第38話 生える首
猛攻するグランドヒュドラ。
ストルムは今こそと結界から新しい相棒を
取り出した。彼の嵐に形ができる。
蟻地獄に嵌り身動きが取れずに万事休す、
なんてはずはなかった。
彼は嵐の化身。規模の大きさなら、
大空を対比に出させる男。脱出なぞ
問題なく遂行できる。だが無抵抗に
喰い攫われる。
これを待ってたとばかりに足に
気圧を溜めて爆発させるように解き放つ。
口がひらけばこっちのターンだ。
手元に集めた魔力は今、風の結界となり
鞘から剣がその様を表す。
「(悪天魔剣スイライト)!
お値段ざっと1000万円のお披露目だあ!
口座の残高が一瞬で7円になったのはマジで怖かったぜ!」
そのまま刃渡に紫電を流すと
青龍の電気化身を召喚し、共にヒュドラの首に大きな傷を入れる。
ずどお!と大きな音が鳴り響く会心の一撃が炸裂した。
大量の出血を促す大きな傷、ストルムは武器を構えた。
ヒュドラの本性はここから現れる。
ずりゅ!と音を立てて傷口から首が生える。
岩肌の首からもう一本、今度はおおかたマグマでできた
個体が生えてきた。
「クックック…!
そーだよなあ、そうこなくちゃ面白くねえ!」
ストルムはフルパワーで魔力を生み出し始めた。
これから後7本は生えるだろう首を相手に、
本気を出せる喜びを感じていた。
タイムリミットを考えるならこの上なく好都合な
条件、何よりせっかくの力を腐らせずにはいられない。
火球と岩石を吐くヒュドラ。
そんな物は抵抗にならず、肥えた胴体の肉を目掛けて
切断を入れる。すると今度は鉄でできた首が生えた。
ストルムは周囲の天気をにわか雨にすると
舞っていた砂塵を集めて電気を流し、巨大な
サンドチェーンソーを作ると、降りかかる鉄の首を
カウンターで音を立てて切り落とした。
そうすれば当然新しい首が生える。
草地と融合した大地の首が生えてきた。
生殖を始めると、巨大な蔓の鞭が
生え渡り、ストルムを攻撃し始めた。
1本2本なら躱わせていたが、それ以上同時に攻撃されると、
密度の問題上どうしても潰されたり叩かれたりする。
「くっそ…なかなか器用…
あ、そうだ。破滅の凍結!」
地底近くの熱で活性していたが所詮は植物。
気温が低下すれば動きが鈍くなる。火球を吐いて
火を起こしても、その隙に強力な魔刃を
作り出せれば攻略できる。スイライトのお陰で、
ポイントをより速く、かつ強大に敷く事ができたのだ。
「紫電偃月斬!」
怪しく輝く紫の高圧電気で作られた大鉈で、
力の限り振り抜く余韻に三日月が映る。
一瞬でマグマの首を切り落とした。
するとどういうわけか切り落とされた首は氷漬けに
されて行く。
高圧の電気に冷気も同時に流していた。
切断面からは分厚い氷が張られていて
新しい首が生えてこない。
「最初からこうすれば本体を抉れたかもな」
そう思いながら残りの首に切り掛かる。
残る首は2つ。ヒュドラは更に地面から蔓を出すと、
今度は大木となった。鬱蒼とした森林が視界を閉ざす。
更に厄介なのは大木が防風林となり、ストルムの
轟嵐による影響をかなり軽減できる。
雨や風を凌げられ、残る手段は雪か雷。
「はあっ!」
白い雷の斬撃を放つも傷こそつくが反撃をくらい
ぶっ飛ばされてしまう。今度は凍結吹雪で
吹雪を起こして攻撃する。
しかし吹雪は防風林で防がれてしまい、
弱体化した攻撃となってしまった。
雪が積もるくらいでは、振り払われて終わり。
ストルムの一手は完全に封じられてしまった。
とどめだと言わんばかりの睨みを効かせた
ヒュドラが遂に王手を掛ける。
体の一部である岩の礫を流星群の様に飛ばしてきた。
魔力をほぼ使い果たし、体は傷ついて思う様に動けない。
絶体絶命だ。
閲覧ありがとうございます
ヒュドラという生物は首が9本あった…んだっけな?
まあめちゃくちゃ強い竜なんですわ!
次回もお楽しみに♪




