施設は都市部と比べて
大きく開けた場所にある。
天候が悪くなりやすい事で有名な鳴神平野という場所を
大々的に使っているのである。
ちなみにどれくらい天候が悪くなりやすいのかというと、
1年における雨天の割合が半分を超えるくらいあって、
その内の半分がゲリラ天候である。
この事から防衛にはもってこいと建設と発展が進んだ。
「時に…コドクさん。
この平野はどうやってできたのかご存知でしょうか」
「話に聞いた事によるとこの平野を囲うようにできた
二つの山脈によるものと聞いています」
「おお、ご存知でしたか。
しかし、それだと天候が悪くなりやすい理由の
説明までができていない事になります」
鳴神平野の悪天候は人為的なもの…
しかし天候を操る魔術を持つ者がいるとしても
その張本人はストルムのことだ。
ならばどんな方法でやったのだろうか。
聞いた真実にコドクは表情が歪みそうになる。
「平野を安定させるために削る事にしたんですよ。
元々土壌豊かで農耕地だったのですが、
ミサイルで一面を真っ平らにしたらこれがビンゴ!
強固な地盤と超反応を起こした磁場で要塞の完成です!」
「それって…そこに住んでいた方々は…?」
「勿論即死でしょうなあ。家畜もろとも」
「それでも大事な国の資源ですよ?
それなら、避難勧告を出せばよろしかったのかと」
「…そうやって正義の味方ヅラする人はいるのですが、
いかんせん大自然のルールからすればこれは競争!
混乱極める大陸相手に時間がありません」
唖然とした。
この瞬間からコドクは気づいていた。
これは罠だ。あまりにも悪趣味な発言は、
誘い出すための世間話の一環。
頭に血が昇り、ここで立場を逆転しようものなら、
この先でどうしようもない事になる。
冷静さを失うな。
見るべきポイントは多い、増援のタイミング。
裏切る場所、今やるべき事は…
ミサイルのプラントに着いた。
ここでは年中夜通しで監視と管理を行っている。
建物内の奥には今にも発射されそうな
ロケットが幾つも几帳面にずらりと並んでいて、
足場の上を作業員が右往左往しているのがわかる。
「当国最強のミサイルはここにはありませんが、
それでも、街一つなら容易に破壊できるものを
取り揃えております」
「であればわざわざ最強の、なんて言いませんよね?」
「おや!一本取られましたなあ!あはははは!」
間違いない。
これが使われるはずのミサイルだ。
こんなものが使われていれば、身分関係なく
国家公務員以外は大損害を受けていたのであろう。
「水素というものを効率的に使った爆弾は
おそらくですが魔法が存在しない世界であっても
最高の力を誇るでしょう。大陸一つを消すなら、
ある一定のレベルを超えれば裕に…」
「…お聞きしますが、
その逆はどう考えますか?」
「創造の前に破壊は必然ですぞ。
まずは簡単な仕事から手をつけるでしょう」
自然に帰る理論は都合が悪い時には
最高の返し文句だ。物が生まれる為には
誰かの手によって加工する手間が必要なのに。
まるでわからないから我々は自然の一環なんて
口にできる。
「ここにあるミサイルの中で
1番汎用性が高いと思われるのはどれに当たりますか?」
「手前から数えて18番目の列、R-10から20の小型機ですかなあ」
「小型なのではなく、
実戦で使う物はありませんか?」
「鋭いですなあ、では、お探しになられて?」
そういうとコドクは1番奥のZの列を確認すると
詳細を聞き出した。あまり答えたそうには
していなかったが、渋々営業用の顔とトーンで
説明を始める。
「このミサイルは超小型のホーミング弾…
なので、真上に打ち上げてそこから照準を合わせるんですね」
「(やはりこれか…)
すごい便利そうなのをお作りなんですね。
開発費とかは…」
「申し訳ない、私も把握してないのですよ」
「何か開発に関してわかる事は?」
「お答えできる情報は…特に何も…」
まるで降伏を促すような物言いだ。
1番怪しい物がわかった以上これ以上は聞かない。
問い詰めれば反感を買ってしまう。
まだ作戦の途中なのだから。
このホーミングミサイルは
弾だけで様々な兵器と連携を取れる。
特にドローンとの連携は見事な物で
先端のセンサーを、ドローン機のドーナツように
空けた穴を的と認識させて、数センチ間隔で正確に
着弾できる。しかもその間は起爆にも
ある一定のタイムラグを発生させる事できるのだ。
コドクはこれが何なのかが知りたかった。
脳内に形状と案内板の重要単語をインプットして
任務を終える事できる。
せっかくだからと次に戦闘機の発着基地に案内された。
これも重大なチャンス。本物の戦闘機の姿を見て、
その力を把握したい。
脚を進めようとしたその時だった。
警備隊が急足で迫り来ると、
銃を構えてこちらを降伏を促してきた。
「…どういうことですか」
「…これほどまでの情報を聞き出したのですから
タダで返そうという訳にはいきませんよ」
「提供した商品はまだ使用していませんよね?
これ、立派な破綻行為ですよ?」
「構いませんとも!
今までこうして何人もの人物を嵌めたのですから!」
そういうと一斉に睡眠弾が発射された。
コドクは薬鞘の液体を少し口に含んで後ろへ下がる。
ここから抜け出したいなら
手段はただ一つ。
最早戦うことしか道が残されなかった。
閲覧ありがとうございます
(鳴神平野)ってめっちゃ日本にありそうな地名ですね。
竜大陸にとどまらず、この世界にも様々な名地があります。
絶景巡りいきてーなー!
次回もお楽しみに♪




