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第43話 単独任務を受ける

ギルド本部の訓練施設を初めて利用したのは

リュシオを迎え入れる前の僅かな日数だったが、

上手く使うことで魔術を短期間で取得することができる。

それだけの設備が整っているのだ。

10人対極を終えて少しずつだが新しい魔術を

身につけつつあるストルム。

グランドヒュドラを倒した時の事を

思い出すと、自分は戦いながら攻略の術を感じて

強くなるタイプだと実感した。


分身を産み出すために必要な魔術がある。

魔召(セブル)は原子レベルで集合体を生み出し、

魔神や人形にして制限付きで、従わせるというもの。

それが今の鍛錬で身についてきた。

剛健(クラフト)で作るゴーレムとは違って

最初から戦いのプロを生み出す物ではない。


「瞬動(キャンス)を身につけた時もそうだった…

なんとなくだけどこうすれば良いって思って、

それが形になったんだよな」

コツを見出すことができるようになると、

次々にそれができるようになるのが

自分の一つの個性と認識できる。

この施設はそういう意図もあってか

置いてある機械も非常に多い。


少し前、ディアードからこんな話を聞いた。


「ストルム、私は君に以前20種類は使えるようにと

言ったな。自分でもできると思うか?」

「そりゃ…できなきゃダメならねえ」

「…そういう風に捉えるのを一旦辞めにしようか。

今回身につけるのは仕事で役立つというより、

自分に合った物を身につけることに意識してみてくれ」

「はあ?」


正直、最初は意味不明だった。

まるで個性剥き出しで適当にやれと言われた気がして

少し気が引けているのかと勘繰った。

だがこの施設のシステムは考えを凌駕する。

必要な物なら必ず用意させる物だと捉えると

わかりやすかった。


「知恵が必要なら図書館行って蔵書漁れば良いし、

肉体的に必要ならさっきみたいに掴みながら体を動かせばいい。

それ以外でもなんでもわかるしなんでもできる。

すげー場所だよな、でも…」

でもそんな場所がなぜこんな組織で用意できたのか。

ある意味裏社会の重鎮みたいなポジションだからと考えても

おかしくはないが。


これで10種類の魔術を行使できる。

轟嵐(ディザストーム)と幽体(ゴースト)だけしか使えなかった頃と

比べると、明らかにレパートリーが増えて

戦いやすいなと感じつつある。

元々気圧や天候を操る魔術をベースに混ぜ合わせて

技を作り出すので自由度は高かったが、より

柔軟に戦えるようになった。


休憩がてらディアードに報告に行く途中、

支給品のスマホにメールが届いているのを確認した。

内容は本部からで、光の王国での紛争の鎮圧を依頼した物だった。

遂にストルム個人に仕事の依頼が来たのである。

「力試しってかね。

これも世のため平和のため、一発かましたりますか!」


ディアードは付近の休憩室に居た。

どうやらそちらもひと段落着いていたようだ。


「おつかれーっす

報告聞いてくんね?」

「良いだろう、どれくらい身についた?」

ストルムは身につけることができた魔術の一つ一つを

どれくらいのレベルで行使できるかを伝えた。

いずれも兼ね備えで使えることも応用する場面も伝えた。


「んでさあ、そのツルツルヘッドのおっさんの言う通り、

瞬動(キャンス)で動きにラグを付けながら雷電(バン)を使いつつ

殴ったら、思ったより余裕ができたんよ」

「フィニッシャーはそのまま轟嵐(ディザストーム)か?」

「いや、雨雲で魔召(セブル)を使ってから、

轟嵐で生み出した落雷の拳を使った」

「なるほど…上出来じゃ無いか」

認めるように笑みを浮かべて紅茶を啜る。


「それとさ…これ…

なんか仕事の依頼みたいな感じでメールが来たんだわ」

「お前も遂に単独依頼か。

入会から1ヶ月近い時が流れたが、

かなり濃ゆい時間だったものだ…」

「これって助っ人とか選べるの?」

「ああ。お前が雇い主として部下を連れていける。

但し、当日に人がこればの話だが」


いつ依頼が降るかわからないのが難点だが、

自分の議席の人間なら、優先して斡旋できるらしい。

まずは1人で行って無理そうなら増やすのも可能。

給料は分散されるので注意が必要だ。


数日後…ストルムは単独で光の王国に出向く。

紛争の鎮圧という以上、現場は壮絶な光景だった。


あちこちで竜という竜が魔術を駆使して、

そこいら中にディストピアを生み出していた。

力を込めて放つレーザーは戦車を薙ぎ払い、

後続に出てくる戦車は倍のサイズで

射撃機能も遥かに高い。追尾用の小型ミサイルまで

撃ち放つので被弾は免れない。

とにかく出てくる物が撃ち合い、退場すれば

もっと強い物が平気な顔で登場する。

勝つと誇ったようなアピールで列を成すが、

それすらも崩すような力を持つ物が現れる。


今回ストルムの立場は中立。

どこからでも誰にでも攻撃を仕掛けて良いが、

針のむしろになるのは必然だった。


「この場合なら一撃で終わらせるに限るな。

必殺技のタイミングは…俺のセンスに掛かっている」

1番強いと思われた者に最高の一撃を撃つ。

弱ってからじゃない。むしろ1番警戒しているときに。


事は2日後に起こった。

ある陣営の男が辺り一面を津波で押し流したが、

とても強い威力だったのか戦車の軍団を一撃で

遠くまで押し返した。波に使われた液体は

ハチミツようにドロドロしていて、流れる速さを見た

だけでもその恐ろしさがよくわかる。


それだけではとどまらず、空の部隊には

自らが龍となって対峙し、その長い体を使って

戦闘機を次々に撃墜させると、相手側の精鋭部隊も

圧倒的な実力で討ち倒した。

ストルムに置いて、一撃を与える相手を決定づけるには

申し分ない実力者だった。

閲覧ありがとうございます

魔術を10種類身につける→リュシオ強奪→単独任務…

と言う流れです。本編で書けてなかったすね!

次回もお楽しみに♪

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