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第35話 棘撃弾

あまりにも奇怪な姿で現れた恐竜の一種。

鉱山エリアを目に掛けて進む前に結界を張って

脚を止める。耐久する時間は3時間だが、

衝突や攻撃によって更に短くなる。

必殺の一撃を撃つためにコドクは飛び立った。

30メートルはあるであろうその巨体に、

隠されている弱点を探し出し、

早急に決着をつける。簡略すればそうなるが

ではそれがいかに困難なのか。


前足は誇大化すれば十分に引っ掻きに使える。

ブレスは当たれば一瞬で焼き焦げる。

結界へのダメージも凄まじいものだ。

体を思いっきり捻るだけで脅威な攻撃、

要は全ての行動が即死級の一撃となる。


当たったら負け。耐えても次の攻撃は防げない。

だから次の一撃が中々出せない。

攻撃しようというより、次の攻撃を躱す事を

意識しないといけないという衝動に駆られている。

そんな感じが続く。


「(そろそろ1時間…よく持ち堪えている。

 が、しかしこれでは埒が開かない)」

「(パターンは見えてきた。

 ブレスを吐くと少し余裕が出るけど、

 数回に一回は引っ掻きが早く出る)」

少しバラツキのあるパターンは

恐怖を煽るには十分だった。本人は

意図的にやって居る訳ではないが、追撃として

最優のものばかり打ってくる。


ならばとコドクは一定の動きを誘発して、

大きな隙を生み出すために少し危険な動きを試す。

しかし近くに行けば行くほどその実態を知る事で、

遂にかすった程度の攻撃を受けてしまう。

一回引っ掻かれるだけで体あちこちに擦り傷と、

摩擦による火傷痕とズタズタにされた感じの服。

これが現実と分かればそんな真似はできない。


「痛(い)…って…」

「…!よし、耐えている。

これで怯まなければいいが…」

しかしこれが転機になる、

フルスイングで攻撃したのでよろけが出た。

痛みを抑えて滑空し、ようやく念願の次の一撃を

振るう事ができた。しかし、全く痛がる素振りも

見せることは無く逆に火を付けることになり、

暴れ回り始める。


ディアードは好奇を感じた。

攻撃される事に怒りを発して暴れ回るなら

更にもう一撃与えることができたなら、

更に消耗してくれる。そうと分かれば自分も

攻撃を開始できる。


バックから全てのパーツをつけると、

魔術を駆使して巨大な宝石のバズーカができた。

これぞディアードのスキル、輝品(ブランド)の力。

発射する弾が命中すると大きな爆裂を起こし、

攻撃対象を変えてきた。


「はっ…そうか、疲れさせればいいなら…」

背を向けられたコドクは思いっきり背中を斬りつけると

当然のように標的が変わる。頑丈だがナイーブ、

これがこの生命体の弱点だった。


上出来だ。

むしろこのためにコドクを羽ばたかせた。

全てはこの時の為に、この瞬間のために力を与えてきた。


「後は任せろ、撤退だ」

「了解」

バズーカを解除して狙撃銃(スナイパーライフル)を組み立てる。


すっかり疲れて手負になった怪獣は、

飛び回るハエと巨大な爆裂に混乱して

満身創痍のような息切れをしていると

ドシュッと弾丸が突き刺さった音がした。


ディアードが放ったのはスピネルの力を秘めた「棘撃弾(しげきだん)」。

火薬によって一度高熱が加わると10は出る棘を伸ばす。

更に酸素や窒素に触れなければ永遠伸び続ける。

やがて数秒経つとボシュ!と音を立てて身体のあらゆる

箇所から棘が生えてきた。白眼を向いた怪獣は、

赤い絵の具で落書きでもされたかように出血し、

そのまま絶命した。まるで爆発する芸術のように。


あまりにも壮絶な光景にコドクは呆然とするばかりだった。

それでも側に戻れば、優しい表情で武器を片付けている

いつものディアードが居る。安堵と不安が混ざる、

少し吐き気を感じるような時間だった。


「もし撃たれたのが自分だったらって考えると

なんだかすごく嫌な気分になる…」

「それが組織(ここ)に所属するという事。

できなければ、ああ成るだけだ」


怖い 怖いってこういう事なのか

閲覧ありがとうございました

目の前で敵側が身体をトゲまみれにされて、

できなければ君もああなる…なんて言われたら僕でも怖いです。

次回もお楽しみに!

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