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第3話 強引なスカウトマン

容赦なく殲滅する科国の兵器。

因果応報とは裏腹に目的の全てを掌握せん、と

更に軍を進める。そんな中、作業中のストルムに

ある人物が訪ねてきた。

激化する戦況。その響きは魔国貴族の耳にも伝わってきており

あらゆる手段を使って逃げ出した。逃げたというより

誰(・)が(・)1(・)番(・)優(・)雅(・)に(・)場(・)を(・)離(・)れ(・)ら(・)れ(・)る(・)か(・)競(・)争(・)し(・)た(・)。

もとより誰1人参加者も主催者も

相手の新戦力を知らぬ者はおらず、

戦争に駆り出された者だけがそのえげつない物を

1人残らず平等に体感できるように考えついただけなのである。


幽体(ゴースト)を使って存在認識を消した貴族はこう言った。

「そもそもバカの一つ覚えでしかないと思わんのかね…」

竜転身(ドラゴ・テクスチャー)を使って竜に変身した貴族はこんな事を呟いた。

「最高のご馳走だったわ!この…(兵士の思い出深きワイン)は、格別ね」

華の札絵術(タロット・パーティー)で出席していた者は笑いながら

「今日も当たっちゃったわ!…兵士どもはどうして不勉強なのかしら」

と呟いた。わかりきった事なのでいつの間にかその場から消えていた。


後続部隊が伝令を伝える頃には全員が帰っていた。

残された残飯は飾りだけ。蝋燭の火もほぼ消えかかっていた。


「クソっ!貴族どもめ!

俺たちを見捨てやがった!」

「まあ前衛はそろそろ潰れるだろうしよ、

俺たちだけでもこのまま逃げるぞ!」

他の奴らは?や前衛の面子は良いのか?という疑問に、

そもそもこれから死にゆく者のために墓を作れないのが

戦争だと言うと、同調も圧力も無く皆成り下がってしまった。


しかし彼等はアニミスクの恐ろしさを知らない。

領土内にいる敵兵士は殲滅せよ、と指令があれば

情けは無くただ一方的に殺しを行う。

鉄の兵士は思想は愚かでも論理的に優秀であった。


降る指示もなく、

何も知らない後続は、みんな真っ赤に染まったか、

それとも人のまま逝ける事に安堵していってしまった。

パーティ会場に誰もいない事を把握した科国軍は

そのまま追撃を始めた。無論、魔国貴族なぞ最初から

眼中になく、目当ては戦力と思わしきの殲滅だった。

魔国ヴェルサイス領の隅から隅まで隈なく探すように

彼等は静かで迅速だ。


一方で風の王国では今日も平和に復興事業…とは行かなかった。

突然、ギルド「誇り高き竜(スピリッツオブ)の眷属(ドラグーン)」が現場を

訪問すると、親方へストルムに合わせてくれと言う。


ストルムは呼び出され、事務所の中に入って応接を進めると

早速本題に話が移る。ヘッドハントで指名が来たのだ。


「我々はこの不明極まる世界の透明化を目指して

 日夜研究を進めていますが、行かんせん人が足りません」

「なら人の大陸でも見習ってマシンでも作ればどうだ?

 どうせ税金で運営している機関なんだから俺ら関係ねえだろ」

「私達はオブリビオンという個性を得る異質な存在…

 その力は機械なぞでは再現できません」

「とにかくウチも人手不足でね。

 というか、本人の意見を聞こうじゃないのさ」

「親方…なんで話振るんすか。返答は見え見えでしょうに…」

ストルムの返事で追い返そうとしてもそうは行かなかった。

ギルドはどうしてもストルムを欲しがったのか

建設打ち止めを告げる書類を差し出してきた。

復興建設作業を止めなければ、国は街を攻撃するといった

いわばお触書(ふれがき)みたいなものを出してきたのである。


街が半壊したのはストルムのせいだった。

といっても正確には少し違うが物理的な損壊を出したのが

ストルムだった、だけである。

当然親方は大激怒。だがここで争ってもやり直しになるだけで

全身人質になっている状況では何も言い返せなかった。


「お偉いさんが言ったのは違いねえだろうが

 正直、こんなやり方した以上はケジメ付けてもらうぞ」

「本人次第ではそのままお返ししますよ」

「親方…オレ必ず帰りますから」

呆気なく手も足も出せずハンティング完了となった。


日が明ける。

ストルムは早朝までお別れ会を開いてくれた仲間に挨拶をして

少し距離のある都心部へ旅立った。


ギルドがある本部は駅ビル。

1階と地下は鉄道が通っていて一般の利用客が多く、ストルムはウンザリした。

2階から4階は百貨店で最上階は料亭街となっている。

行き先は5階受付なのでエレベーターで登る。


「よし、時間通りだ。期限を守れる人材は貴重といえる」

「仕事だからだ。言っとくが権力を振り翳したアンタを好きにはなれねえぞ」

「構わん、まずはこれを渡しておく」


ディアード・プレミア

スピリッツオブドラグーン第一議席:議長

裏には電話番号とメルアドが書かれている。


「この場を借りて言っておく

 ストルム・エンキだ。よろしく頼む。メルアドも名刺も持ってない」

「こちらこそ」

そのまま面接をするわけでもなく会議室に通された。

中では重鎮らしき人が座って待っていた。


「よくお越しくださいました。まずはお座りください」

曰く、初日の仕事は魔術の国で発生した戦争をスパイ活動で

状況報告するものだった。


「この戦争で科国は魔国のヴェルサイス領を落とすつもりだ。

君たち2人で戦争によって人や物がどうなったかを報告してほしい」

「スパイ活動だから手出し不可か。ますます俺を呼んだ理由がわからんな」

「…念の為に言っておくがこの組織に席を置く実力者で

 君に勝てない人間はいない。変な反逆を考えるのはやめておけ」

「あ?喧嘩売ってんの?」

「想定どうりの返答だが、釘を刺す意味で言ったんだ。

何がなんでも私の指示に従ってもらうぞ」

なんだそんなことか、と鼻息で返事した。

閲覧ありがとうございました。

人中心の人大陸、竜中心の竜大陸です。

こんな感じの大陸の設定が8つある世界です。

(ただし出るのはほぼ僅か)

次回をお楽しみに♪

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