第41話 招待
給料のシステムと衝撃の額が発表され浮かれる
コドクとストルム。そして次の任務まで時間が
できている以上やるべきことがあった。
どんな組織にも必要な過程、鍛錬と修学の始まり。
給料のシステムがある。
どんな企業にも言えることだが、ギルドは断然
信賞必罰を伴うものになる。口を酸っぱく国家存亡の
ミッションを生業とするなら当然のこと。
まず基礎だがなんの役を振られたのかによる。
これは戦闘や交渉が1番高い。次点で工作・指示など、
最低ラインは付添い(でほぼ何もしない)や超が付く軽作業。
作業は以前あった復興支援の重労働は高いが、
単独で袋剥きとかの簡単作業は著しく低い。
「戦闘を主に担当した私とストルムはかなり高い」
「…どーせ交渉とかの面で月とスッポンなんだろーな」
「無論だ」
ストルムはケッとそっぽを向くが、リュシオは
ある点に気がついた。これだと不向きな自分やコドクは
一方的に低くなるのではと伺うと、案外そうでも無い。
場合によっては全員が戦うことが数多くあるので、
基礎部分で一律になることはある。
「コドクでも戦えた以上君にも刃を持って貰う」
「…上等よ」
基礎の次は出来高。
作戦においてファインプレーをした者に対する、
一種の名誉を褒め称えるもの。これが無いなら
企業として1流は語れないだろう。
主に作戦における成功を効率化する発言、行動に
伴って加算される。コドクの発言や的確な判断は
これに大きく加算した。しかし、作戦に大きく
支障を来たした場合は減算されることだってあるのだ。
「あれマジで言ってんのかよ!?」
「なんだ、冗談とでも思ってたのか?」
「いや…(コイツが仕事の話でふざけた事言わねーよな)」
しかしこれで引かれる場合というのは、
あくまでも惨事が起きた場合に限る。
これの為に仲間を盾にする様な行為などが該当するのだ。
他にも命令違反や職務怠慢、敵前逃亡などが挙げられる。
また、ここで1番の厳しい判決が降るのは背徳行為。
「これだけは絶対ダメだ。
任務に不要な殺生や犠牲を払う行為と言ったところか」
「任侠の世界かしら?」
「どこでもそうだ。
あえて言わせて貰うと、ストルムのアレは大分スレスレだった」
「うぐ…気をつけまーす…
…なあ、その怖い顔やめてくんね!?」
報復措置はその月の月収を完全に消滅させる。
最後に総評加算。
基礎と出来高で出たものに評価し、
次の月にどれだけ活躍できそうかで加算する。
言わば人間相手に直接ベットする感じだが、
それを企業がする。
「リュシオには来月、ある方に料理を振る舞って貰う。
その分の加算があるから見てみるといい」
「…ちょっと待って、
こんなに高いの作れないわよ!?」
「あ、パワハラ発覚ー」
「そんなわけあるか。
安心しろ、好みなどの情報は必ず渡す。
というか、そうだな…」
「あ、僕今何考えてるかわかりました」
「…あ、俺も!」
今晩、ご馳走して!
全員一斉にお願いされては引くわけにもいかない。
リクエストだけ聞いて自室へ招待した。
ストルムのリクエストはジャンクフード。
あのポテトがまた食いたいと思いっきり言ってきた。
これから夕飯の時間だから少し濃ゆくても良いだろう。
「ただ、夕飯らしくメニューはグラタンがメインね」
そういうとマカロニがないことに気づいて
プラスチックを集める。覚醒した料利に
不可能な料理はない。
ディアードのリクエストは厳しく海の珍味。
しかし、元々科国軍にいた時は司令を任されていたので、
お偉い様方とのお食事会で勉強済みだ。
とりあえずフカヒレのスープとキャビアの海鮮サラダを
作ることにした。
「フカヒレね…うーん…
あ、あの古い革財布を使いましょうか」
ついでに書くとキャビアはなんと消しカスで作りあげた。
練り消し感覚作っていると3分で出来上がる。
サラダも冷蔵庫の残り物で完成。
1番の難関はコドクの言ったリクエスト。
「得意料理を出して」と言われたがこれがなんとも難しい。
「得意…ってなんでも作れるから適当に…
いや、待って。これも含めて私に投資した…?」
加算方式の給与が頭に浮かんだ。
数千万円の額に期待されているという自負がなぞる。
得意料理を出すという”本質を問われていることに”。
得意料理を出すなら、自分の良さが伝わるもの。
経験と間違えがちだが人生の写し鏡ではなく
自分の本質を問いている。
彼女の出した答えは(カレーライス)になった。
「…昔から方程式や理論が好きだった。
正しさを証明することが、
こんなに素晴らしいものだったなんて」
彼女にとってコドクに対する理論は、
シンプルにおいしいと言って貰うことが最適解と考えた。
晩餐会は成功した。
衝撃的な具材を知った各々方は表情が歪んだり、
とにかく面白かった。
「ボールペンが…マカロニ…
信じらんねえ…でも美味いのは流石としか」
「こ、この私が消しカスを…
いや、悠久潜在能力だとわかっているが…キツイな」
「石鹸がジャガイモ、スパイスは古いコスメですか…
なんだか、綺麗になれそうなカレーライスですね」
食卓を囲んで何気ない世間話を済ませると、
ディアードは明日以降の予定を語る。
朝9時からは今後の任務に備えて訓練が入るとのこと。
明らかに嫌そうな顔をするストルムだが、
戦闘の経験も無しに歴や力に頼って現場に放った後、
明らかに世間では通用しない旨を伝えると
少ししょぼくれた表情のまま承知した。
「実はさ…リュシオを奪還する時に、
俺…同じ覚醒者と対峙したんだよね。
あの時はなんとか俺たちが勝ったけどさ、
なんつーか…負けちゃいけない負け戦だったよーなってか」
「だから訓練がいるんだ。
この先負けて良い戦があると思わない為には
これだけやったのなら負けないと思うくらいには
鍛える必要がある」
「…僕も、いざ戦場に出ると
思った以上に世間知らずだったんだなって
思い知りました。必要だと思います、その心得」
部屋に戻り深い眠りに付いた時間を回る。
コドクは工房のおじいさんと鉄を打っている。
隕石はダガーの形をしていて、その中に
鉄を流し込む様な器になっている。
ただ流すだけじゃ無い、
最終的にどの形にするのが良いかを考える為
贋作を作り、試行錯誤を繰り返している最中だ。
ふとコドクは余った隕石の塊が気になって、
休憩がてらハンマーでの削り作業に手をつけてみる。
力強く真剣に打つ途中で事件が起きた。
なんと隕石の硬さに工具が耐久できずに
破損してしまう。変えの工具で取り掛かると
それも数回打つだけで大破してしまった。
見兼ねたおじいさんはコドクに1枚のメモを渡す。
すると辺りは光に満ち溢れ、夢の時間は終わった。
ナイトテーブルや布団の中、枕元を見ても
そんな紙らしきものは見つからなかった。
閲覧ありがとうございます
私も初任給をもらった時、二十数万円と書かれた明細を見て
思わずゾクっとしました。
これが生きるって事なんですね。
次回もお楽しみに♪




