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第44話 栄枯盛衰

最初の単独任務で訪れた

光の王国の紛争地帯。

そこで行われていたのはとある上流層の階級者と

レジスタンスで生き残りを賭けたクーデターだった。

あらかじめ調査を行なってくれた

コドクの情報によると、数年前から政治家による

増税の上げ幅が常軌を逸伐しており、

遂に先月の増税案が実行されるとレジスタンスが

結成され、法案を決定した者が住まう住宅街を中心に

大規模な攻撃が行われた。


「住宅街に?普通攻撃ならそいつの職場だろ」

「やはり格差が問題視されたみたいです。

まずは帰る家を同じくらい収入がある者を諸共崩す…

なんとなくですが合理的と思われます」

「武器持ってない奴相手に、ねえ」


考えはわからなくもないが卑劣な行いではある。

ただ住んでていた者が、いきなり悪気もなく戦火に巻き込まれる

のは、不幸だったの一言で済ませられるのか。


とはいえコドクの言い分も立場上間違いではない。

この世に生きる全ての者が弱肉強食なら、

法に守られているという当たり前に縋る事がおかしい。


だからお互いに正義。

理由があればそれで良いだろう。


「ま、仕事ですから」

そう思うと自らもゆっくりと体を

竜の姿に変えて大舞台へ羽ばたいた。


戦地となった住宅街は、土地の値段は高く、

その分インフラは整っており、戦車やマシンが

通るには十分にスペースがあった。

ラグジュアリーな雰囲気は今はとても演出できそうに

ないくらいに荒れ果ててしまい、

今でも兵士の略奪行為が続いている。


ある部隊がドア破壊して豪邸の中に強行した。

怯える年寄りの竜人と武器を構えるレジスタンス。

「…金目の物を奪ったらトラックに詰め込んでおけ。

身分証も忘れんな!」

「そ、そんな…」


浮かれていた訳ではない。

だが、明日自分がこんな目に遭うとは思わなかった。

目の前で通帳を初めに免許証やパスポート、

財布に金庫に芸術品、あとは食料も奪われていった。

本当にこれがリアルかなんて疑う間もなく、

備えていたセコムも模造刀も武道の経験も

略奪者の前では何もできずただ手を上げて

時が経っていくのをおめおめと待つだけだった。


「さてと…お前は…

元王国騎士団の経歴があるな…」

「今はもう引退したがな。

あと20年は若ければ、お前らなぞ怖くもないわ」

そういうとレジスタンスは銃を構えて

右腕を使い物にならなくした。

響く銃声は当たり前のように響き渡り、

誰も救援を呼ぶ事はなかった。


「あぐう…!?」「貴方!」

「ずいぶん脆いな。

もう少し耐えるだろうと思っていたがな」

「リーダー、荷運び完了しました。

ここの住人はどうしましょう」

「反抗的な態度は男だけした。

女は縛っておけ、男はもう処分した。このままずらかるぞ」

「口止めは完了しましたか?」

「ああ、身分証と通信機は全て強奪、破壊済みだ」


トラックは足早に去っていった。

相当なお金持ちの老夫婦だったが、

もはや見るも無惨。夫はまだこの地獄から

解放されなかった。


戦闘の本場は町外れの農耕地。

今ストルムは例の実力者と対峙する。


「何者だ」

ストルムは問いに答えない。

しかし幸か不幸かレジスタンス側からの

砲撃がストルム目掛けて発射された。

敵と認定されたようだ。


何も言わずに両手で気圧を操り、

球体のバリアを拡散させると砲撃は届かず

空中で爆散した。


今度はレーザー砲が放たれた。

これは幽体(ゴースト)で回避。

相手が魔術師であるとわかると様々な攻撃を

繰り出してきた。


上流層側に付いていたこの男は

光の王国で政府運営の騎士団に所属している。

ストルムの冷静だがどこか否めない振る舞いに

危機感を剥き出す。


燃料切れを起こしたレジスタンスは撤退。

だが、追撃しようとする実力者を阻む。


「なんの真似だ。

このまま下がれとでも?」

終始無言のストルム。

訓練を積み上げて少し有頂天になっている。

「(こういう無言で片付けるキャラってカッコいいよな〜)」

「(しらを切っているのか…?

 それとも挑発なのか…?だが!)」


問答無用で剣を構えると距離を詰めて斬りかかる。

風圧を込めた蹴りでカウンターを決めて、

左腕に付けたアームボウで牽制しながら

付近を飛び回り確実に追い詰めると、

スクリューを描くように斬撃を仕向けた。


「(幽体を貫通した…!?)」

「斬れた!なるほどな、実力はそこそこ…」

スタミナ切れを狙えば素性が分かる。

更に追い詰めるため、隙を見せないよう撹乱し、

毒を仕込んだ矢を打つ。当てる必要は無い。

自慢の斬撃を当てればその時点で決着がつく。

舐めて掛かった代償に素性暴いてやる。


ストルムは天高く舞い上がった。

実力者からすれば逃げの一手にしか見えない速さで。

しかしストルムからすれば、このタイミングを

待っていたと言っても過言じゃない。


「(見せてやる…

 森羅万象が跪く、大自然の怒り!)」

「なんだ…辺りが異様に暗い…!

雨が降る匂いもする、あの者、何をするつもりだ…!」

閲覧ありがとうございます

あくまでも治安維持が組織の目的なので、

あのままレジスタンスを追わせるわけにはいきません。

むしろ民衆の怒りを買ったツケを払わせないと

更にえげつない応酬が待っているわけなのです。

次回もお楽しみに♪

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