第45話 手番が移る
圧倒的な力で両軍の撤退に成功したストルム。
初の単独任務を終えた後にコドクから協力の要請が来た。
中身はなんと同じく光の王国関係のもので、
今度はレジスタンスの降伏を促すものだった。
鳴り響く雷鳴、降り出す雨。
空に表情がある訳では無いが、
ハッキリと激怒する表情が窺える程度に
どす黒い天候だ。
天高く腕を上げると、
ストルムの頭上で気圧の巨大な拳が
シルエット状に浮かび上がる。
そこへ巨大な閃光と共に落雷が
直撃すると拳は黄金を帯びてその真髄が顕になった。
「雷拳!」
直で振り下ろされたあまりにも大きすぎる
質量に恐れ慄いて逃げ去ることしかできない。
逃げきれない…!
そう思ったが寸前で回避に成功した。
これほどまでに強い一撃を繰り出せる謎の人物に、
もはや戦う気力なんて起きずそのまま報告へ向かった。
初めて自分は戦慄してしまった事に対する
情けなさと屈辱感。涙は溢れ歯ぎしりをしながら
ただただ逃げ出すしか無かった。
ストルムが狙ったのは実力者ではなく後方戦車部隊。
当然あんなもの見せつけられれば撤退を余儀なくされた。
上流層側こと騎士団は屈辱の逃げを選択した。
その後、その場は本格的に嵐に見まわれた。
余談だが、落雷が集中して発生しており、
そのまま戦っても命中するのがオチだったと考えると
九死に一生を得た行動だった言えるもだった。
任務完了 そのまま帰還
「っしゃ〜、終わった終わった」
「お疲れ様です。
本当に1人で片付けましたね」
「まーね、それより…
見た!?新しく生み出した必殺技!
図書館に置いてあった漫画のワンシーンから思い付いたヤツ!」
大興奮で報告する中、今度はコドクのスマホに
メールが届く。
任務の依頼だ。
行き先は光の王国、今回は鎮圧とは真反対で、
武装品の調査や王家との傀儡で販売の取引も行う。
つまり、会話による最新情報の奪取か
司令室からデータベースをクラッキングが大きな手段として、
有効だと思われるが、もう一つとして武装品の取引も
忘れてはいけない。
「なんか…えげつねえな…」
「でもこれ、僕にとっては天職かもしれません。
趣味で描くだけじゃ物足りないですし。
こういうのに触れて、武器の重さを知れるのは
とてもラッキーだと思います」
「お前がそういうなら…」
流石に調査と交渉は同時に遂行するには
教鞭が必要だと感じ、ディアードに相談する事にした。
ディアードはまず交渉における個人的な見解を告げる。
相手が武装品を欲しがる背景とそれに適応する物を
提供するのが大まかな流れだ。
この時あまりしてはならないのが
相手が求めた物よりも必要以上のサービスの話をする事。
戦争の道具が欲しいと言った客に対して、
戦後の復興のために農耕器具や建設ロボも進める事だ。
「先の事も考えてくれている、と思われないんですか?」
「逆だ。戦果に対して不誠実で不相応と思われる。
世間一般ならそこまで言わないと売れないというが、
相手は国家。巻き上げようなんて思えば、それこそ
向こうの思う壺だ」
「思う壺って…どんな責任追求をするんですか?」
「例えばここの存在をバラすとか」
「あ…」
蛇足で出てしまった揚げ足を取るようなことを
相手側は平気で言ってくる。それは相手に対して
誠実がないから、業績の為の金蔓と思う。
だから推奨はしてもしすぎるのは良くない。
取引は物が使われた後も続いているような物だから。
「自社製品に自信があって、今回売るのが林檎だったなら
同時に継続的な契約を結んで欲しいと思うだろう。
だが問題は相手がその先にそれを求めるのかだ。
相手がフルーツタルトの名店なら勧めるべきだが、
八百屋なら相手が発言するのを待った方がいい」
「なるほど…」
相手の話をただしっかり聞いて会話するより
何気ない会話をわかりやすく解釈するべきか。
「調査はおそらく、
今回のクーデターでどれくらいの力を発揮できるのかを
本部は知りたいのだろうな」
「何を重点的に調べるのがいいんでしょう…」
「レジスタンス側に対してどう攻撃するかが肝だね。
それによって…今後の展開が変わる」
戦車の数か、戦闘機の数か。
自国で生産された武器、訓練された兵士たちの
衣食住と訓練に掛かる道具、覚醒者の情報。
挙げ出すとキリがない。
ストルムが調査中はずっとインビジブルドローンで
追跡をしていたが、一部の戦力と捉えると
まだわからない事だらけだ。
そんな中コドクが出した答えは
取引で話を聞いてから背景などを考察する事で
ある程度の数を摘出する事だった。
数日重ねて取引を開始。
会う約束は既に取られていて、
案内の人に要件を伝えるとボディチェックが入って
中に通してもらった。
ここからが本番。
抜き出せるだろうか、このクーデターへの意向を。
閲覧ありがとうございます
必要のない説明や意味のない助言、
どうしてもあってしまうが、たまに本気で
相手を怒らせるようなものがあるのかもしれません。
口は災いの元、ってね!まあ言ってしまった物はしょうがないけど。
次回もお楽しみに♪




