第46話 権力者の買い物
武装品の交渉に訪れたコドク。
光の王国の国家政府の中枢は巨大な摩天楼で、
貧富の差を明らかにさせるには十分。
そこで会った交渉に応じた傀儡人は
国の現状を明かしてくれた。
聳え立つ政府のビル。
最高階層60階の摩天楼。
周囲の景色はラスベガスのカジノを彷彿とさせる。
そんな街に相応しいようにそれっぽい服装の
竜人達が高貴な振る舞いで歩き回っている。
「(光の王国の8割は農村地帯。
確かにここ周辺だけ変に栄えている…)」
エレベーターに乗ると20階のボタンを押して
応接間に辿り着く。エレベーターですら豪華で
古から存在した物を現代の技術で合成した、
そんな物だった。
「ようこそおいでくださいました。
まずはお掛けになってください」
鋭い目付きをしたずんぐりと肥えた男が
気味の悪い笑顔で出迎えた。
「先日はクーデターが発生した模様ですね。
関係者の皆様はお変わりないでしょうか?」
「はっはっは!いきなり生臭い話ときましたか!
相変わらず血の気の多い方々ですなあ!」
「失礼しました…
何分、命懸けで戦場が出来上がる様を見てきた故です」
「いやはや…ご安心を。
我々が命を賭けなくていいように、
首輪を掛けるのがこの立場の宿命ですから」
今にも飼い犬に手を噛まれそうな発言。
権力には例えこの世の全てを知り尽くしても逆らえない。
知識人が権力を手にして、更なる探究のために
誰かを犠牲にしても厭わないように、権力は
生き物の形を根本から変えてしまう。
見にくい生き物に見えるだけ…
本当にそうなら良いのだが、最早無意味な一考か。
「戦果としては我々の大敗ですなあ。
住宅地の一部が壊滅的な被害を被ったとか、
なので…同じくらいの被害を与えませんと
治りません」
「都市破壊型の爆弾が欲しい、と」
「いえいえ!そんな事をすれば
世界各国から非難の嵐ですぞ!」
「というわけで今回はこれをお願いします…」
パッドを操作して出したのは
ウイルスとワクチンのセットだった。
用意そのものは比較的に簡単で、
手間は掛かるが悲劇的な末路を産むには
十二分と言える判断だ。
このウイルスと言うのは、言わば
インフルエンザみたいな物だった。
空気感染力がとても強く、病態になれば
1週間は寝込まないと症状が治らない。
そして更には形を変えて薬に対する耐性も持つ。
恐ろしいのはここからだった。
当然、治るまでの期間は体が瀕死状態になる。
それを防ぐために、ワクチンを打たせるとどうなるか。
もしくは未だ病態になっていない者が、軽減のために打つとどうなるか。
ウイルスの生命維持力が強くなり、
大半の薬が効かなくなってしまう
ドーピング剤のような物だった。
打てば最後、毎年発症すれば歳を追うごとに
その苦しみは強さを増していく。早死にしても
おかしくはないような身体へ生まれ変わる。
まさに悪神の如く凶悪な兵器だった。
「こちらを使うリスクは既にお分かりかと思われます。
使用して3年その地帯はロックダウン状態です。
取り扱いには細心の注意を払ってください」
「わかりました」
「では私共からは…」
今回のクーデターでどれくらいの兵力を出せたのか。
個人兵器の詳細や、主力機の紹介を求めた。
結果は兵器類は快く受け入れてくれたが、
個人兵器はどうしても言えないと払われた。
想定内だ。寧ろ全て明かそうものなら冗談だと、
言い退けるつもりだった。
閲覧ありがとうございます
もしワクチンを打ってしまったら…
まあ梅干しでも食べてよく寝たら効果も弱まるかも?
怪しい薬には触れないことです!
次回もお楽しみに♪




