第33話 発掘
探索の為に許可を得て鉱山へ入ると
まるで作り上げられたダンジョンのように
迷路と野生の生物が出迎える。
しかし奥には恐竜が迷い込んだ事情があるようだった。
鉱山へ入るとトロッコ列車が止まっている。
時刻表通りなら10分後に発車するので
このまま待つといいだろう。
ただそんな暇があればリスクヘッジを行い、
成功を確実にするべきだろう。
まずは戦力を確認だ。
「おおかた、料利ってとこかな。
俺は轟嵐の覚醒者…らしい」
「らしい…ってアンタ自分が覚醒者って知らなかったの?」
「世間が勝手に決めた事なんざ
竜族が気にするわけねーだろ」
ぶっきらぼうに答えるストルムを少し不安視する。
覚醒者の力は膨大だ。
言うなれば不可能を可能にする力。
本来魔法、及び魔術に連なるものは
軌跡とか言うどうにもならない触れない力を
あくまでも言葉で表現したものなのだから。
本来轟嵐は気圧を操る力で
周囲の天候を少し悪化できる程度のものだった。
ストルムがこの魔術を身につけたのは
学生時代に雨が降る事で靴が濡れるのを嫌った
だけで、使って行くたびに覚醒したという経緯がある。
また天候操作にしか使えないことを不便に思い、
自らの属性を駆使して日常で使って行くうちに、
天災級の力を軽々と使えるようになったのが
主な流れ。
「ドラゴンって、みんなの想像通りだけど
人間とか普通の獣より器がデカいんだよね」
「伸び代ってことよね。
まあ私も無尽蔵の体力と不死身レベルの寿命は
羨ましいと思うわ」
装備品の予備を借りてトロッコに乗る。
観光客向けの探索セットはリュックになっていて
サイドにツルハシが装備されている。
水や携帯食料、電灯付きラジオとかも入っている。
生き埋め対策として小型ロケットも同封されている。
「身動きが取れるのなら
このロケットの線を引いて3分待ちます。
出口の方へ頭を向けて強く棒にしがみついてください。
あとは先端のドリルが障害物を壊しながら直進します」
物騒な事が書かれているが、頼りになる事はわかった。
地上からおよそ160キロ地点。
途中下車を繰り返して乗り換えた後に
ようやく辿り着くと時計は21時を回っていた。
就寝を考えるような時間だが、
任務完了までは仮眠と行動の繰り返しを
余儀なくされる。
「もう探索始めるの?
今日は朝まで寝た方がいいんじゃない?」
「こんな暗い所でのんびりしてたら
それこそ本当に1日寝過ごすことになんぞ」
やるべき事をやって休憩を取る、
なんら基礎的な事だけど、居ることが
リスクなこの場所で悠長や油断が命取りなのは
現場仕事の経験からだろう。
通路マップを確認しながら二人で
怪しい箇所を確認する。赤外線を始めとする
センサーでダウジングをしながら
反応があった場所を掘って行くと
石炭や鉄鉱石が取れていく。
「重!こんなの集めて何するのかしら?」
「さーね、まあ、俺は自分用にほんの少し貰ってくけど」
「あ、職権濫用。報告しよーかなー?」
「別にいいけど
アンタは自分の得物を強化しようって思わねえの?」
あまりにも仕事の事ばかり考えているみたいで
なんだか自分の今まで拒否されているような感じがする。
「あ、違った反応だ…どれ、そ〜らっ!」
ストルムがツルハシで掘り進んでいくと壁が
ガラリと剥がれ落ちる。一面に煙のような埃が舞うと
それを風圧でまとめて雨で湿らせる。
ゲホ、ゲホと咳き込むリュシオだが、
これらの過程のおかげで負担が減っているのは、
本人も感じていた。
崩れた壁から出てきたのは
火属性の力を秘めたブレイズダイヤモンドという鉱石。
これは任務において回収対象の鉱石だ。
職人に加工して貰えれば数億円は下らない宝石でもある。
何より、本人の魔力を増強してくれる
この世界ではとても需要の高い物で、
天然物になるととんでもないくらいの力を
増幅してくれる。
「やるよ」
「はあ!?アンタこれが欲しくて
急いでたんじゃないの!?」
「轟嵐は主に風・水・雷属性の力で
成り立ってんだ。料理には火が肝心だろ?
だからお前が持ってた方が良い。やるよ」
手元に渡された生涯年収の塊に唖然とするも、
完遂の為に考えるストルムに惚れなおし
自らもツルハシを持って探索を開始した。ー
閲覧ありがとうございました
ブレイズダイヤモンドは火の魔力(および魔素)を秘めた
鉱石。となると水の力を込めるウォッシュダイヤモンドなんて物mol
存在します。たしか本編では出ないはずですがw
次回もお楽しみに!




